【数Ⅱ】円の基本(円の方程式&円の接線)を完全マスター!公式と証明を丁寧に解説します!
円に関する問題は、基礎問題から三角関数を絡めた応用問題まで出題されるため、多くの大学で問題が扱われています。2015年度は、早稲田大学の社会科学部、東京大学の文系などで出題されました。今年度も多くの大学で出題される可能性があります。
そこで今回は、円のなかでも最も頻度が高い円の方程式と円の接線の公式、証明を紹介します。特に、円の接線の公式は覚えているか覚えていないかで解答スピードに大きな差が出ます。今回の記事でしっかりマスターしましょう!
1. 円の方程式(公式)
円の方程式で覚えておかなくてはならないのが、以下の2つの式です。
【円の方程式】
中心(X, Y)=(A, B)で半径Rの円の方程式
(X-A)2+(Y-B)2=R2
円の一般式
X2+Y2+LX+MY+Z=0
※L2+M2-4M>0の時に限る
2. 円の方程式(証明)
証明は至ってシンプルです。
上図から分かるように、Rの長さは三平方の定理を使って・・
両辺を2乗すると・・
(X-A)2+(Y-B)2=R2
一般形の方は、上の式を展開し、まとめたものです。
しかし、公式のところで記載しましたが、一つだけ条件(L2+M2-4N>0)があります。それを証明します。
一般式を変形すると
置き換えると・・
だから→
どちらとも重要なので、円を見たら方程式が立てられるだけでなく、方程式を見たら、円がどのような円か分かるようにしましょう。
3. 円の接線(方程式)
円の接線の方程式も大切なので必ず覚えましょう。
円の接線の方程式
(X-A)2+(Y-B)2=R2の点(X1, Y1)の円の接線の方程式
(X1-A)(X-A)+(Y1-B)=R2
特に、中心が(0, 0)の円の接線の方程式
X1X+Y1Y = R2
4. 円の接線(証明)
少し、複雑ですが、数学的に大事な平行移動の考え方が含まれているので、是非最後まで目を通して理解しましょう。
円1:(X-A)2+(Y-B)2=R2上の点N(X0,Y0)の接線が(X0-A)(X-A)+(Y0-B)(Y-B)=R2になる事を証明します。
【方針】
(1)円2:X2+Y2=R2上の点M(X1,Y1)の接線がX1X+Y1Y=R2になる事を証明する。
(2)X2+Y2=R2上の点M(X1,Y1)の接線をX0、Y0で置き換える。
(3)(2)をX方向にA、Y方向にB平行移動する。
【証明】
方針(1)
以下の3パターンに分けて証明します。
①Y1=0の時
これは、X=-R、Rの時の2つあります。
X1X+Y1Y=Rを満たします。
②X1=0の時
これは、Y=-R、Rの時の2つあります。
X1X+Y1Y=Rを満たします。
③X≠0、Y≠0の時(X軸Y軸上にない時)
接線は、原点を通るL(傾き )に垂直になるので傾きは
接線はM(X1、Y1)を通るから
展開すると・・
X1、Y1は円上の点だから
よって
これで、方針(1)は終了しました。
次は、方針(2):X2+Y2=R2上の点M(X1,Y1)の接線をX0、Y0で置き換えます。
方針(2)
円1は円2をX方向にA、Y方向にB平行移動したものなので
円1上の点N(X0,Y0)は
X0=X1+A⇔X1=X0-A
Y0=Y1+B⇔Y1=Y0-B
だから、円2の接線をX0,Y0で表すと
(X0-A)X+(Y0-B)Y=R2になります。
最後に、方針(3)を行います。
あとは、(2)をX方向にA、Y方向にB平行移動するだけです。
(X0-A)X+(Y0-B)Y=R2がX方向にA、Y方向にB平行移動するので
(X0-A)(X-A)+(Y0-B)(Y-B)=R2
になります。
5. 練習問題
【解答】
公式に当てはめると
(4-2)(X-2)+(6-4)(X-4)=8
X-2+Y-4=4
X+Y=10
【公式を使わない場合】
中心Pから接点に向かう青い直線は接線と90°で交わっている。
まず、青い直線の傾きを求める。
傾きは、
よって接線の傾きは-1になる。
接線は(X,Y)=(4,6)を通るから
Y-6=-(X-4)
X+Y=10になる。
これは、接線の証明の方針(1)と同じ事をしていますので、圧倒的に公式を使った方が早いです。
公式は絶対に覚えましょう!