イオン結合とは:イオン化結合と共有結合の違い

化学 2019.5.21

物質の状態や物質の構造を知っておくことは、受験では非常に重要です。

また、物質の構造による性質についての知識も、問題を解くうえで必要です。

物質の結晶構造は、現在でも研究が盛んに行われている分野で、大学に入ってより詳しく勉強します。

この記事では、イオン結合などの結合の種類などについてまとめます。

 

1.イオン結合とは

イオン結合とは、正電荷のイオンと負電荷のイオンの間に働く静電気力(クーロン力)による化学結合です。

有名なイオン結合結晶としては、塩化ナトリウムなどがあります。

塩化ナトリウムは、単に塩や食塩と呼ばれることもあります。

受験では「食塩=塩化ナトリウム」で問題ありません(実際には食用や医療用に調整された塩化ナトリウムを食塩といいます)。

「塩化ナトリウム型構造」という結晶構造を持ち、結晶構造として代表的なものです。

Na原子とCl原子が交互に並んでいます。

 Na+が正電荷のイオン(陽イオン)、Cl が負電荷のイオン(陰イオン)です。

陽イオンと陰イオンの間には、静電気力(クーロン力)という引き合う力が働きます。

この静電気力により原子が寄り集まって結晶を作るのが、イオン結合です。

あとでまとめますが、陽イオンと陰イオンが交互に並んでいること、静電気力により結晶を作っていることが、イオン結晶の性質と関連しています。

 

2.イオン結合 ①  結晶と固体

イオン結合を解説する前に、まずは結晶と固体について説明します。

固体は結晶と無定形固体に分類することができます。

結晶はクリスタルということもありますし、無定形固体は非晶質やアモルファスということもあります。

結晶には金属結晶イオン結晶共有結晶分子結晶があります。

結晶は粒子が規則正しく配列していて、融点が一定のものです。

先に例を出した塩化ナトリウムの他にダイヤモンド(共有結晶)、鉄(金属結晶)、氷(分子結晶)などが挙げられます。

逆に無定形固体は、粒子が不規則に配列していて、融点が一定ではありません。

代表的な無定形固体として、ゴムやガラスなどが挙げられます。

 

結晶について理解するには、原子の構造について理解しておくとわかりやすいです。

これらの知識も受験では必須ですから、以下の内容が曖昧な方は、しっかり復習しておきましょう。

 

原子の中心には、正の電荷をもつ「原子核」があります。

そして原子核の周りに、負の電荷をもつ「電子」が回転しながら取り巻いています。

電子の存在を詳しく知るには、量子力学の知識が必要ですから、興味があれば大学に入ってから詳しく学びましょう。

 

原子核の中には陽子と中性子があり、陽子の数は原子の種類ごとに決まっています。

 例えば炭素原子C6個の陽子を持っていますし、6個の陽子を持つのは炭素原子のみです。

周期表は陽子の数に従って順番に並べられています。

 

原子は単体で見ると電気的に中性になり、基本的には陽子と同じだけの電子を持っていますが、他の原子と電子のやり取りをすることで結晶をつくることもあります。

電子は電子核と呼ばれる空間で運動しながら存在しています。

電子核はK殻、L殻、M殻、N殻………があり、それぞれの電子核に収容できる電子の数は違います。

内側にあるL殻から順番に2n2の電子が収容できます。

電子殻の電子の収容順番と、周期表には密接なかかわりがあります。

周期表18族に属する希ガスが安定しているのは、電子殻に電子が満たされていて、他原子と電子のやり取りをしづらいからです。

物質には安定な方向に変化する性質があり、17族(ハロゲン)は電子を一つもらうと安定な状態になり、1族(アルカリ金属元素)は電子を一つ渡すと安定な状態になります。

ですから、1族のNa元素と17族のCl元素は反応しやすく、電子のやり取りをしてNaClの結晶を作ります。

このとき、Na は負電荷である電子を一つ渡していますからNa+、Cl は負電荷を一つもらっていますからCl– というイオンになり、電荷を帯びます。

帯びた電荷により静電気力を生じて結合します。

こうしてできるのがイオン結晶です。

 

3.イオン結合 ②  イオン結晶の性質

イオン結晶は非常に強い静電気力で結びついています。

ですから、その結晶を熱により崩すには大きなエネルギーが必要です。

そのため、イオン結晶には融点が高いものが多いです。

さきほど、イオン結晶は陰イオンと陽イオンが交互に規則正しく並んでいる、と言いました。

+と-は静電気力により引き合いますが、同じ電荷どうしは反発します。

強い衝撃によりイオンの配列がずれると、陰イオンどうし、陽イオンどうしが隣り合うことになりますから、もろく、強い衝撃で割れやすい性質もあります。

 

イオン結晶は電子のやり取りにより生じた静電気力により結びついています。

電気を通す、というのは電子が自由に動き回れる状態のことです。

その点でイオン結晶は、イオンの位置が固定されていますから、電子が自由に動くことができません。

そのため結晶状態では電気を通しにくいという性質もあります。

ですが、イオン結晶の溶解液や水溶液では、構成イオンが自由に動けますから、電気をよく導くようになります。

 

4.イオン結合 ③  金属結合

イオン結合などの結合の種類のひとつの金属結合を説明します。

金属元素どうしは金属結合で結びついています。

金属結合も静電気力により結び付けられています。

金属元素は電子を放出し、陽イオンとなります。

放出された電子をすべての金属陽イオンの間で共有しています。

この電子は自由に動き回るので自由電子と呼ばれ、この自由電子の負電荷と、陽イオンの正電荷がひかれあい、結晶を構築します。

電子が自由に動き回りますから、電気をよく通しますし、熱もよく導きます。

自由電子が光を反射することで金属光沢があります。

また、力が加わっても静電気力が働きますから、展性(叩いて薄く広がる性質)・延性(引っ張って伸びる性質)をもちます。

 

5.イオン結合と共有結合

これからイオン結合と共有結合の違いを説明します。

元素記号の周りに最外殻電子を点で表したものを電子式といいます。

電子式に関してはここでは詳しく書きませんから、教科書などで復習してください。

水素原子Hの原子番号は1で、K殻に1つの電子があります。

酸素原子Oは原子番号が8ですから、K殻に2つの電子、L殻に6つの電子があります。

【水素原子の電子式】

水素原子の電子式

【酸素原子の電子式】

酸素原子の電子式

L殻には最大8つの電子が入りますから、酸素原子には2つの電子が足りません。

どこかから2つの電子をもらえば安定しますが、電子が余っているのは金属原子である場合が多いです。

電子が2つ余っているカルシウムCaと結合するとCaO(酸化カルシウム・生石灰)となりますが、これは先に説明したイオン結合です。

 

電子を補充する方法はもう一つあります。

水素はK殻に1つの電子をもち、K殻には最大2つの電子が入りますから、1つ電子が足りません。

そこで、水素原子が2つ集まって、お互いの電子を共有します。

そうすると、お互いに自分の周りに2つの電子を持つことになりますから、安定します。

こうしてできたのが水素分子 H2 です。

水素分子

電子を余っているところからもらう(イオン結合)のではなく、足りないものどうしで共有して安定を図るのが共有結合です。

水素 H2 , 酸素 O2 , 窒素 N2  , 水 H2 , 二酸化炭素 CO2 , メタン CH4  などは共有結合です。

 

受験でよく出てくる金属元素は電子が余っています。

一方、受験で出てくる非金属元素は電子が足りません。

ですから、すべてではありませんが、概ね次のことが言えます。

 

  • 非金属元素と非金属元素     → 共有結合
  • 金属元素と非金属元素    → イオン結合
  • 金属元素と金属元素     → 金属結合

6.おわりに

最後までご覧くださってありがとうございました。

この記事では、イオン結合と金属結合、共有結合についてまとめました。

ご参考になれば幸いです。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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