数学的帰納法とは?例題で早稲田生が丁寧に解説!不等式の問題も!
高校数学における数学的帰納法について、早稲田大学に通う筆者が丁寧に解説します。
数学が苦手な人でも数学的帰納法が理解できるように、例題を使いながらわかりやすく解説します。
本記事を読めば、数学的帰納法とは何か・証明方法(解き方)が理解できるでしょう。
ぜひ最後まで読んで、数学的帰納法を理解してください!
1:数学的帰納法とは?解き方がわかる!
まずは数学的帰納法の解き方から解説します。
数学的帰納法の解き方は1つしかないので、必ず暗記してください!
●自然数nに関する命題Pがすべての自然数について成り立つことを証明するには、以下の2つを示す。
①n=1の時、命題Pが成り立つことを証明する。
②n=kの時、命題Pが成り立つと仮定すると、n=k+1の時も命題Pが成り立つ。
以上が数学的帰納法の解き方です。この手順は必ず暗記しましょう!
①と②を示すことによって、①より、
n=1の時に命題Pが成り立つ
→②よりn=2の時も命題Pが成り立つ
→②よりn=3の時も命題Pが成り立つ
→・・・
したがって、すべての自然数nについて命題Pが成り立つと言える。
というわけです。以上のような証明方法を数学的帰納法と呼んでいます。
2:数学的帰納法の例題
では、以上を踏まえて数学的帰納法の例題を解いてみましょう。
例題
nが自然数のとき、
23+43+63+・・・+(2n)3 = 2n2(n+1)2
が成り立つことを数学的帰納法で証明せよ。
証明
まずはn=1の時に成り立つかを確認します。
①n=1のとき
(左辺)= 23 = 8
(右辺)= 2・12・22 = 8
なので、命題は成り立つ。
②n=kのとき、命題が成り立つと仮定すると、
23+43+63+・・・+(2k)3 = 2k2(k+1)2・・・(※)
となる。ここで、n=k+1のときを考えると、(※)より、
23+43+63+・・・+(2k)3+{2(k+1)}3
=2k2(k+1)2+{2(k+1)}3
(※の両辺に{2(k+1)}3を加えています。)
=2(k+1)2{(k+1)+1}2
となるので、n=k+1のときにも命題は成り立つ。
よって、数学的帰納法よりすべての自然数nについて命題は成り立つことが証明された。
いかがでしたか?
数学的帰納法の流れが理解できましたか?
数学的帰納法では、
①n=1で命題が成り立つことを確認。
②n=kで命題が成り立つと仮定して、n=k+1でも命題が成り立つことを証明する。
以上の流れを必ず覚えておきましょう!
3:数学的帰納法の例題(不等式の証明問題)
では、今度は不等式に関する数学的帰納法の例題を解いてみましょう!
例題
3以上のすべての自然数nについて、以下の不等式が成り立つことを数学的帰納法で証明せよ。
3n-1 > n2-n+2
証明
「nが〇〇以上」という条件の場合は、n=1からスタートするのではなく、n=〇〇からスタートします。
そして、n=k(kは〇〇以上)を仮定し、n=k+1を証明します。
①n=3のとき、
(左辺)=32=9
(右辺)=32-3+1=8
なので、命題は成り立つ。
②n=k(kは3以上)のとき、命題が成り立つと仮定すると、
3k-1 > k2-k+2・・・(※)
n=k+1のとき、命題において、(左辺)ー(右辺)を考えると、
3k-{(k+1)2-(k+1)+2}
= 3・3k-1-(k2+k+2)
>3(k2-k+2)-(k2+k+2)
=2k2-4k+4
=2(k2-2k+2)
=2(k-1)2+2 > 0
したがって、n=k+1のときでも命題は成り立つ。
よって、数学的帰納法より3以上のすべての自然数nについて命題は成り立つことが証明された。
いかがでしたか?
数学的帰納法とは何か・証明問題の解き方が理解できましたか?
数学的帰納法では
①n=1のとき
②n=kで命題が成り立つと仮定。そして、n=k+1で成り立つことを証明
という流れです。以上の数学的帰納法の流れは必ず覚えておきましょう!