【高校化学】アルコールの化学式・分類・性質・反応をわかりやすく解説!
「アルコールは色んな種類や反応があって、なかなか覚えにくい…」と困っている受験生も多いでしょう。
この記事では、アルコールの性質や分類、化学反応などを分かりやすくまとめました。
アルコールが苦手だという人は、ぜひ目を通してみてください。
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1.アルコールとは?
2.アルコールの分類
2-1.分子中のヒドロキシ基の個数による分類
2-2.分子中のヒドロキシ基が結合している炭素原子による分類
2-3.分子中の炭素原子の個数による分類
3.アルコールの性質
3-1.水溶性
3-2.沸点・融点
4.アルコールの反応
4-1.金属ナトリウムとの反応
4-2.ハロゲン化水素との反応
4-3.脱水反応
4-4.酸化反応
5.まとめ:アルコールの性質と反応をしっかり覚えよう!
アルコールとは?
アルコールとは、メタンやエタンなどの脂肪族炭化水素の水素原子を、ヒドロキシ基で置換した構造の化合物です。
一般的にR-OHの示性式で表され、Rは炭化水素を表します。
例えばエタノールは、C2H5OHと表されます。もちろんC2H6Oと表すこともあります。
しかし、C2H6Oならば、エタノール以外の化合物の可能性もあります(ジメチルエーテル)ので、アルコールであるということを強調したい場合は、示性式で表した方が分かりやすいですね。
アルコールの分類
アルコールを分類するとき、次の3つの観点から分類します。
・分子中のヒドロキシ基の個数
・分子中のヒドロキシ基が結合している炭素原子
・分子中の炭素原子の個数
それぞれを以下に詳しく説明していきますね。
分子中のヒドロキシ基の個数による分類
分子中にヒドロキシ基を1個持つものを1価アルコール、2個持つものを2価アルコール、3個持つものを3価アルコールと言います。
2価以上のものを多価アルコールとも言います。
分子中のヒドロキシ基が結合している炭素原子による分類
アルコールは、ヒドロキシ基が結合している炭素原子に、他の炭素原子がいくつ結合するかによっても分類することができます。
ヒドロキシ基が結合している炭素原子に、0~1個の炭素原子が結合しているものを第一級アルコール、2個結合しているものを第二級アルコール、3個結合しているものを第三級アルコールと言います。
単に構造が違うだけでなく、反応性にも大きな違いが見られるので、アルコールの反応を考えるときに、特に重要な分類となります。
分子中の炭素原子の個数による分類
CH3OH(メタノール)やC2H5OH(エタノール)など、分子中の炭素原子が少ないものを低級アルコールと言います。また、C12H25OHのように、分子中の炭素原子が多いものを高級アルコールと言います。
また、炭素数が3個以上になると、構造異性体が存在します。例えば、C3H7OHには、1-プロパノールと2-プロパノールの2種類のアルコールが存在することになります。
【1-プロパノールと2-プロパノールの構造式】
アルコールの性質
アルコールの代表的な性質には、以下の2つがあります。
・低級アルコールは水溶性が高いこと
・沸点・融点が高いこと
この2つについて、詳しく説明します。
水溶性
アルコールは、親水基と疎水基に分けられ、親水基はヒドロキシ基、疎水基は炭化水素基となります。
そのため、メタノールやエタノールなど分子量の小さいアルコールは、水に無制限に溶けますが、炭素数が増えると疎水基である炭化水素基が大きくなるので、水への溶解度が小さくなってしまいます。
沸点・融点
アルコールの沸点や融点は、同程度の分子量を持つ炭化水素や、構造異性体であるエーテルに比べて高くなっています。これは、ヒドロキシ基の存在により、他の分子と分子間の水素結合をするためです。
また、ヒドロキシ基の個数が多くなるほど、水素結合の数が増えるので、沸点が高くなります。
一方、炭素原子の個数が同じであっても、アルコールの級数によって、沸点や融点が異なり、第一級>第二級>第三級となっています。
これは、ヒドロキシ基が付いている炭素原子の立体障害により、水素結合ができにくくなっていることが原因となっています。
【C4H8Oの構造と沸点比較の表(1-ブタノール:117℃、2-ブタノール:99℃、2-メチル-2-プロパノール:83℃)】
アルコールの反応
アルコールは中性の物質ですので、酸・塩基とは中和反応をしません。しかし、金属ナトリウムやハロゲン化水素との反応や酸化反応など、いろいろな反応があり、受験では必須となっています。
以下に詳しくまとめましたので、ぜひ覚えてくださいね。
金属ナトリウムとの反応
アルコールは、金属ナトリウムと反応して水素を発生し、ナトリウムアルコキシドを生成します。この反応は、有機化合物中のヒドロキシ基の検出に利用されます。
【R-OHとNaの反応式】
2R-OH + 2Na → 2R-ONa + H₂
ハロゲン化水素との反応
アルコールにハロゲン化水素(塩化水素・臭化水素・ヨウ化水素など)を反応させると、アルコールのヒドロキシ基がハロゲンで置換されたハロゲン化アルキルを生成します。
この反応の反応性は、第三級アルコール≫第二級アルコール>第一級アルコールとなっています。
【R-OHとHClの反応式】
R-OH + HCl → R-Cl + H₂O
脱水反応
アルコールの脱水反応は、2分子間で水1分子が失われる分子間脱水反応と、1分子内で水1分子が失われる分子内脱水反応の2種類があります。
分子間脱水反応では、エタノールに脱水剤として濃硫酸を加え、130~140℃で加熱すると、分子間脱水が起こり、ジエチルエーテルが生成します。
【エタノールからジエチルエーテルを生成する反応式】
2C₂H₅OH → C₂H₅ – O – C₂H₅O + H₂O
このように、2つの分子から水などの簡単な分子が失われて2分子が結合する反応を縮合と言います。縮合は、同種の2分子だけでなく、異種の2分子間でも起こります。
一方、エタノールに濃硫酸を加え、160~170℃で加熱すると、分子内脱水反応が起こり、エチレンが生成します。
【エタノールからエチレンが生成する反応式】
C₂H₅OH → C₂H₄ + H₂O
この反応のように、分子内から2個の原子または原子団が取り除かれて不飽和結合を生成する反応を脱離反応と言います。
アルコールの脱水反応では、ヒドロキシ基の結合する位置によって反応性が変わります。一般的には、第三級アルコール>第二級アルコール>第一級アルコールの順となっています。
さらに、アルコールと濃硫酸などの脱水剤との反応では、反応温度によって生成物が変わるので覚えるときには十分注意しましょう。
酸化反応
アルコールは、過マンガン酸カリウムや二クロム酸カリウムなどの酸化剤を使って、骨格を崩さずに、アルデヒドやカルボン酸、ケトンに酸化することができます。
酸化反応で生成する化合物は、原料とするアルコールの級数によって異なります。
具体的には、第一級アルコールを酸化するとアルデヒドが生成し、さらに酸化するとカルボン酸となります。
また、第二級アルコールを酸化するとケトンが生成します。一方、第三級アルコールは酸化反応が起こりにくくなっています。
【第一級アルコールから、アルデヒド、カルボン酸が生成する反応式】
R-CH₂-OH →(酸化 -2H)→ R-CHO →(酸化 +O)→ R-COOH
【第二級アルコールから、ケトンが生成する反応式】
R-CHOH-R’ → (酸化 -2H)→ R-CO-R’
【第三級アルコールからは反応しにくいということを示した反応式】
R R’ R’’ C-OH + O₂ →反応しない
これは、ヒドロキシ基が付いている炭素原子が持っている、水素原子の個数によって変わります。
酸化反応から生成する化合物は、アルコールの構造決定において非常に重要ですので、しっかり覚えておきましょう。
まとめ:アルコールの性質と反応をしっかり覚えよう!
アルコールの性質や反応は、たくさんあってなかなか覚えづらいという人もいるでしょう。確かに、アルコールには構造異性体もたくさんあり、それぞれの性質や反応も異なるので、覚えにくいのかもしれません。
しかし、アルコールの性質や反応は、構造決定する上で非常に重要になってきます。今回の記事を参考に、系統立てて整理すれば覚えやすいのでぜひ参考にしてください。
アルコールの性質や反応をきちんと覚えて、実戦での得点力を高めてくださいね。