オイラーの多面体定理を解説!簡単な証明付きで即理解!

数学 2022.12.26

オイラーの多面体定理は、凸多面体の辺、面、頂点の数に関する定理です。
数学Aの図形の性質における空間図形の分野で登場します。

しかし、この空間図形の分野は、入試での出題頻度が極めて高いわけではないので、学期の最後や試験前に簡単に触れて終わり、ということも多い分野のようです。
そのため、三垂線の定理やオイラーの多面体定理をあまり知らないという受験生もいるでしょう。

この記事では、オイラーの多面体定理についてまとめます。

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<オイラーの定理導入編>多面体とは

多面体とは、いくつかの多角形で囲まれた空間図形です。


多角形の定義についてもう少し確認しておきましょう。
多角形は簡単に言えば「3つ以上の線分に囲まれた図形」です。
数学において「直線」や「線分」は、「曲線」の特殊な状態です。
つまり、「曲線」は「直線」や「線分」に含まれませんので、円は多角形ではありません

また、多面体をつくる多角形を「多面体の面」、面の頂点を「多面体の頂点」、面の辺を「多面体の辺」といいます
そして、同じ面に含まれない2つの頂点を結ぶ線分を「多面体の対角線」といいます
(「多面体の対角線」には、面の対角線を含みません。)

多面体は面の数で名前が決まります。
例えば4つの面でできている多面体を「四面体」、6つの面でできている多面体を「六面体」といいます。

オイラーの多面体定理

オイラーの多面体定理は、数学Aの教科書では単に「オイラーの定理」と呼ばれることがあります。
ただし、数学で「オイラーの定理」と、「オイラーの公式」は混同しやすいので、「オイラーの多面体定理」と呼ぶ方が無難でしょう。

(ちなみに、オイラーの公式とは、大学の複素解析で学習する
e=cos⁡θ+i sin⁡θのことで、電気工学や物理学の微分方程式の解析でよく使います。
「すべての数学のなかで最も素晴らしい式」とも言われ、θ=πのときe=-1となります。)

余談が長くなりましたが、オイラーの多面体定理は以下のような定理です。

凸多面体で、辺の数をe、頂点の数をv、面の数をfとすると、
v-e+f=2
が成立する。

ちなみに、凸多面体は以下のように表されます。
多面体のうち、どの2つの頂点を結んだ線分も多面体に含まれるものを凸多面体という。
ですから、凹んでいるような多面体や、立方体を「凸」のように積み上げた多面体は凸多面体ではありません

オイラーの多面体定理の簡易証明

オイラーの多面体定理がどのようにして導かれるかを考えてみましょう。
一見、非常に難しそうに見えますが、厳密な証明でなければ簡単です。

ある凸多面体の頂点の数をv、辺の数をe、面の数をfとします。
オイラーの多面体定理では、頂点の数、辺の数、面の数だけが重要ですので、辺の長さや頂点の位置を必要に応じて変えても構いません。

考えている凸多面体を、地面において(土の面を下にしても構いません)、接地した面を取り除きます。
すると凸多面体の1面が空いた形になります。

空いた面を広げると、面のつながりや頂点のつながり具合を変えないように、平たく伸ばしてゆくことができるはずです。
そして、その図形を平面上に潰して、多面体がつながった形にします。
直方体(六面体)は以下の図のようになります。

こう考えれば、凸多面体の辺、面、頂点の数の関係を変えずに、平面図形として考えることができるようになります。
はじめに面を一つ取り除いたので、この平面図形の頂点の数はv、辺の数はe、面の数はf-1です。

では平面図形の、辺、面、頂点の数はどのような関係があるでしょう。
一つの多角形の場合は以下の表のようになります。

この表を見ると、v-e+f=1を常に満たしています。これは、1つの多角形である限り、成り立つ関係です。

例えば、ある1つの多角形Aの頂点を2つ選んで、適当な折れ線で結んで面を増やすことを考えます(紙とペンを使って書いてみてください)。

Aの頂点の数を vA、辺の数をeA、面の数をfA とします。
また、折れ線で結んだ際に増えた頂点の数を vB、辺の数をeB、面の数をfBとします。
どのような折れ線を書いて、面を1つ増やしたとしても、増えた頂点の数vBは、増えた折れ線の数eBよりも1だけ小さくなります。
つまり、vB-eB+fB=0が成り立ちます。

この式と、vA-eA+fA=1を合わせて考えると、
折れ線を増やしてできた平面図形の頂点の数 vA+vB、辺の数eA+eB、面の数fA+fBについても、
(vA+vB )-(eA+eB )+(fA+fB)=1
が成立します。

面の数を増やしていっても同じことが言えるので、どのような平面図形に対してもv-e+f=1が成り立つことがわかります。

ここで凸多面体に話を戻します。
凸多面体を平面図形にしたときに、面を一つ取り除きました。
ですから凸多面体の頂点の数v、辺の数e、面の数fに対しては以下の式が成立するはずです。
v-e+(f-1)=1

よって、オイラーの多面体定理の式
v-e+f=2が導かれます。

オイラーの多面体定理の問題

オイラーの多面体定理を用いると、正多面体が5種類しかないことが証明できます。
正多面体は正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の5種類しかありせん。
興味があれば証明してみましょう。

ヒント① :正多面体が存在するためには、一つの頂点にあつまる面の数は3以上でなければならない
ヒント② :正多面体が存在するためには、頂点まわりの多角形の角の和は360°より小さい

このヒントでピンときた方は、かなり鋭いです。
正多面体とは、凸多面体で各面が合同な正多角形で、各頂点に集まる面、辺の数が等しいものです。

証明の一部:
ヒント①とヒント②から、正多面体の面をつくる正多角形が限られます。
一つの頂点に集まるような面の数が3以上で、それが360°より小さいのですから、一つの正多角形の角は120°未満でなければなりません。
そのような正多角形は、正五角形、正方形、正三角形しかありません。

面が正五角形のとき、正五角形の1つの角は108°ですから、1つの頂点に集まる面の数は3です。
この多面体の面の数をf、頂点の数をv、辺の数をeとします。
正五角形がf個ありますから、単純な辺の数を考えれば5f本の辺があることになります。

しかし、正多面体を形作るために正五角形を貼り合わせる際、正多面体の一つの辺は、2つの面の構成になっているため 、e=5f÷2で求められます
頂点には3つ面が集まっていることから、3つの辺が集まって1つの頂点ができていることがわかりますので、同様にv=5f ÷3となります。

ここでオイラーの多面体定理を用いると、

となり、これが正十二面体であることがわかります。
以下、同様に考えられますので、やってみてください。

おわりに

最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、オイラーの多面体定理についてまとめました。
他にもサッカーボールを正五角形と正六面体で作られる多面体であると考えて、辺の数や面の数、頂点の数を求めるなどの応用が可能です。

皆さんもぜひ、色々な多面体を題材にして計算してみてください!

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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