ダニエル電池とは?仕組みを詳しく解説!

化学 2020.5.20

この記事ではダニエル電池について、基礎的な知識も含めて詳しく解説します。

ダニエル電池は大学受験でも頻出の単元です。

ダニエル電池の電池式自体は問題で提示されることが多いですが、そこから自力で正極や負極における反応などは求められなければなりません。

ダニエル電池だけでなく、化学電池全般を知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。

是非最後までご覧ください。

1.ダニエル電池とは

ダニエル電池はボルタ電池を改良した電池で、1836年に発明されました。

ダニエル電池の基になったボルタ電池には起電力が低下するという欠点がありました。

ボルタ電池は、正極で水素が発生するため、銅板に水素の気泡が付着します。

するとその気泡のせいで銅板と電解液である希硫酸の接着面積が減少し、化学反応が進みにくくなるからです。

この欠点を改善するため、ダニエル電池では硫酸亜鉛水溶液と硫酸銅(Ⅱ)水溶液を素焼き板で仕切り、亜鉛イオンや硫酸イオンが通ることができるようにして接続します。

ダニエル電池の電池式は以下のようになります。

(ー)Zn|ZnSO4|CuSO4|Cu(+)

ダニエル電池の模式図

硫酸亜鉛水溶液に亜鉛板を、硫酸銅(Ⅱ)水溶液には銅板を入れ、導線で接続します。

2種類の水溶液は素焼き板で区切られており、亜鉛板が負極、銅板が正極として機能します。

素焼き板の代わりに2つの水溶液を完全に分離させておき(別々の容器に入れておくなど)塩橋でつなぐ方法もあります。

塩橋とは、U字管に硝酸カリウムなどの飽和溶液をいれて寒天で固めたもので、素焼き板と同様の働きをします。

ダニエル電池のさらに詳しい説明は後で行います。

2.ダニエル電池の前に!電池の仕組み

ダニエル電池の説明の前に、一般的な電池の仕組みについてまとめておきましょう。

電池の仕組みは、電子のやり取りで直流電流を取り出すことで成り立っています。

 2つの半電池を塩橋で結ぶ(ダニエル電池では素焼き板を使う場合が多い)と、2種類の金属板がそれぞれ正極、負極の役割を果たし、電池を形成します。

 塩橋で結ばれた半電池の図

電極同士を、抵抗を付けた導線で結ぶと、電子は導線を通って反対側の電極に移動します。

電子を放出する側が負極で、電子を受け取る側が正極となります。

電子のやり取りをするために利用するのが、酸化還元反応です。
酸化還元反応について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

電子を放出する負極になるのは、イオン化傾向が大きいほうの金属を使用した電極です。

つまりイオン化傾向が大きい金属を使用した電極が負極になります。
イオン化傾向については「イオン化傾向とは?覚え方も使い方もこれでバッチリ!」にまとめてありますので、併せてご覧ください。

3.ダニエル電池の仕組み

ここでは、ダニエル電池の仕組みについて詳しく解説します。

ダニエル電池は、硫酸亜鉛水溶液に亜鉛板を浸した負極と、硫酸銅(Ⅱ)水溶液に銅板を浸した正極を、素焼き板などを境にして組み合わせたものです。

受験問題でよく見られるのは、以下の図のように一つの容器を素焼き版で区切り、硫酸亜鉛水溶液と硫酸銅(Ⅱ)水溶液を入れる方法です。

ダニエル電池の模式図

このときの素焼き版の役割は

①両極の水溶液が混合するのを防ぐこと

②亜鉛イオンと硫酸イオンが通れるようにすること

です。

電極に使用した金属は亜鉛と銅なので、イオン化列をみると、銅よりも亜鉛の方がイオン化傾向が大きいため、亜鉛の電極が負極となります。

よって負極の反応は、硫酸亜鉛水溶液に亜鉛が溶け出し、

Zn →  Zn2+ + 2e

このように電子を放出します。

では、正極側で電子を受け取るのはどのイオンでしょう。

いま、正極側には硫酸銅(Ⅱ)水溶液に溶け出している銅イオンと硫酸イオンがあります。

また硫酸亜鉛水溶液や亜鉛板から溶け出した亜鉛イオンも素焼き板を通って正極付近にあることが考えられます。

「水溶液」ですから、水素イオンや塩化物イオンも存在するはずです。

これらの

Zn2+,Cu2+,SO42-,H+,OH

のなかで一番イオン化傾向が低いイオンが電子を受け取ります(負極での反応も、同様にすべてのイオンの中からイオン化傾向の高いもの、という基準で判断すべきです)。

この中で銅のイオン化傾向がもっとも低いため、

Cu2+ + 2e → Cu

正極はこのように反応し、銅板に銅が析出します。

電解液中では、亜鉛イオンが素焼き板を通って正極側に移動し、硫酸イオンが同様に負極側に移動します。

ダニエル電池の銅が析出する図

ダニエル電池の前に開発されていたボルタ電池では、電解液として希硫酸を使用していたため、(銅イオンがないので)水素が電子を受け取ります。

よって正極で水素が発生し、正極に付着することで、電極と電解液の触れる面積が少なくなり、起電力が下がる「分極」という現象が起こりました。

しかし、ダニエル電池の正極で発生するのは銅であるため、気体が発生せず、起電力がさがりにくい実用的な電池になりました。

 

ボルタ電池やダニエル電池では、正極の電極として銅板を使用します。

受験問題では、銅の反応について問われることもあるので併せて覚えておきましょう。

ボルタ電池では、電解液として希硫酸を使用しますが、銅は希硫酸とほとんど反応しません。

ダニエル電池で使用する硫酸銅(Ⅱ)水溶液は硫酸銅(Ⅱ)を水に溶かしたもので、熱濃硫酸と銅を反応させて作ります。

この際の反応式は

Cu + H2SO4 → CuSO4 + H2

とならず、銅と熱濃硫酸の反応式は

Cu + 2H2SO4 → CuSO4 + SO2 + 2H2O

となります。

これは、半反応式における酸化剤が関係しています。
半反応式について学びたい方はこちらをご覧ください。

濃硫酸と金属の反応では、二酸化硫黄が発生しますから、刺激臭や殺菌漂白作用などがキーワードです。

4.ダニエル電池の仕組み まとめ

この記事ではダニエル電池について詳しくまとめました。

ダニエル電池は硫酸亜鉛水溶液に亜鉛板を、硫酸銅(Ⅱ)水溶液に銅板を浸してできる電池で、亜鉛板が負極、銅板が正極になっています。

ボルタ電池と違い、水素が発生せず、起電力も下がりにくい電池なのでより実用的な電池です。

ダニエル電池は受験でも頻出の電池ですから、しっかり押さえておきましょう。

ご参考になれば幸いです。

最後までご覧くださってありがとうございました。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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