内分点・外分点とは?求め方を図・公式を使ってわかりやすく解説!
数直線、平面図形、図形と方程式などでよく内分点や外分点が扱われているのを目にしますよね。
図形の分野では欠かせない内分点や外分点ですが、苦手意識を持つ人も少なくありません。
本記事では内分点や外分点の基礎を中心に図を使って分かりやすく解説していきます。
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1.内分点・外分点とは?それぞれの違いについて解説!
図形の問題を解いていると、「内分点」や「外分点」という言葉が時々登場します。初めてその言葉にぶつかるのは数学Aの平面図形の単元です。
この記事では、「内分点」や「外分点」の定義と違いを解説します。
1-1.内分点:線分の内側を分ける
この分野では「線分ABを〇:□に内分する点P」といった表現がよく使われます。
この内分とは、点Aと点Bの間に〇:□となる点をとるということです。
例えば以下の図であれば、点Pは線分ABを2:1に内分し、AP:PB=2:1を満たします。
詳しく説明していきます。
点Aから点Bまでを2つと1つに分けると考えると、合計で3つに分割することになります。
したがって、線分ABを3等分し、2つと1つに分けることで内分点Pを求めることができます。そのため、点Pは、線分AB上にあり、AP:PB=2:1を満たす点といえます。
このようにして求めた点は、比の値に関係なく、必ず線分ABの内部に存在します。この点はAとBの間に位置しているため、「内分点」と呼ばれます。
《例題1》 線分ABを次の比に内分する点Pを図示せよ。
(1) 3:1
(2) 2:3
《解答・解説》
(1) 3+1=4となるため、線分ABを4等分し、3つと1つに分けた点が求める点です。
(2) 2+3=5となるため、線分ABを5等分し、2つと3つに分けた点が求める点です。
内分点の場合、Aから分点、分点からBへの移動が同じ方向になります。
1-2.外分点:線分の外側を分ける
さて、先ほど線分ABを2:1に内分する点についてご紹介しましたが、もし「線分AB上の点」という条件がなく、単に「AP:PB=2:1が成り立つ点」だけを考える場合、その点はどのようになるでしょうか?
その場合は、線分ABを2:1に内分する点のほかに、次の図のような点があります。
線分ABのB側を延長させて、ABとBPが等しい長さになるように点Pをとります。そうすると、AP:PB=2:1が成り立ちます。
このときの点Pは、線分ABを「線分ABの外側で」2:1に分ける点と言えます。
このような分け方を「線分ABを2:1に外分する」といい、それによって定まる点を「外分点」と呼びます。
つまり、線分ABについて、AP:PB=◯:△となる点は、線分ABを「◯:△に内分する点」と、「◯:△に外分する点」の2つが存在することになります。※ただし例外となる比率もあります。
ここで「この外分点はどのように見つけて、作図するの?」という疑問が生じるでしょう。
次に、外分点のとり方について、詳しく説明します。
《例1》線分ABを5:2に外分する点Q
外分点の目星を付けるときには、まずざっくりと図を描いてみて、後できれいに本書きをすると良いです。
今回はAQ:QB=5:2なので、線分ABの部分は5-2=3となります。
次に、線分ABを3等分することで、長さが「1」に相当する線分を作ります(下の図の赤い部分を参照)。
線分ABをB側に延長し、赤い部分の①を2つ追加した点をQとします。
すると、AQ:QB=5:2となり、この点Qが線分ABを5:2で外分する点となります。
つまり、外分点の作図方法は次の通りです。
1.外分の比の差の数だけ線分ABを等分する。
2.線分ABを延長させた直線上に、1.で作った線分の刻みを加えて、外分点を確定させる。
以上が外分点の作図方法です。
では、外分点の作図について、例を紹介します。
《例題2》 線分ABを、次の比に外分する点Qを図示せよ。
(1) 3:2
(2) 3:7
《解答・解説》
(1) まず、比率の2つの差を計算すると、3―2=1となります。したがって、線分ABの長さを1とします。
この場合、先述の「線分ABを等分して1を作る」という手順は不要です。
求める点Qは、線分ABの延長線上で、BからABの長さを2個分進んだ位置にあります。
(2) 比率の2つの差を計算すると、7―3=4となります。したがって、線分ABを4等分することで、1目盛りが「1」となります。
ただし、今回の場合、比率が逆転しているため、AQ:QB=3:7となります。したがって、QBの方がAQよりも長くなります。
その結果、外分点はAの延長線上に存在します(図で言うと左側)。
求める外分点Qは、Aから左側に3目盛り進んだ位置にあります。
この例題から分かるように、外分点はA側(左側)にもB側(右側)にも存在できるということもわかりますね。
外分点の場合、A側、B側に関わらず、AからQ、QからBへの移動は逆方向になります。
ちなみに、1:1に外分する点は存在しません。
2.数直線上の内分点・外分点の求め方
これまでは、例えるなら何も描かれていない紙に線分ABを作り、内分点や外分点を求める方法を使用してきました。
しかし、問題によっては、数直線上にある線分の分点を考えることもあります。
この場合、線分ABの長さや内分または外分の比を基にして分点を求める解き方について紹介します。
2-1.内分点の求め方と公式
内分点の公式は以下の通りです。
線分Aをm:nに内分する点Pの座標pを求める時、
となります。
たとえば、数直線上の2点A(3), B(9)があって、線分ABを2:1の比に内分する点Pの座標を求めるとしましょう。
まずは数直線を描いて、AとBの場所を確定します。
線分ABを2:1の比で内分するために、先ほど説明したように、線分ABを3等分(比の和2+1)し、2個と1個に分けた点が求める点Pとなります。したがって、点Pの位置は下の図のようになります。
このとき、求める点Pの座標は、点Aから右にAPの長さだけ移動した(たした)数ということに気を付けましょう。
次に線分APの長さを求めることにします。
まず、線分ABの長さは9-3=6です。
線分ABを3等分しているため、APはその等分された線分のうち2個分の長さとなります。
したがって、線分APの長さは、線分ABの長さを3等分したうちの2個分、つまり3分の2倍の長さとなります。
よって、点Pは、点Aの座標3にAPの長さ4を足した7となります。
このように、(点Aが点Bよりも左にある場合)点Aの座標に線分APの長さを足すことで、内分点Pの座標を求めることができます。
さて、これを一般的に考えてみましょう。
数直線上の2点AとBがあります。それぞれの座標をa, bとします。仮にa<bであるとします。
そのとき、線分ABをm:nに内分する点Pの座標pを求める計算は次のようになります。
さて、先ほどのA(3), B(9)で、線分ABを2:1の比に内分する点Pを求めた場合に当てはめて確かめてみましょう。
まず、点A, Bの座標から、a=3,b=9です。そして、内分の比率が2:1なので、m=2, n=1です。
したがって、公式に当てはめると
となって、点Pの座標が7であることが確認できます。
ただし、この公式は計算が単純になる一方で、覚えにくいという特徴があります。そこで、次の模式図を使用して公式のつくりを理解しておきましょう!
内分点の座標の求め方は、分母が「比の和」、分子が「比と端点の座標とのたすき掛け」で求められます。
2-2.外分点の求め方と公式
同じように、数直線上の2点A, Bについて、線分ABを外分する点の座標の求め方を解説します。
外分点の公式は以下の通りです。
線分ABをm:nに内分する点Pの座標pを求める時、
となります。
例えば、数直線上の2点A(2), B(6)について、線分ABを5:3の比に外分する点Qの座標を求めるとします。
まずは、簡単に下のような図を描いてみて、5:3に外分する点のイメージを掴みましょう!
5>3なので、1回目の移動が長くなるため、外分点QはB側に存在します。
AQが「⑤」、BQが「③」なので、残りのABは「②」となります。
ですから、線分ABを半分にした長さが「①」となります。
この段階で点Qは曖昧にしか書いていないのですが、実際はこの「①」の長さを点Bから右へ3つ分取った場所だということがわかります。
よって下の図のようになることがわかり、この時点で点Qの場所は確定します。
この点Qの座標を求めるにあたり、「①」の実際の長さを求めればよいです。
まず、線分ABの長さは、6-2=4となります。
比率「①」にあたる部分の長さは、線分ABの半分の長さ、つまり2となります。
点Qは点Bから「①」を3つ分取った場所なので、6+2・3=12となり、これが点Qの座標だとわかります。
さて、これを一般的に考えてみましょう。
数直線上の2点A(a), B(b)について、線分ABをm:nの比に外分する点Qの座標(ただしm>nとする)を求める方法は、以下の通りです。
残りの線分ABにあたるのが「m-n」となるので、線分ABをm-n等分すれば、比率「1」の線分を作ることができます。
その長さは、線分ABをm-n等分したものであり、点Qは点Bから比率「1」の線分をn個分取った場所にあると考えます。
したがって、下のようになります。
これが、m<nの場合でも同様な式が得られます。
ですので、mとnの大小関係に関わらず、上記の公式が使えます。
こうしてみると、内分点の公式と外分点の公式が似ていることに気づくでしょう。
この公式は、内分点の公式で「n」のところを「ーn」と置き換えれば、外分点の公式になるという関係が成り立ちます。
つまり、内分点と外分点の公式を別々に覚えるのではなく、外分点の場合、「m:nに外分」 は 「m:(―n)に内分」と言い換えて、内分点の公式を使えばよいのです。
このマイナス(ー)の意味は、A→分点→Bへの移動に際し、内分は2回とも同一方向であるのに対して、外分の場合は2回目が1回目と逆方向であるということと関連します。
このことを用いれば、外分点の説明の最初で取り上げた、A(2), B(6)について、線分ABを5:3に外分する点の座標は次のように求められます。
線分ABを5:3に外分 → 線分ABを5:(ー3)に内分と言い換えます。
そして、下の図のような図を描きます。
実際は、点QはAとBの間にはなく、Bの右側にあるはずですが、公式を使うためにあえてこの図を描きます。
これを「内分」の公式に当てはめます。
前述した数値と一致していますね。
図は異なりますが、計算上は、外分は内分の仲間だと思って取り組みましょう。
☆画像を保存して、いつでも見返せるようにしておこう!
3.内分点・外分点の問題にチャレンジ
では、内分点や外分点の問題にチャレンジしてみましょう!
3-1.例題1:内分点を求めてみよう!
《問題》
以下の図のように数直線上に2点A, Bがあるとき、線分ABを次の比に内分する点をそれぞれ図示せよ。
(1) 1:2に内分する点C
(2) 5:1に内分する点D
《解答・解説》
内分点のポイントは、「線分ABを、比の和だけ等分して分ける」でした。
このポイントに注意して作図をしましょう。
(1)1:2なので、線分ABを三等分します。AB間は6目盛りなので、2目盛りずつで区切ります。
2目盛りのグループを1つと2つに分ける、つまり2目盛りと4目盛りに分けることになります。
したがって、点Cは下の図のようになります。
(2)5:1なので、線分ABは6等分します。
ただし、すでに線分ABは6目盛りありますので、それをそのまま5と1に分ければよいです。
したがって、点Dは下の図のようになります。
3-2.例題2:最初の数字の方が大きいときの外分点を求めてみよう!
《問題》
以下の図のように数直線上に2点A, Bがあるとき、線分ABを2:1の比に外分する点Eを図示せよ。
《解答・解説》
外分点を求める際のポイントは、「比の差の数だけ線分ABを等分し、線分ABを延長させる」ということでした。
ま比の前の数の方が大きいので、1回目の移動が長くなり、点EはBの右側に来ることを確認しましょう。
比の差は1なので、線分ABの長さ自体が比率「①」の長さとなります。
したがって、点EはAB=BEとなるようにとれば正解です。
問題の数直線は、AB間は3目盛りなので、点Bから3目盛り右の点が点Eとなります。
3-3.例題3:最初の数字の方が小さいときの外分点を求めてみよう!
《問題》
以下の図のように数直線上に2点A, Bがあるとき、線分ABを1:4の比に外分する点Fを図示せよ。
《解答・解説》
この問題も外分点を求める際のポイントである「比の差の数だけ線分ABを等分して、線分ABを延長させる」を実践しましょう。
まず、点Fの位置をイメージするために、簡単に図を描いてみましょう。
線分ABの部分が「③」となるので、線分ABを3等分した長さを「①」として、Aから左へその長さだけ移動した点が点Fになります。
線分ABを3等分するのに、ちょうどAB間が3目盛りになっているので、1目盛りを比率「1」と考えると、点Fは点Aの左隣に位置することがわかります。
このように、内分点や外分点を求めるときには、「比率1」をつくることを心がけましょう。
4.座標・ベクトルの外分点の求め方【発展】
内分点や外分点についての考え方をこれまで解説してきましたが、高校数学では、図形の分野ではあちこちで登場してきます。
たとえば、平面座標の中で扱う数学Ⅱの「図形と方程式」や、ベクトルで内分・外分を処理する数学C(新課程)の「ベクトル」でも扱われます。
ここでは「発展」の内容として、それらの項目も紹介します。これから紹介する公式を理解していれば、より幅広い考え方ができるようになりますよ。
4-1.座標上の外分点を求める公式
座標平面の中にある異なる2点
この公式は、数直線上の場合、xとyの座標に対して同じように計算することを意味しています。
基本的な解法は数直線上の場合と同様で、x座標とy座標の2回にわたって同様な計算を行うだけです。
また、座標平面上の線分の外分点の座標の求め方についても、「m:nを外分」を「m:-nに内分」と言い換えて、下図のような模式図で計算することができます。
4-2.ベクトルの外分点を求める公式
ベクトルの分野では、「位置ベクトル」という項目が出題の中心となり、線分の内分点や外分点までのベクトルを求める問題があります。
位置ベクトルというのは、ひと言でいうと、さまざまなベクトルを、基準点Oから発するベクトルを用いた式で表現するものです。
ベクトルの解法には慣れが必要ですが、内分点や外分点の公式を知っていれば、スムーズに解くことができます
以下が位置ベクトルでの外分点へのベクトルの公式です。
式を見るとすぐにわかりますが、分野が変わっても形はほぼ同じなので、関連させて覚えると早く身に付きます。
まとめ
高校数学では、図形分野において内分点や外分点についての問題が、ジャンルに関わらず広く出題される傾向があります。
図ではどうなるのか、計算法としてはどうするのかをしっかりと理解をすることが重要です。
しかし、公式に慣れれば、さまざまな関連が見えてきて、理解の手助けになるでしょう!
この記事を読んでくださって、理解が深められれば幸いです!