鉛蓄電池とは?原理や反応式を理解!例題を使って分かりやすく解説!
鉛蓄電池についての問題は入試などでも良く出てきますよね?
さらに鉛蓄電池の原理などを詳しく覚えておけば、点数アップも期待できます。
今回は鉛蓄電池の原理を中心に、コツを抑える方法を紹介します。
意外と簡単なものなのでしっかり覚えておきましょう!
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鉛蓄電池の原理とは?
鉛蓄電池は、鉛板と酸化鉛の2つから構成される電池のことです。
この2つを希H2SO4、つまり電解液に浸けることで電気を生み出すと考えてください。
鉛と電解液の化学反応によって電圧が発生し、電気が蓄えられていきます。
鉛と電解液の反応を利用することで、電気を作り出すものと考えれば良いでしょう。
電解液は硫酸と水の組み合わせで作られていて、希硫酸と呼ばれます。この硫酸と水が酸化還元を促し、イオンを生み出すことで鉛蓄電池は動きます。
鉛蓄電池の原理を覚えるうえで重要なポイントがあるのですが、それが以下の2つです。
- 正極
- 負極
電池ですから、正極と負極の2つが存在します。
原理を覚えるためにも、まずは正極と負極についてしっかり理解しておきましょう!
鉛蓄電池の正極
正極は、負極から流れ込んできたe-を受ける役割を果たしています。
負極であるPb板からe–が流れ込んできて、正極であるPbO2板に届くとPbO2板にあるPb4+がe–を受ける形です。
この時Pb4+は、Pb2+と変化することを忘れないようにしましょう!
Pb2+は希H2SO4水溶液の中にある硫酸イオンSO42-と一緒になり、PbSO4が発生することになります。
これが正極の主な働き、反応です。
正極と負極でそれぞれ働きや反応は違うので、混同しないように注意しましょう。
こうした働きを下の反応式にまとめておきます。
正極は負極から流れ込んできたe–を受け取ります。
PbO2+4H++2e–→Pb2++2H2O
Pb2+が溶液の中にあるSO42-と反応するので以下の反応式も必要です。
PbO2+4H++SO42-+2e–→PbSO4+2H2O
これらの反応式は正極の働きを簡単にまとめたものなので大切です。
鉛蓄電池の負極
では次に負極について見ていきます。
負極というのは、自分がイオンとなってe-を放出する役割を持ちます。
e–を作り出して正極に届けるのです。
鉛蓄電池の場合、PbとPbO2という2つの金属の板が存在し、それぞれが正極と負極に分かれるのですが、負極になるのはPbです。
PbとPbO2はどちらも溶解することでPb2+とPb4+に変化します。どちらも鉛がイオンになったものですが、安定性の違いによって正極になるか負極になるかが分かれます。
Pb2+の方がPb4+よりも安定性が高く、イオンになりやすいという特徴を持っています。そのためPb2+が先に溶け出してイオンを作り出すことになり、負極になります。
2つの金属の板のうち、Pb板が先に溶け出しイオンとなると覚えましょう。
こうして生まれたe–は銅線を通ってPbO2板、つまり正極へと動いていきます。
この流れを反応式でもまとめておきます。
まずPb板が溶け出してPb2+を発生させます。
Pb→Pb2++2e–
正極と同じくSO42-と反応するので以下の反応式も出てきます。
Pb+SO42-→PbSO4+2e–
これらが鉛蓄電池の負極の反応を式にしたものです。
【鉛蓄電池の基礎】一次電池と二次電池
電池には大きく分けて一次電池と二次電池があります。
私達が普段の生活で使っている電池もこのどちらかに該当しているわけですが、鉛蓄電池はどちらなのでしょうか。
まず電池というのは、負極から正極に電子を流して電流を発生させており、この働きを放電と言います。
放電しているからこそ、電気を使うことができるわけです。
逆に正極から負極へ電子を流すことを充電と言い、充電できる場合は充電後に再度放電できるようになります。
充電ができない電池が一次電池で、充電できる電池が二次電池です。
鉛蓄電池は、充電が可能なので二次電池となります。充電さえすれば、何度も使用できるのです。
鉛蓄電池は、二次電池ということもおさえておきましょう。
鉛蓄電池に関する問題
入試でも鉛蓄電池に関する問題はよく出るのですが、ここではその具体例を、例題を使って紹介します。
原理について正しく理解するだけでなく、問題を実際に解けるようになることが大切です。鉛蓄電池の問題は、解き方さえ理解しておけばそれほど難しくありません。
問題の傾向としても複雑なものではなく、単純なので覚えるべきポイントをしっかり覚えておけば苦労することもなくなるはずです!
問題を解くために重要なこととして、鉛蓄電池の正極と負極の質量の変化が挙げられます。
それぞれどう質量が変化するのかを、まずは抑えていきましょう!
鉛蓄電池の質量の変化に関する問題
まず正極の質量の変化ですが、正極の反応式を思い出しましょう。
PbO2+4H++SO42-+2e–→PbSO4+2H2O
これが反応式です。
反応式を見ると、SO2の分だけ質量が増えているのがわかるでしょうか。e–の係数が2となっているので、正極では64グラム質量が増えることになります。
正極ではSO2の分だけ質量が増える、これを公式のようなものとして覚えておくと良いかもしれません。
では負極はどうでしょうか。
負極の反応式はこうです。
Pb+SO42-→PbSO4+2e–
こちらは正極とは違い、SO4の分だけ質量が増加します。やはりe–の係数は2なので負極では96グラム質量が増えます。
正極は64グラム、負極は96グラム質量が増加すると丸暗記してしまっても良いルマ!
鉛蓄電池の問題を解く際にはこの質量の変化も必要になる場合があるので、必ず覚えて置く必要があります。
鉛蓄電池を例題を使って解説!
では例題を使って問題を解く流れを確認します。
- 「鉛蓄電池の正極と負極の反応をe-も含めたイオン反応式で書きなさい」
正極と負極の2つの反応式を書けば良いだけなので、反応式を覚えておけば簡単な問題です。
これまでに何度か紹介していますが、
正極のイオン反応式はPbO2+4H++SO42-+2e–→PbSO4+2H2O、負極のイオン反応式はPb+SO42-→PbSO4+2e–です。
この2つの反応式が答えになります。反応式を覚えておくことは原理を理解するためでなく、問題を解くためにも重要なポイントです。
- 質量の増加を問われる問題
放電後に質量が何グラム増加したか問われる形で、問題によってファラデー定数も決められています。
先ほど正極と負極で、それぞれ質量がどのくらい増えるかを紹介しました。
正極ならSO2の分だけ、負極ならSO4の分だけ質量は増加します。この点を覚えておけば、後は問題に応じて必要な数字を当てはめて考えるだけです。
- 「鉛蓄電池を充電したい時、外部電源の正極と負極は鉛蓄電池の正極と負極どちらに繋げればいいのか」
これは非常に覚えやすく、正極は正極に、負極は負極に繋ぐのが正解となります。同じ極同士で繋げば充電できるのが鉛蓄電池と覚えておけば時間をかけずにすぐ解ける問題です。
逆にこのことを覚えていないと勘で解くしかなくなってしまうので注意しましょう。
ここまで鉛蓄電池の原理や反応式、問題の解き方などを見てきました。
鉛蓄電池は複雑で難しいというイメージの人も多いのですが、覚えるべきポイントさえ知っておけば問題も楽に溶けます。
仕組みを理解しつつ必要な反応式などを覚えておくようにしましょう!