【高校化学】アルカンの定義・化学式・性質・構造異性体をわかりやすく解説!

化学 2022.7.1
【高校化学】アルカンの定義・化学式・性質・構造異性体をわかりやすく解説!

「有機化学」とは、炭素と水素をメインとする一定の特異的な構造を持つ物質の集合を指します。

無機化学やこれまでの化学物質にはない構造の特徴性質を持ち、炭素の数が増えるごとに命名されています。

今回は、有機化学の一番の基本の構造である、アルカンに関して解説します。

		

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    1.アルカンの定義

    「鎖式飽和炭化水素」と呼ばれる構造を持つものを、「アルカン」といいます。

    鎖式とは、炭素が鎖のような結合を持つこと、飽和とは、結合の部位全てが一本鎖で他の分子と結合している状態を指します。

    炭素は、結合の鎖が4本あります。そのうちの炭素同士が1本ずつで結合し、端の炭素原子は3本が水素原子と、中間の炭素原子は2本が水素原子と結合している構造をもつのがアルカンです。

    そのため、アルカンの化学式はCn+H2n+2で表すことができ、水素原子の数は炭素原子の2倍+端の水素の追加分で表すことができます。

    アルカンの構造

    上記は、アルカンの一種である「プロパン」の構造式です。

    アルカンは炭素数が多ければ多いほど、沸点や融点が高くなります。一般的に炭素数4までのアルカンは気体、炭素数4~17のアルカンは液体、それ以上は固体として存在しています。

    炭素の数が大きければ大きいほど分子間力が強くなるため、融点及び沸点が高くなります。これは直線の構造を持つ場合の炭素数の比較であり、同じ炭素数を持ちながら直線の炭素数が異なる構造異性体の場合だと沸点や融点も変化します。

      2.アルカンの大きな特徴

      アルカンは化学式でCn+H2n+2で示すことができる通り、分子数が大きくなっても同じような性質を持っています。

      一般的にアルカンは、空気中で反応を起こさない安定的な性質を持っています。

      しかし、酸素やハロゲン元素といった、マイナスイオンを持つ元素とはそれぞれ特異的な反応を引き起こすことが知られています。その特徴をわかりやすく解説します。

      2-1. 分子構造が安定していて常温常圧では反応をしない

      アルカンの結合は炭素と水素の結合です。

      そのため、分子が空気中にただ存在しているだけで、他の物質と結合するような反応を起こしにくい性質があります。

      安定している理由は、極性分子ではないためです。全ての原子が水素と炭素の単一の結合であり、二重結合、三重結合もないため、分子内で電子の偏りが発生していないのです。

      ですので、極性が存在していません。その結果、水に溶けにくい疎水性の性質を持っています。溶けやすい溶媒はジエチルエーテルやアセトンのような無極性の性質を持っているものです。

      2-2. 酸素と大きな反応熱を発生する燃焼反応を起こす

      アルカンは全く、反応しないわけではなく、酸素には強く反応する性質を持っています。

      CH4+2O2→CO2+2H2O

      これはアルカンに存在する単鎖結合よりも、反応後の二酸化炭素と水の共有結合のほうが強固な結合のため発生します。

      アルカンの燃焼反応は反応熱を多く発生するので、燃料として使用されています。

      2-3. ハロゲン元素による置換反応を起こす

      アルカンはハロゲンと置換反応を起こします。

      これは、炭素と水素の結合よりも、強いマイナスのイオンを持つハロゲンとの結合の方が、強固な結合となるためです。

      光を照射することで反応が進みます。分子構造はそのまま、水素原子とハロゲンの場所が変わる形で反応が進むため、置換反応と呼ばれています。

      アルカンの置換反応

      置換反応によって生じた物質は、一つの置換の場合はクロロメタンと呼びます。2つ置換した場合はジクロロメタン、3つはトリクロロメタン、4つはテトラクロロメタンと呼びます。

      2つはジ、3つはトリ、4つはテトラと古代ギリシア語の数字の呼び方が命名されています。

      1つの場合はモノという定冠詞があるのですが、省略されることが多く例のように置換される原子名からの命名になります。

      3.同じ炭素数だけど構造が異なる構造異性体とは?

      アルカンは同じ炭素数にも関わらず、構造が異なる分子が存在しています。この分子を構造異性体と呼び、炭素数4つ以上のアルカンは、異性体が存在しています。

      ここで炭素数6を例に異性体の種類を紹介し、その性質や命名の規則を解説します。

      アルカンの構造異性体

      まずは、炭素が一直線に並んだ構造、それがヘキサンです。

      一直線に並んだ構造なので結合の端が曲がっているものもヘキサンとみなします。

      次に、2-メチルペンタン、3-メチルペンタンです。まずは、一番長い鎖の名前は、5つのため定冠詞のペンタをつけます。次に、端から数えて何番目の炭素に、何個のメチル基が分岐しているかを頭にくっつけることで命名されます。2-メチルペンタンは、炭素数5つのペンタンの分子の端から2番目の分子の水素の箇所にメチルがくっついているという意味です。

      最大炭素数4の2,2-ジメチルブタンや2.3-ジメチルブタンも同様に、どの炭素原子にメチル基が何個結合しているかという意味で命名されています。端から数えて2番目の原子に2つメチルが結合しているか、2,3番目それぞれ結合しているかの違いになります。

      構造異性体に関する問題は、反応をしたあとの化学式を割り出す基本的な問題として出やすいのも大きな特徴です。

      問題を解く場合は、直線の構造を書いて、それを元にどのような分岐があるかという考えを持って解くと手早く解くことができます。長鎖から整理して解くのがポイントです。

      構造異性体の融点や沸点も異なります。枝分かれの分岐が大きい構造を持つものが、融点が高い性質があります。沸点は分子間力が一番強く出る直線上のものが高いです。

        4.まとめ

        いかがでしたでしょうか?アルカンと呼ばれる有機化合物の分子構造の特徴と性質、構造異性体に関して解説をしました。

        • 炭素と水素が単鎖で結合し、Cn+H2n+2で表すことができる
        • 酸素と発熱反応で水と二酸化炭素になる
        • ハロゲンと光による置換反応を引き起こし、置換されたハロゲン分子に応じて、ハロゲン名 ジ- トリ- テトラ-の定冠詞がつけられる
        • 同じ炭素数でも枝分かれの個数や分岐の場所によって、分子の構造が異なる構造異性体が存在する

        以上のポイントがアルカンの押さえておきたいポイントとなります。

        アルカンは今後出てくる、他の有機化学の基本となります。

        命名規則や異性体といった概念は特に、しっかり理解をしておくと今後の分野の深い理解にも繋がります。

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        この記事の執筆者

        ニックネーム:受験のミカタ編集部

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