ボルタ電池とは?酸化還元反応やイオン化傾向も含めて解説!

化学 2020.6.16

ダニエル電池、マンガン電池、鉛蓄電池、燃料電池など、高校化学ではいくつかの電池を勉強します。
他にもさまざまな電池があり、実用的には酸化銀電池やリチウム電池、リチウムイオン電池などがあげられます。

この記事で詳しく紹介する「ボルタ電池」は、負極に亜鉛、正極に銅、電解液として希硫酸を使用します。

ボルタ電池だけでなく、化学電池全般を知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。
化学電池とは?ボルタ電池・ダニエル電池・燃料電池の仕組みを徹底解説!

是非最後までご覧ください。

1.ボルタ電池とは

ボルタ電池は、正極に銅板、負極に亜鉛版を、電解液に希硫酸を用いる電池です。

18世紀後半から19世紀にかけて活躍した、イタリアの物理学者ボルタが開発・改良した電池なので「ボルタ電池」と呼ばれます。

ボルタ電池の電池式は

(−)Zn | H2 SO4 | Cu (+)

で表されます。
また、電解質が水溶液であることを明示するために

(−)Zn | H2 SO4 (aq)| Cu (+)

と表記することもあります。

ボルタ電池の負極・正極における反応式は

負極:Zn → Zn2+ + 2e
  正極:2H+ 2e a → H2

です。

ボルタ電池の詳しい説明は後で行います。

2.【ボルタ電池を理解するために】一般的な電池の仕組み

一般的な電池の仕組みについて復習しておきましょう。

電流は電子が移動することで流れます。
電子は負電荷をもっているため、電子が移動する向きとは逆向きに電流が流れます。

正に帯電している物質と負に帯電している物体を導線でつなぐと、負に帯電している物体から正に帯電している物体に電子が移動し、直流電流を取り出すことができます。

このとき正に帯電している物体を正極、負に帯電している物体を負極と呼び、このような仕組みで直流電流を取り出す仕組みを持った装置を、電池といいます。

このように電池から電流を取り出すことを「放電」と言います。
逆に外部から電流を流すことにより、反応した物質をもとの状態に戻すことを「充電」と言います。

電池には充電できるものと、充電できないものがあります。
ダニエル電池やマンガン乾電池など充電できない電池を「一次電池」、鉛蓄電池やニッケル・カドミウム電池など充電により元の状態に戻すことができる電池を「二次電池」と言います。
ボルタ電池は一次電池です。

3.【ボルタ電池を理解するために】酸化還元反応とイオン化傾向

酸化還元反応には以下のようにいくつかの定義があります。

①酸素のやり取りで酸化・還元を定義する方法
②水素のやり取りで酸化・還元を定義する方法
③電子のやり取りで酸化・還元を定義する方法

それぞれ使用する場面が異なりますが、電池の反応で使用するのは、③の電子のやり取りに注目する方法です。

電子のやり取りに注目したとき、相手を酸化させるもの(つまり自身が還元したもの)を酸化剤、相手を還元させたもの(つまり相手を酸化したもの)を還元剤と呼びます。

電子は急になくなったり増えたりしませんので、酸化反応と還元反応は常にセットでおこります。
そのため合わせて「酸化還元反応」と呼ぶことが多いのです。

電子のやり取りに注目した場合、
酸化 = 電子を失うこと
還元 = 電子を受け取ること
と定義します。

つまり
酸化剤 = 相手の電子を奪い取るもの
還元剤 = 相手に電子を与えるもの
です。

電子に着目した酸化還元反応で知っておかなければならないのが、金属のイオン化傾向です。

周期表を見れば様々な金属が載っていますが、金属によってどの物質にどれくらい反応するか(反応性)が変わります。
例えばカリウム K は常温の水と激しく反応して水素を発生するうえ、反応熱により水素に引火し爆発する危険もあります。
一方白金 Pb や金 Au は非常に安定しており、王水(濃塩酸:濃硝酸=3:1の混合液)でようやく反応します。

イオン化傾向とは、水中で金属の単体が陽イオンになろうとする尺度のことで、イオン化傾向が大きい順に物質を並べたものをイオン化列と言います。

K Ca Na Mg Al Zn Te Ni Sn Pb (H2 ) Cu Hg Ag Pt Au

このイオン化列は覚えておく必要があります。
イオン化傾向が高いほど、水中で陽イオンとなり電子を放出しやすいため、2つの金属板を水溶液に入れて電池を作ったとき、イオン化傾向の高い金属板が負極になります。

イオン化傾向については以下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
イオン化傾向とは?覚え方も使い方もこれでバッチリ!

4.ボルタ電池の仕組み

それではいよいよ、ボルタ電池について詳しく解説しましょう。
ボルタ電池は、電解液として希硫酸、極板として亜鉛板と銅板を用います。

 

亜鉛Znと銅Cuのイオン化傾向を比較するとZnの方が大きいため、亜鉛板で以下の反応が起こります。

Zn → Zn2+ + 2e

電子を放出しているので、この亜鉛板が負極です。

ボルタ電池 解説

では、電子を受け取るのはどの物質でしょう。

今、電池に含まれているイオンは

Zn2+   SO42-   H+

の3つです。

銅と希硫酸はほとんど反応しないのでCu2+ はほとんどないものと考えます。

余談ですが、銅は熱濃硫酸と反応して二酸化硫黄を発生して硫化銅(Ⅱ)になります。
この反応は受験でもそのまま出題されますので、銅が希硫酸とほとんど反応しないが、熱濃硫酸と反応すること」と併せて覚えておきましょう。

この3つのイオンの中で最もイオンを受け取りやすい(イオン化傾向が低い=酸化剤として機能する)のは、水素イオン Hです。
よって、正極となる銅板側では、水素イオンが電子を受け取り、

2H+ 2e– → H2

このような反応式となります。
よって、正極の銅板では水素が発生します。

ボルタ電池 解説

電極間の電圧の差が起電力となりますが、起電力は酸化剤、還元剤としてはたらく物質によって決まります。
ボルタ電池の起電力は1.1Vですが、反応が進むと起電力が低下します。

ボルタ電池の正極で発生した水素は、銅板に付着してゆきます。
すると、銅板と硫酸の接触面積が少なくなり、反応を阻害してしまいます。
そのため、ボルタ電池は反応が進むと起電力が低下します。

この現象を分極といいます。
分極を防ぐために、過酸化水素 H2O2K2 Cr2 O7 といった酸化剤を用います。
このように分極を防ぐために用いる酸化剤を「減極剤」といいます。

例えば過酸化水素を酸化剤として入れておくと、

H2O+ 2H+ 2e– → 2H2O

このように反応して、水素ではなく水が生成されます。
水素が発生して気泡が電極に付着することを防ぐことができますので、分極を抑えることができるのです。

5.ボルタ電池の仕組みまとめ

この記事ではボルタ電池についてまとめました。
一方、ボルタ電池をより改良して1836年にフレデリック・ダニエルが開発したのが、ダニエル電池です。

ダニエル電池も受験に頻出の電池ですから、しっかり学習しておきましょう。
また、電池の反応を理解するためには、酸化還元反応やイオン化傾向についての理解、そしてイオン化列を覚えておくことが必要です。

最後までご覧くださってありがとうございました。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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