【ベータ関数とガンマ関数】証明やオイラ―積分も

数学 2019.4.5

ベータ関数やガンマ関数は様々な分野で応用されます。

ベータ関数やガンマ関数という名前が大学受験で出てくることはほとんどありませんが、これらの考え方を利用した問題は、出題されることがあります。

数学Ⅱで学習した「積分の6分の1公式」などは、ベータ関数の積分公式ととらえられます。

この記事ではベータ関数とガンマ関数についてまとめます。

1.ベータ関数とガンマ関数:オイラーのガンマ関数

ベータ関数について考える前に、オイラーのガンマ関数について見ていきましょう。

オイラーは、数学で様々な功績を残した人です。

最も美しい式とも呼ばれるオイラーの公式、凸多面体の面・辺・頂点に関するオイラーの多面体定理などは非常に有名です。

ほかにも、オイラー図、オイラー定数、オイラー予想などオイラーの名前を冠する業績は多くあります。

 

オイラーのガンマ関数は、1792年にオイラーが発表したもので、階乗の概念を一般化したものです。

この記事を読んでいるのに、階乗について全く知らないという受験生はあまりいないと思いますが、ここで簡単に復習をしましょう。

 

 

階乗とは、自然数nに対して

n!=n(n-1)(n-2)………3・2・1

のように表され、n以下の自然数をすべて掛け合わせた数を指します。

 

例えば、5の階乗なら

5!=5・4・3・2・1=120

のように、5以下の自然数をすべて掛け合わせた数を表します。

 

「階乗」というのは、自然数に定義された関数ですので、例えば、

5.69!

というような小数の階乗は定義されていません。

 

そこで、自然数以外でも階乗を考えることができるように、階乗を実数・複素数にまで拡張したものが、ガンマ関数です。

ここでは、実数のときについて考えます。

 

ガンマ関数は、Γ(ガンマ)記号を用い、以下のように表されます。

実数p > 0 のとき、

ガンマ関数の公式

をガンマ関数という。

 

また、ガンマ関数には

Γ(n+1)=nΓ(n)

という性質があります。

 

ガンマ関数の証明

部分積分を用いて

ガンマ関数の証明

というように計算できます。ここで

ガンマ関数の証明の条件

ですから、

ガンマ関数の証明③

 

となりますから、

Γ(p+1)=pΓ(p)

が証明できました。

 

特に、pが自然数なら

Γ(p+1)=pΓ(p)=p(p-1)Γ(p-1)
=⋯………=p(p-1)(p-2)……3・2・1Γ(1)

ここで、

ガンマ関数の証明③

ですから、階乗を表していることになります。

 

このようにガンマ関数は、pが自然数のときには階乗を表します。

一方で、ガンマ関数は単なる階乗とは違い、pが自然数でないときにも定義できます。

実数だけでなく、実部が正の複素数についても考えることができます。

つまり、いままで離散的な関数としてしか考えられなかった階乗を、連続の関数として見ることができます。

 

連続というのは数学上、重要な性質です。

「連続である」という性質によって、極限をとったり、微分したりすることができます。

ちなみに、ガンマ関数は、ルシャンドルの定義に従って第二種オイラー積分とも呼ばれます。Γ(ガンマ)という記号はルシャンドルが用いたものです。

 

2.ベータ関数とは?

ベータ関数は以下のように定義されます。

実部が正であるようなp > 0, q > 0 にたいして

ベータ関数の定義

をベータ関数という。

 

ガンマ関数が第二種オイラー積分と呼ばれるのに対して、ベータ関数は第一種オイラー積分と呼ばれます。

 

ベータ関数は、ガンマ関数を用いて

γ(ガンマ)関数を用いたβ(ベータ)関数

のように表されます。

ただし、この証明は高校の範囲を大きく逸脱しますので、割愛します。

 

ガンマ関数の本質ではありませんが、p, q が自然数のときには、高校範囲で証明可能です。

pが自然数のときには

Γ(p)=(p-1)!

となりますので、

β(ベータ)関数の証明

を証明すればよいことになります。

 

部分積分を用いると

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明

となります。繰り返し同様の計算をすると、

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明の課程

というように計算できますね。

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明の前提

ですから、

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明

となり、

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明

の証明ができました。

 部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明

をより一般的に形に変形してみます。

y=(β-α)x+α

とおくと

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明

また、積分区間は

x∶0→1
y∶α→β

ですから、

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明

また、

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明

ですから、

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明

が導かれます。両辺に (β-α)p+q+1 をかけて

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明

となります。

 

この式に α= 0, β= 1を代入した式が

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明(代入した式)

です。

 

また、p = 1, q = 1 のとき、積分の「6分の1公式」

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の証明から1/6の公式

になります。

 

3.ベータ関数の問題

問題

実数p≧0、q≧0に対して

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の問題

とおく。

I( p, q ) = I ( q, p ) を示せ。

(↓以下に解答と解説)

 

 

 

 

 

 

 

 

解答・解説

p と q を入れ替えても同じになることを示します。

元の式I ( p , q ) をみると、実質的にはx と1-x を入れ替えることになりますので、t = 1-x とおきましょう。

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の問題の解答

から

部分積分を用いたβ(ベータ)関数の問題の解答

となり、題意を満たします。

これはベータ関数の対称性といい、2変数関数が対称性を持つという性質は、非常に重要です。

 

4.ベータ関数の応用

ベータ関数やガンマ関数は、さまざまな分野に応用されます。

例えば、統計の分野では、ベータ関数を用いた「ベータ分布」、ガンマ関数を用いた「ガンマ分布」などがあり、有名な確率分布のうちの一つです。

 

ベータ分布は、コインで表が出る確率などを推定するときに使う分布として有名です。

高校数学を習った人は「コインを投げたときに表が出る確率は、当然2分の1だ」と思ってしまいがちですが、そうではありません。

 

厳密に2分の1の確率で表が出るようなコインは、想像上でしか存在しません。

現実にコインを投げたときに、そのコインの表の出る確率がどれくらいかを調べるには、統計を用いるしかありません。

実際に何回もコインを投げてみて、その結果をもとに、1回コインを投げた場合の確率を推定するのです。

詳しくは、大学の統計学で学習します。

 

パラメータ推定には大きく分けて、最尤推定とベイズ推定があり、その推定の際に用いるのがベータ分布です。

コインを投げたときにパラメータが、ベータ分布に従っていると仮定して、確率を計算します。

特に情報学科に進む方は、統計学は避けて通れない分野です。

 

おわりに

最後までご覧くださってありがとうございました。

この記事では、ベータ関数についてまとめました。

詳しく学んでいくと応用分野も広く、奥の深いものです。

しかし、受験に頻出かといわれれば、そうではありません。

最難関大学を受験する受験生でなければ「そんなものもあるんだ」程度で構わないでしょう。


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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