ヘンリーの法則とは?公式はどう使う?問題を解いて気体の体積との関係を理解しよう

化学 2024.4.5
ヘンリーの法則とは?公式はどう使う?問題を解いて気体の体積との関係を理解しよう

ヘンリーの法則を利用した問題は入試に頻出ですが、授業だけではなかなか理解できなかった人、苦手意識をもっている人も多いのではないでしょうか。

ここではヘンリーの法則とは何か?そもそも気体の溶解度とは何か?をひとつひとつ説明していきます。

つまずきそうなポイントを細かく分け、現象や用語、公式の解説だけでなく、簡単な問題を解くことで理解を深められるようにまとめてみました。

苦手意識の克服だけでなく、得点源にしてしまいましょう。

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    1.ヘンリーの法則とはなにか?

    まず、ヘンリーの法則というのはどんなものであるか、ざっと説明します。

    のちほど詳しく解説しますので、ひとまず読んでみてください。

     

    ヘンリーの法則は、溶解度の小さな気体(たとえば酸素、窒素)の場合に、一定温度で一定量の溶媒に溶ける気体の物質量は、その気体の圧力(分圧)に比例することを指します。

     

    ※溶解度とは

    ある温度、ある圧力で溶質がそれ以上溶けなくなった溶液を飽和溶液といい、その溶液の濃度を溶解度といいます。

    アンモニア(NH3)や塩化水素(HCl)などは水に溶けたときにイオン化してしまうため、溶解度の大きくヘンリーの法則は成り立ちません。 

    温度が一定の気体では、一定量の溶媒に溶けることができる気体の物質量は、その気体の圧力に比例します。

    気体にかかる圧力が強ければ溶媒によく溶け、圧力が弱ければ溶媒に溶ける量が少ないということです。

     

    公式ではこのように表します。

    pBKxB

    ※温度一定の条件下における気体成分(分子)B

    Bにかかる圧力:pB

    溶液中に溶けている成分Bの物質量:xB

    圧力にはよらないが温度に依存する定数(ヘンリー定数)K

     

    図では表すと次のようになります。

     ヘンリーの法則

    ヘンリーの法則に関する身近な現象は、炭酸飲料です。

    炭酸飲料の入っている容器を開けると、溶液から気泡(二酸化炭素 CO2)が発生します。

    この二酸化炭素の気泡の発生は、ヘンリーの法則によるものです。

    炭酸飲料水は、高圧にして二酸化炭素を溶かしています。ところが、栓を開けると二酸化炭素の分圧が小さくなります。

    そのため、溶けきれなくなった二酸化炭素が気体として発生するのです。

     

    なんとなく理解できたでしょうか。

    一部しか分からない、全く分からない、という人も大丈夫です。

    次の項から、ヘンリーの法則のどこが難しいのか、テストでどのように出題されるかをひとつずつ説明していきます。 

      2. ヘンリーの法則は物質量を基準に考えるべき

      先ほどの説明から、溶媒に溶ける気体の物質量は、圧力に比例するということは理解できたでしょうか?

      まずは図を参考にヘンリーの法則をイメージすることから始めてみてください。

      ヘンリーの法則を理解するうえで紛らわしいのが気体の体積に関する説明です。

      ヘンリーの法則では体積が一定だったり、ある条件では気体の物質量と比例して体積が大きくなったりするなど混乱しやすいです。

      とりあえず、体積は一定であるということを覚えておきましょう。

      結局のところヘンリーの法則で重要なのは、気体に溶ける物質量を基準にして考えることです。

      気体に溶ける物質量は、前述したように気体の圧力(分圧)に比例します。

      問題を解くときも気体に溶ける物質量を基準にして解き進めてみましょう。

      3.【ヘンリーの法則の例題1】酸素と窒素の体積比で考えてみよう。

      それでは、ヘンリーの法則を理解したところで、実際に問題を解いてみましょう。

       

      例題

      標準状態(0℃、1.0×105Pa)のもとで水1Lに酸素が50mL溶けるものとします。

      それでは0℃、5.0×105Paにおいて、水1Lに溶解している酸素の質量は何gか?

      また酸素の分子量は32とする。

       (※以下に解答と解説↓)

       

       

       

       

       

       

       

      回答

      まずは、ヘンリーの法則で重要な物質量を基準にして考えましょう

      溶解する酸素の物質量は、

      酸素の物質量の求め方

      ヘンリーの法則から、気体に溶ける量は圧力に比例するため、求める酸素の質量は、

      酸素の質量の求め方

        4.【ヘンリーの法則の例題2】混合気体ではどう考える?

        少し難しくなると、混合気体についての問題が出題されます。

        ヘンリーの法則を使って、一つずつ整理していけば問題なく回答することができます。

         

        例題

        酸素と窒素の物質量が1:4の体積比で混合した標準状態(0℃、1.0×105Pa)の気体があります。

        ただし、0℃、1.0×105Paのもとで1Lの水に窒素は25mL、酸素は50mL溶けるものとします。

        また酸素の分子量は32、窒素の分子量は28とする。

        この時、以下の問いに答えなさい。

         

        (1)水1Lに溶解している窒素の体積(mL)を求めなさい。

        (2)水1Lに溶解している酸素の物質量(mol)を求めなさい。

        (3)この気体と接している水1Lに溶解している窒素と酸素の質量比(N2:O2)を求めなさい。

         

         (※以下に解答と解説↓)

         

         

         

         

         

         

         

        回答

        ヘンリーの法則を用いた混合気体の問題は、分圧を考えることがとても重要です。

        分圧は全圧×物質量(モル分率)で求めることができます。以下の問題で勉強していきましょう!

        (1)

        この問題における窒素の分圧は以下のようになります。

        窒素の分圧の求め方

         

        よって、この分圧において溶解する窒素の体積は、

        窒素の体積の求め方

         

        (2)

        (1)と同様に酸素の分圧を求めると以下のようになります。

        酸素の分圧の求め方

        よって、この分圧において溶解する酸素の物質量は、

        酸素の物質量の求め方

        (3)

        溶解する気体の物質量はその気体の圧力(分圧)に比例するというヘンリーの法則に基づいて、水1Lに溶解する気体の質量を以下のように求める。

        (気体の質量)=(溶解した気体の物質量)×((分圧)÷(全圧))×分子量

        よって窒素の質量は、

        窒素の質量の求め方

        同様に酸素の質量は、

        酸素の質量の求め方

        したがって質量比は、

        窒素と酸素の質量比の求め方

          5.まとめ

          ヘンリーの法則について説明をしてきましたが、まとめると以下のようになります。

           ヘンリーの法則は、溶解度の小さな気体(たとえば酸素、窒素)の場合に、一定温度で一定量の溶媒に溶ける気体の物質量は、その気体の圧力(分圧)に比例することを指す。

          ②ヘンリーの法則は物質量を基準にして考えるべき

          ③ヘンリーの法則は公式ではこのように表します。

          pBKxB

          ※温度一定の条件下における気体成分:B

          Bにかかる圧力:pB

          溶液中に溶けている成分Bの物質量:xB

          圧力にはよらないが温度に依存する定数(ヘンリー定数)K

          混合気体は分圧=全圧×物質量(モル分率)の公式から、それぞれの分圧を計算する。

          ヘンリーの法則は一見複雑に見えますが、原理を理解できれば比の計算を使って簡単に問題を解くことができるようになります。

          分からなくなったときは、この記事を読み返して理解を深めていってくださいね!

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          この記事の執筆者

          ニックネーム:受験のミカタ編集部

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