光電効果とは?公式・エネルギー・実験など徹底解説!

物理 2022.12.25

光電効果とは、金属に光を当てた時に電子が飛び出す現象のことです。

教科書には「Ko=hν(ニュー)-W」という公式が載っていますね。これは、光の持つエネルギーについて、光の振動数から説明する考え方に基づいています。

また有名な「光電管の実験」という実験もよく出題されます。光電効果に関する問題で、試験で聞かれるポイントについて押さえていきましょう!

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1.光電効果とは?

光電効果とは、金属に光を当てると電子が飛び出す現象のことをいいます。


皆さんはこれまで、光は波であると習ったと思います(これを光波動説と言います)。しかし、過去に光電効果をさまざまな学者たちが説明しようとしましたが、光を波としてとらえる考え方ではこの現象を説明することが出来ませんでした。

そこで、新しいモデルが登場します。光を、波ではなく粒子の集まり(=光子、光量子、フォトンといいます)としてとらえ、粒子1個1個の中に小さな光の波が入っていると考えたのです。

これを光量子説といい、量子力学の元となる考え方になっています。この考えから光の強さは光子の数に比例すると言えます。

 

光子のエネルギー

先ほど、光を粒子の集まりととらえると書きましたが、この粒子1個のことを光子と呼びます。

ここで、光子1個あたりのエネルギーを、
プランク定数(h=6.63×10**−34[J・s])×振動数で表し、E=hfと書きます。

つまり、エネルギーは光子1個の振動数に比例して大きくなります。
ここに、光子1個の波の速さC=振動数f×波長λよりf=C/λを代入すると、E=hf=hC/λとなります。

 

運動エネルギーを表そう

それでは、光子が金属にぶつかり、金属の外部に電子が飛び出す現象について考えてみましょう。

まず、光子が金属にぶつかる前に持っていたエネルギーをE=hfとします。

つぎに光子が金属にぶつかった後、このエネルギーが電子が金属内部で分離し金属表面まで移動するエネルギーWと電子が金属表面から外部に飛び出す運動エネルギーKoに変換されると考えると、

エネルギー保存の方則より、E=hf=W+Koとなります。これを変形すると、Ko=hf−Wとなり、教科書に載っている式となります。

 

 

2.光電効果による光電管の実験

光電管の実験とは、光電管という装置を使った実験になります。

金属線と金属板を使って回路を組み、金属線と金属板の部分を断線しておき、容器に入れます。真空放電は起こらないものとします。つまり、回路は断線状態です。

さて、ここで容器の中の断線部分に光を当てると何が起こるでしょうか?

光電効果により、電子が飛び出すのです。この光をあてたことにより飛び出した電子を光電子と呼びます。

電子が飛び出すということは電子が移動するということですから、電子の流れと反対方向に電流が流れると考えることができます(電流の向きは電子の流れと逆向きです)。この電流のことを光電流と呼びます。

高電流と電圧の関係

さて、先ほどの光電管の実験で断線状態の回路に電圧をかけるとどうなるかについて考えてみましょう。

高電流の量は、光の強さ(つまり光子の数)によって決まりますから、
・電圧がゼロであっても電流は流れる
・電圧を高くしても光電流は一定となる
ということになります。

それでは、電圧をかける電源の向きを反対方向にするとどうなるでしょうか?

電源の向きを変えると、容器内の電場の向きが反対になりますから、反対方向の電場の影響で、電子の進行方向とは反対向きの力fが加わり電子が飛び出しにくくなります。結果として、光電流は小さくなります。


それでは、反対方向にかけた電圧の値を大きくしていくとどうなるでしょうか?

光電流はどんどん小さくなり、やがてゼロになります。この光電流がゼロになったときにかけていた電圧の値を、阻止電圧と呼びます。
正確に言うと、電圧が阻止電圧のとき、電子は飛び出してはいるのですが、逆向きの磁場を受けて元の場所に戻ってしまうのです。

それでは、光の強さと光電流の関係についても考えてみましょう。
光を強くすると、光子の数が増えます。すると、飛び出す電子の数が増えることになります。つまり、光電流は大きくなります。光子の数を2倍にすれば光電流も2倍になります。一方で、光電子が到達しない条件は同じですから、阻止電圧は変わりません。

光の種類がどうなるかも大切なポイントです。
光の種類を替えると、つまり光の振動数を大きくするとどうなるでしょうか?

先ほどの公式により、光電子の運動エネルギーが増加しますから、これを阻止するにはより大きな電圧が必要となります。つまり、阻止電圧は大きくなるのです。光の強さが等しいということは光電子の数が同じだということですから、流れる光電流の最大値は同じになります。


どうでしたか?これらの性質は、グラフと関連して出題されることが多いです。結果を丸暗記するのではなく、考え方をしっかり整理しながら理解するようにしましょう。

 

光電流の速さの最大値を求める

それでは、光電管の問題について勉強しましょう。
金属板に電圧Vの電圧をかけ、光を当てるとします。試験で頻出なのは、光子の速さが最大になるのはどんな時かという問題です。早速考えていきましょう。

光子の速さをv、電位をVとすると位置エネルギーはU=qVですからエネルギー保存則より、
1/2・mv2+(−eV高)=1/2m02+(−eV低)
となります。ここで右辺のv=0というのは、電子が金属外部に飛び出さないで金属内部にギリギリ留まっている状態を表しています。
これを変形して

1/2・mv2=e(V高-V低)

電位差は電圧なので、
vmax=√(2eV/m)となります。

 

プランク定数と仕事関数を求める

光電管の実験の続きです。
試験では、プランク定数や仕事関数を求める問題もみられます。ここでしっかりと理解しておきましょう。

色の異なる(つまり波長の異なる)A、B2つの光をそれぞれ当てて実験したとします。光の振動数をfA、fB(fA<fB)とすると、

1.振動数f.のとき

エネルギー保存則より
1/2・mv2+(−eV高)=1/2m02+(−eV低)
ここで右辺のv=0というのは、先ほどと同じように電子が金属外部に飛び出さないギリギリの状態です。
1/2・mv2=e(V高-V低)
運動エネルギーは、KoA=eVA
光電効果の式Ko=hf−Wより、
eVA=hfA−W ︰(1)

 

2.振動数fBのとき

エネルギー保存則より
運動エネルギーKoB=eVB、光電効果の式Ko=hf−Wより
eVB=hfB−W ︰(2)

(1)、(2)より、

プランク定数h=(eVA−eVB)/(vA−vB)
仕事関数W=(eVAvB-eVBvA)/(vA-vB)

となります。

 

3.光電効果のまとめ

それでは光電効果についてもう一度復習しましょう。

・光電効果とは、光を金属に当てると電子が飛び出す現象のことをいう
・光子の運動エネルギーKoは光子の振動数によって決まる Ko=hf−W
・金属板に電圧Vの電圧をかけて光を当てたとき、飛び出す電子の速さの最大値は vmax=√(2eV/m)

 

どうでしたか?
試験に出るポイントをしっかり押さえておきましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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