質量保存の法則とはどのような法則か理解しよう

化学 2024.3.18
質量保存の法則とはどのような法則か理解しよう

高校化学の中で出てくる質量保存の法則は、化学変化について理解する上で重要な法則です。

基本的な原理を覚えるだけでなく、様々な問題を解決できるように理解を深めておくことが大切です。

大学受験では質量保存の法則そのものを問われることも、その原理に基づいた応用問題もよく出題されるので、十分な対策を立てておきましょう

 

    1.質量保存の法則とは何か

    質量保存の法則とは、ある化学変化が起こったときに、反応の前と後の物質の質量が変化しないことを示している原理です。

    中和や燃焼、熱分解などの様々な化学反応がありますが、反応にかかわる全ての物質の質量の和と、反応の結果としてできた生成物の質量の和は常に同じになります。

    もう少し化学的な見方をすると、化学反応式を書いたときに矢印の前にある組成式のそれぞれの原子数の和と、矢印の後にある組成式のそれぞれの原子数の和が変わらないとも言えるでしょう。

    これは化学変化が起こったときに反応の前と後で原子の数が変化しないということを意味します。つまり、反応によって原子が失われたり、新たに生み出されたりすることはないので質量が反応の前後で保存されるのです。ただし、原子同士のつながり方が組み変わると、別の物質が生み出されます。つまり、化学変化とは原子同士のつながりが変わり、新しいつながり(=物質)が生み出されることなのです。

     

      2.質量保存の法則を水素と酸素の反応を例に見てみよう

      ここまで、質量保存の法則についてのおおまかな解説をしましたが、抽象的な説明で質量保存の法則や化学変化について理解するのは難しいでしょう。

      ここからは、質量保存の法則について、具体的に水素と酸素の反応について考えてみます。

      水素と酸素が反応するときには水が発生しますが、何molの水素と何molの酸素が反応すると完全燃焼になり、水が何molできるのでしょうか?

      質量保存則 イメージ1

       

      この問題を解くためには、質量保存の法則を知っている必要があります。反応の前後で質量が変わらない、あるいは原子が増えたり減ったりすることはないと考えると、水素、酸素、水の物質量の比を計算することが可能です。

      x molの水素と、y molの酸素から、z molの水が発生すると考えてみましょう。

      すると、原子の数が反応の前後で変化しないので、
      水素について 2x=2z

      酸素について 2y=z という方程式が成り立ちます。

      そのため、仮にx=2とすると、y=1、z=2となるでしょう。このようにして比率がわかると化学反応式を正しく書くことができます。

      正しい化学反応式は
      2H+O2→2H2O
      で、二分子の水素と一分子の酸素が反応することで水ができるとわかります。

      この化学反応式から、さらに反応の前後の物質量や質量の関係を考えることができます。

      例えば酸素が1molあったとすると、2molの水素と反応して2molの水ができるでしょう。
      この際の質量について考えるには、それぞれの物質量が必要です。

      酸素の物質量が32g/mol、水素が2g/mol、水が18g/molなので、水素の質量は2molx2g/mol=4g、酸素の質量は1molx32g/mol=32g、水の質量は2molx18g/mol=36gになります。

      反応の前の質量は、水素と酸素の質量を足し合わせたものなので4g+32g=36gです。これは、反応の後の質量は水の質量である36gに一致します。

      このような現象を説明しているのが質量保存の法則なのです。

      3.質量保存の法則で出題される例題

      ここからは、質量保存の法則について、よく出題される問題を考えてみましょう。

      水素と酸素の反応に関する問題で、実際に出題される問題として次のようなものがあります。

      「1気圧、0℃の条件で44.8Lの水素とある量の酸素を反応させたところ、完全燃焼が起こって全ての水素が消失した。この際に発生した水の質量は何gか。また、反応に使われた酸素の質量は何molか。ただし、1気圧、0℃での気体の1mol辺りの体積を22.4Lとする。また、水、水素の分子量はそれぞれ18g/mol、2g/molである。」

      この場合、まずは理想気体の状態方程式を使用して、水素の物質量を求めます。1mol辺りの体積が22.4Lなので水素の物質量は2molだとわかります。

      そして、質量保存の法則を使って、水素・酸素・水の比率を計算して化学反応式を正しく書くと、2H2+O2→2H2Oなので、2molの水素からは2molの水が発生するとわかります。

      したがって、水の分子量が18g/molなので2molx18g/mol=36gの水が発生すると答えられるのです。

      反応に使われた酸素の質量については、質量保存の法則により計算することができます。2molの水素は2molx2g/mol=4gの質量があるので、酸素の質量をxgとすると4g+xg=36g、つまりx=32gと計算できるでしょう。

      このように、化学変化の前後で質量が変化しないことを理解していれば、反応に関与する物質の質量や物質量の関係を簡単な計算で導き出すことが可能なのです。

       

        質量保存の法則のまとめ

        化学変化が起こったときに、物質の質量や物質量がどのように変化するかを理解するための基本原則が質量保存の法則です。

        反応の前後で原子の数も質量も変化しないという原理を理解して、化学変化によって変化する物質の質量や物質量を求められるようになっておきましょう

        化学反応式を書けるようになると、簡単な計算だけで答えを求められるようになります。

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        この記事の執筆者

        ニックネーム:受験のミカタ編集部

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