数列の極限と無限等比級数をわかりやすく解説!数学Ⅲ分野の苦手意識をなくそう

数学 2019.7.23

極限の単元は主に数学Ⅲで扱いますが、数学Ⅱでもまれに登場します。

数学Ⅱで微分の定義をしたときに、極限が出てきたことを覚えていますか?

数学Ⅲでは数列の極限をはじめ、さまざまな極限を扱います。

この記事では、数列の極限についてまとめます。



1.無限数列と極限

まず、無限数列の極限について復習しておきましょう。

項が限りなく続くような数列

無限数列の極限

無限数列と言います。逆に、項が有限であるような数列を有限数列と言います

数列の表現としては、数列の第n 項を

等比数列

と表し、数列全体のことを

数列の表現

と表します。

例えば、数列  の一般項を

数列の一般項の数式

としたときに

数列の一般項の表現

というように表します。

nを限りなく大きくすることをnを限りなく大きくなること と表します。

この数列  数列の表現 において、nを限りなく大きくなること  のとき、  数列の表現が一定の値αに近づいてゆくとき、数列数列の表現はαに収束すると言います。

これを数学の記号で表すと数学の記号を使った収束の数式

となります。このとき、αを「数列の極限値」と呼びます

先の数列極限値を使った数式

であれば、nを限りなく大きくして行くと、数列の表現  の値が0に近づいていくので、数学の記号を使った収束の数式

というように書きます。



2.【極限の性質】数列の収束と発散

数列には収束する場合と、収束しない場合があります。

収束する場合には極限値を求めることができることがありますが、収束しない場合には極限値は存在しません。

一般に数列  が収束しない場合、「数列が発散する」と言います。

数列が発散する場合には正の無限大に発散する場合負の無限大に発散する場合振動する場合などが考えられます。

正の無限大に発散するような数列は、

数式

などが考えられます。これは、n=∞のときanが限りなく大きくなります。

このことを、数列が正の無限大に発散する」といい、

数学の記号を使った収束の数式

と書きます。

同様に、

nを使った数式

を考えれば、「負の無限大に発散する」ことがわかるでしょう。

この数列はnの値が大きくなればなるほど、数列の値が小さくなります

このような性質を持つ数列を、負の無限大に発散する数列と言います。

では、振動するような数列とはどのような数列でしょうか。

例えば、負の無限大に発散する数列

を考えましょう。

この数列はnの値が大きくなっていっても、正の無限大に発散しませんし、負の無限大に発散することもありません。

このような数列を振動するといいます。



3.極限値の性質

極限の性質として以下のものが挙げられます。

数列  が収束して、

負の無限大に発散する数列

のとき、kを定数として

負の無限大に発散する数式

となります。

また、

無限大の性質を表わした数式

のとき

収束した負の無限大を発散する数式
は成立しますが、

収束した数式
発散することもあれば、収束することもあります。

よく不定形と呼ばれる形ですから、この形が数列の極限で出てきたら、どうにか工夫して不定形でない形にしてから計算しましょう。

「無限大」というのは、「どれだけ大きい正数を指定しても、それより大きい正数になり得る」ことを表す記号です。

定まった数ではないのでそれ自体は計算することができません。

無限大に定数を足しても、それより大きい数を指定できるので、無限大であると言えます。aを実数として

無限大の計算の方法

です。これはaがどんな小さな負の数の時でも、無限大はそれを凌駕するくらい大きい正数をとることができるからです。

同じ理由で

無限大の足し方

という式も成立します。

これは、積についても同じことが言えます。

無限大の掛け方

無限大にどんな小さな正の実数をかけても、無限大になります。これが負の数であれば、

負の実数を使った無限大の積

となります。このような「 -∞」を無限小ということがあります

無限大同士の積も無限大になります。

無限大の積

しかし、無限大同士の差や商を計算することはできません。

無限大同士の引き算

無限大同士の割り算

先にも申し上げたように、「無限大」とは「どんな大きな正の数よりも大きな正の数を取り得る記号」です。

定まった数ではないので、無限大同士で、どちらがどれくらい大きいとか、どちらがもう片方の何倍である、という比較をすることができないのです。

そのため、

無限大の性質を表わした数式

のとき

無限大の性質を表わした数式
は成立しますが、

無限大の性質を表わした数式

はで発散することもあれば、収束することもあるす。

また、極限の大小関係として、

極限の大小関係

のとき、

極限の大小関係

ならば 極限の大小関係 が成立します。また、極限の大小関係  ならば、極限の大小関係  です。

つまり、数列同士を比較して常に片方の数列が大きいならば、収束した先もその数列の方が大きいということです。

さらに

数式

数式

のとき

極限の大小関係を表わした数式

が成立します。

これを「はさみうちの原理」といいます。

はさみうちの原理は極限に関する重要な原理のうちのひとつです。試験でも極限値を求める際にしばしば利用するので、注意しましょう。

大雑把に説明するとはさみうちの原理とは、「同じ極限値を持つような2つの数列に挟まれた数列は、同じ極限値に収束する」というものす。

数列の極限だけでなく、関数の極限においても「はさみうちの原理」は適用されます。

関数に関する「はさみうちの原理」は

はさみうちの原理

である関数について、

はさみうちの原理

のとき、Aが定数ならば

はさみうちの原理

が成立する、というものです。



4.【極限の性質】無限等比級数とは

数学Ⅱで数列を扱ったときに、その数列の和についても扱ったと思います。

無限数列の和を「無限級数」と言います。数列の記号を使って表すと、

無限級数

です。

この数列  が等比数列であるとき、この無限数列の和を「無限等比級数」といいます。

気を付けておきたいのは、先に申し上げた「数列が収束する」ことと「無限級数が収束する」ことは別物であるということです。

数列が収束しても、無限級数が収束するとは限りません。

たとえば、無限等比級数

について考えてみましょう。

この数列は1に収束しています。

この数列の無限級数S を考えると、
無限等比級数

となります。nが大きくなると無限級数も大きくなり、この無限級数は発散します。

無限級数については以下のことがわかっています。

無限級数の発散の公式

この対偶をとると

無限級数の発散の公式となります。

すなわち、無限級数が収束するかどうかは、元の数列 an によるということです。

ただし先にも申し上げたとおり、

無限級数の発散の公式

ことに気を付けましょう。

無限等比級数については、もとの数列 an が等比数列です。

等比数列の部分和については数学Ⅱで学習した通り、

等比数列の部分和

です。この無限等比級数が収束するかどうかは、

rn

が収束するかどうか、つまり公比の値によって決まることがわかりますね。

無限等比級数の収束・発散については以下のことが言えます。

 公比の値であれば  無限等比級数

公比の値あれば無限等比級数は発散する

 公比の値であれば  無限等比級数



5.   おわりに

最後までご覧くださりありがとうございました。この記事では、数列の極限についてまとめました。

数列の極限については数学Ⅲで詳しく学習するので、主に理系の学生が勉強します。

問題によっては非常に難解な捨て問も存在しますが、基本的には、順番に考えていけば解ける問題が多いです。

苦手意識を持たずにしっかり取り組んでみてください。


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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