群数列とは? 複雑な問題を解くポイントと解法!例題と解答&解説つき
「群数列は数列とは違うの?」「群数列が複雑すぎてわからない」など、群数列に対して苦手意識を持っている人は多いのではないでしょうか。
群数列は数列をいくつかの群に分けたもので、高校の数学Bで学習する項目です。群数列のパターンや解法を学ぶことで、複雑な数列に対する苦手意識を克服することができます。
コツがわからないとなかなか難解であることが多いですが、この記事を読んで群数列の問題を解きながら、数列の基本知識を確認していきましょう。
・群数列の考え方がわかる
・数列を自分で群に分けて考える方法
・群数列の代表的な問題の解法
群数列とは?
群数列とは、ある数列を一定の規則に従って群に分けたものです。
といっても、これだけではわかりづらいので、実際に下の例題を解きながら説明します。
群数列の例題で基本事項を確認
この数列の一般項を求めよ。
an = 2| 4, 6, 8 | 10, 12, 14, 16, 18 |20, 22, 24, 26…
群数列の問題は一見難しそうですが、実は数列の問題を普通に解いていくだけです。
まず、よく見てほしいのは、元の数列はただの偶数列に過ぎないということです。
つまり、初項が2で公差が2の等差数列ですから、一般項が求まります。
初項がa1で公差がdの等差数列の一般項anは
an = a1+d(n-1)
ですから、数列anの一般項は
an = 2+2(n-1)
= 2n
となります。
群数列の問題では、もととなる数列は単純なものが多く、解きやすいとも言えます。
群数列の問題で考えるべきなのは、
第p群の最初の項は、全体で見るとq番目の項であり、その値はrである
という3つの数です。
同じものを表すのに、表現が異なるためにややこしく感じてしまうのです。
例えば、この問題において、
第3群の最初の項は、全体で見ると5番目の項で、その値は10である
となっています。これがわかっていれば、群数列の問題は難しくありません。
では、さらに例題を解いていきましょう。
群数列 : 例題を用いて解き方を解説!
群数列の例題
以下の問いに答えよ。
an = 2| 4, 6, 8 | 10, 12, 14, 16, 18 |20, 22, 24, 26…
(1) 第n群の初項と末項を求めよ。
(2) 第n群に含まれる項の総和を求めよ。
(3) 208は第何群の第何項かを求めよ。
※以下に解答と解説
群数列の例題【解答&解説】
群数列の例題(1)
解答: 初項: 2n2-4n+4, 末項: 2n2
解説:
求めるのは、第n群の初項と末項です。
さきほどもとの数列の一般項を求めたので、第n群の初項が全体で見ると第何項なのかがわかれば、求めた
an = 2n
に代入して、その値が求められるはずです。
では、第n群の初項は全体で見ると第何項でしょうか?
nに簡単な数字を代入してみましょう。例えば、n=4として第4群の初項が全体で見ると第何項かは、以下のように考えられます。
「第1群には1個、第2群には3個、第3群には5個の項があるから、第3群までで 1+3+5=9個の項がある。
だから、第4群の初項は、9+1=10より全体で見ると第10項だ。
そして、第4群の末項は同じように考えて 1+3+5+7=16より第16項だ。」
これと同じことをすればよいのです。
一般的に考えてみましょう。第1群には1個、第2群には3個、第3群には5個の項が含まれます。
つまり、第k群に含まれる項の個数が、
bk = 1, 3, 5, 7…
という等差数列になっていることがわかります。
この等差数列の一般項は、bk=2k-1ですので、第k群には2k-1個の項が含まれることになります。
よって、n-1群の最後の項までに全部で
個の項があります。これを計算すると、
となります。つまり、第n-1群の末項は、全体で見ると第(n-1)2項です。
よって、第n群の初項は、全体で見ると第(n-1)2+1項であるといえます。したがって、第n群の最初の項は、
a(n-1)2+1 = 2{(n-1)2+1}
= 2(n-1)2+2
= 2n2-4n+4
です。
第n群の末項も同様に求めましょう。
第n群の末項が、全体で見ると第何項なのかを考えます。すると、より、第n2項であることがわかります。よって、第n群の末項は
an2 = 2n2
となります。
ここで、和を表す記号Σについて復習しておきましょう。
これらの公式は必ず覚えましょう。
ただし、一番上の公式は等差数列の和の公式から、一番下のものは等比数列の和の公式から導出できますから、ゼロから覚えなければならないことは多くありません。
まず基本としてn番目まで足す場合の公式を示しましたが、n-1番目までの公式もよく使います。
合わせて覚えておきましょう。上に示した公式のnの代わりにn-1を代入すると導かれます。
群数列の例題(2)
解答: 2(2n-1)(n2-n+1)
解説:
(1)がわかれば、(2)は非常に簡単です。
ある数列に対して、その一部を部分数列といいます。群数列はある数列をなんらかの規則にしたがって区切ったものなので、その各群は当然に部分数列です。
そして、等差数列や等比数列の重要な性質として挙げられるのが、等差数列の部分数列は等差数列であり、等比数列の部分数列は等比数列であることです。この問題では数列anは等差数列ですから、その部分数列であるそれぞれの群も等差数列です。よって、(2)で求めるのは、等差数列の和ということになります。
「基本事項の確認」で確認したように、初項がa1で公差がdの等差数列の一般項anは
an = a1+d(n-1)
であり、初項から第n項までの和Snはですから、第n群について、含まれる項の個数、初項、末項がわかればよいのですが、これらは(1)ですでに求めました。
第n群に含まれる項の個数は2n-1、初項は 2n2-4n+4, 末項は2n2です。
よって第n群に含まれる項の総和は
です。
群数列の例題(3)
解答: 第11群の第4項
解説:
208が第何群の第何項かを調べます。
わからない数を文字でおくのは、数学の定石ですね。208が第n群に含まれるとすると、
2n2-4n+4≦208≦2n2
を満たすようなnを見つければよいことになります。この条件式を変形すると、
2n2-4n+4≦208
⇔2n2-4n≦204
⇔n2-2n≦102
⇔n(n-2)≦102
かつ
208≦2n2
⇔104≦n2
となり、これを満たすような自然数nは11のみですから、208は第11群に含まれることがわかります。
第11群の初項は2n2-4n+4 にn=11を代入して202と求められますから、第n群は初項が202、公差が2の等差数列です。
そのなかで208が第m項だとすると、
208 = 202+2(m-1)
よりm=4ですから、208は第11群の第4項という答えが求められます。
群数列のまとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。この記事では、群数列の代表的な問題について、基礎知識と考え方を確認しながら解説しました。
群数列の解き方のコツは、ひとつひとつ順番に丁寧に考えることです。
群数列の問題は、実は特別難しいことをしているわけではありません。ひとつひとつ丁寧に考えていけば、答えが出てきます。
そのためにはまず、数列の問題全般に慣れることが重要です。
受験のミカタでは数列に関する記事を多数公開しているので、適宜参照して、数列を得意分野にしてください。
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