ヘンリーの法則とは?公式はどう使う?問題を解いて気体の体積との関係を理解しよう

化学 2019.6.4

ヘンリーの法則を利用した問題は入試に頻出ですが、授業だけではなかなか理解できなかった人、苦手意識をもっている人も多いのではないでしょうか。

ここではヘンリーの法則とは何か?そもそも気体の溶解度とは何か?をひとつひとつ説明していきます。

つまずきそうなポイントを細かく分け、現象や用語、公式の解説だけでなく、簡単な問題を解くことで理解を深められるようにまとめてみました。苦手意識の克服だけでなく、得点源にしてしまいましょう。

 

1.ヘンリーの法則とはなにか?

まず、ヘンリーの法則というのはどんなものであるか、ざっと説明します。

のちほど詳しく解説しますので、ひとまず読んでみてください。

 

ヘンリーの法則は、溶解度の小さな気体(たとえば酸素、窒素)が溶媒(たとえば水)に溶ける場合の、気体の2つの性質のことを指しています。

 

※溶解度とは

ある温度、ある圧力で溶質がそれ以上溶けなくなった溶液を飽和溶液といい、その溶液の濃度を溶解度といいます。アンモニア(NH3)や塩化水素(HCl)などは溶解度の大きい気体でヘンリーの法則は成り立ちません。

 

・性質1「一定温度での気体の溶解度は、その気体の分圧に比例する。」

温度が一定の気体では、一定量の溶媒に溶けることができる気体の物質量は、その気体の圧力に比例します。気体にかかる圧力が強ければ溶媒によく溶け、圧力が弱ければ溶媒に溶ける量が少ないということです。

 

公式ではこのように表します。

pBKxB

※温度一定の条件下における気体成分(分子)B

Bにかかる圧力:pB

溶液中に溶けている成分Bの物質量:xB

圧力にはよらないが温度に依存する定数(ヘンリー定数)K

 

図では表すと次のようになります。

 ヘンリーの法則

・性質2「一定温度では、一定体積の溶媒に溶ける気体の体積は圧力によらない。」

溶ける気体の体積は、測定した圧力のもとでは一定です。 溶ける気体の体積は圧力に比例して増えて、そのあと増えた分だけ減少しており、結果的に反応前と体積は変わりません。

 

ヘンリーの法則に関する身近な現象は、炭酸飲料水です。

炭酸飲料水の入っている容器を開けると、溶液から気泡(二酸化炭素 CO2)が発生します。

この二酸化炭素の気泡の発生は、ヘンリーの法則によるものです。

炭酸飲料水は、高圧にして二酸化炭素を溶かしています。ところが、栓を開けると二酸化炭素の分圧が小さくなります。そのため、溶けきれなくなった二酸化炭素が気体として発生するのです。

 

なんとなく理解できたでしょうか。

一部しか分からない、全く分からない、という人も大丈夫です。

次の項から、ヘンリーの法則のどこが難しいのか、テストでどのように出題されるかをひとつずつ説明していきます。

 

2. ヘンリーの法則の難しいところ

ヘンリーの法則で難しいと感じる人が多いのは、2つの性質がぱっと見で理解しにくいからではないでしょうか。

ここでは、ヘンリーの法則のもつ2つの性質についてより詳しく解説します。

 

繰り返しになりますが、ヘンリーの法則は一定温度で一定の量の溶媒に対して、

性質1:溶媒に溶ける気体の物質量は、圧力に比例する。

性質2:溶媒に溶ける気体の体積は、その圧力のもとで一定になる。

という法則です。

文字を読んでいると「圧力が比例するのか一定なのかわからない」という疑問が浮かんでくる人も多いのではないでしょうか。

性質1、2は矛盾があるように見えますが、矛盾していないのです。

イメージから現象を理解していきましょう。

 

  • 性質1の考え方

まず、水の入った容器をイメージします。

残りの半分の空間に酸素などの水に溶けにくい気体が入っています。

この状態で、上から気体に圧力を加えると、気体がぐっと押されて水の中に入っていくような気がしませんか?

実際にも、気体が水の中から逃げようとする力を周囲の圧力が押さえこめた分だけが水に溶けていくため、周りの圧力が高くなると、溶ける気体の量も多くなっていきます。

では、2倍の力で気体を押しこめばどうなるでしょうか。

先程と同じ考え方をすると、2倍の量(物質量)の気体が溶けていくことになります。

ヘンリーの法則の性質1はこのような考え方をすれば理解がしやすいのではないでしょうか。

 

  • 性質2の考え方

性質1より、2倍の圧力を加えて気体を溶かすと、2倍の物質量の気体が溶けるようになります。

このときの気体の状態を考えてみましょう。

気体に2倍の圧力が加わっているということは、水に溶けた気体そのものは、押し固められて体積が半分になってしまいます。例えば、圧力を2倍にすると溶けた気体の体積は1/2になります。

つまり、体積が半分になった気体が2倍溶けているので、溶けた気体の体積はプラスマイナスゼロで変化なし、つまり体積は一定となるのです。

このように、性質1、性質2それぞれに着目すると、矛盾なく成立していることがわかります。

 

3.【ヘンリーの法則の例題1】酸素と窒素の体積比で考えてみよう。

それでは、ヘンリーの法則を理解したところで、実際に問題を解いてみましょう。

 

例題

0℃で酸素の圧力を3.0×105Paにしました。このとき3.0Lの水に溶ける酸素は何Lですか。ただし、酸素は0℃1.0×105Paにおいて、水1L5.0×10-2L溶けるものとします。

 (※以下に解答と解説↓)

 

 

 

 

 

 

 

回答

ヘンリーの法則から、気体の溶ける量は圧力に比例します。

また、水の量にも比例します。

そのため、この問題は次のように解くことができます。

 式1

 

4.【ヘンリーの法則の例題2】混合気体ではどう考える?

少し難しくなると、混合気体についての問題が出題されます。

ヘンリーの法則を使って、一つずつ整理していけば問題なく回答することができます。

 

例題

酸素と窒素が1:4の体積比で混合した標準状態(0℃1.0×105Pa)の空気があります。この時、以下の問いに答えなさい。ただし、0℃1.0×105Paのもとで1Lの水に窒素は25mL、酸素は50mL溶けるものとします。

(1)水3.0Lに溶解している窒素の体積(mL)を求めなさい。

(2)水3.0Lに溶解している酸素の物質量(mol)を求めなさい。

(3)この空気と接している水20Lに溶解している窒素と酸素の質量比(N2/O2)を求めなさい。

 (※以下に解答と解説↓)

 

 

 

 

 

 

 

回答

(1)分圧=全圧×物質量(モル分率)の公式から、窒素のみの分圧を求めることができます。

1.0×105(Pa)×4/5

分圧を求められれば、前の項と同様に解くことができます。

 

(2)(1)と同様に酸素の分圧を求めると

1.0×105(Pa)× 1/5

これを用いると

式3

(3)

分母がO2の質量(g)、分子がN2の質量(g)となるように計算をします。

 式4

 

5.まとめ

ヘンリーの法則について説明をしてきましたが、まとめると以下のようになります。

 ヘンリーの法則は、溶解度の小さな気体(たとえば酸素、窒素)が溶媒(たとえば水)に溶ける場合の、気体の2つの性質のことを指しています。

②性質1「一定温度での気体の溶解度は、その気体の分圧に比例する。」

③性質2「一定温度では、一定体積の溶媒に溶ける気体の体積は圧力によらない。」

④ヘンリーの法則は公式ではこのように表します。

pBKxB

※温度一定の条件下における気体成分:B

Bにかかる圧力:pB

溶液中に溶けている成分Bの物質量:xB

圧力にはよらないが温度に依存する定数(ヘンリー定数)K

 ⑤混合気体は分圧=全圧×物質量(モル分率)の公式から、それぞれの分圧を計算する。

ヘンリーの法則は一見複雑に見えますが、原理を理解できれば比の計算を使って簡単に問題を解くことができるようになります。

分からなくなったときは、この記事を読み返して理解を深めていってくださいね!


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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