平行四辺形を中学生でもわかるように解説!性質・証明を即理解
数学における平行四辺形について、慶応大学に通う筆者が数学が苦手な人でも理解できるように丁寧に解説します。
スマホでも見やすいイラストを使いながら平行四辺形について解説しているので、とても分かりやすい内容です。
本記事を読めば、平行四辺形の定義と性質・面積の求め方(公式)・平行四辺形になるための条件(証明)が理解できるでしょう。
平行四辺形について知っておくべき知識が満載の記事です!
最後には、平行四辺形に関する練習問題も用意しました。
ぜひ最後まで読んで、平行四辺形をマスターしましょう!
【目次】
1:平行四辺形の定義
まずは平行四辺形の定義から解説します。
平行四辺形の定義は、2組の対辺がそれぞれ並行な四角形のことです。
つまり、正方形や長方形も2組の対辺がそれぞれ並行なので、平行四辺形の仲間の1つです。
ただし4つの角度がすべて90°の場合は「正方形」や「長方形」という名前があるので、みんな「平行四辺形」と言わずに「長方形」や「正方形」と呼んでいるのです。
2:平行四辺形の3つの性質(証明付き)
平行四辺形の定義がわかったところで、平行四辺形の性質について解説していきます。
平行四辺形には3つの性質があります。
性質その1
性質の1つ目は、「平行四辺形の向かい合う辺の長さは等しい」ということです。
簡単な証明もしておきます。
【証明】
平行四辺形ABCDにおいて、ACを引く。
すると、△ABCと△CDAにおいて、
AC共通・・・①
AB//DC(平行四辺形の定義)より、平行線の錯覚は等しいから
∠BAC=∠DCA・・・②
AD//BC(平行四辺形の定義)より、平行線の錯覚は等しいから
∠BCA=∠DAC・・・③
①〜③より、1辺とその両端の角がそれぞれ等しいから
△ABC≡△CDA
よって、AB=CD、BC=DAが成り立つ。
性質その2
性質の2つ目は、「平行四辺形の向かい合う角は等しい」ということです。
こちらも簡単に証明しておきます。
【証明】
ACを結ぶ。性質その1の証明より、
△ABC≡△CDAである。
よって、
∠ABC = ∠CDA
∠BAC=∠DCA、∠BCA=∠DAC
より、
∠BAC+∠DAC=∠BCA+∠DCA
となるので、
∠BAD = ∠BCD
となる。
性質その3
最後の性質は、「平行四辺形の対角線はそれぞれの中点で交わる」ということです。
では、証明をしておきましょう。
【証明】
AC、BDを引き、その交点をOとする。
すると、△ABOと△CDOにおいて、
AB//DC(平行四辺形の定義)より、平行線の錯覚は等しいので、
∠BAO = ∠DCO・・・①
∠ABO = ∠CDO・・・②
平行四辺形の性質1より、
AB = CD・・・③
①〜③より、1辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、
△ABO≡△CDO
よって、
OA=OC、OB=ODが成り立つ。
いかがでしたか?平行四辺形の3つの性質はとても重要なので必ず覚えておきましょう!
3:平行四辺形の面積の求め方(公式)
本章では、平行四辺形の面積の求め方(公式)について解説します。
平行四辺形の面積は「底辺×高さ」で求めることができます。簡単ですよね?
ここで注意してほしいのが、「高さ=平行四辺形の辺の長さ」ではないことです。
下の図のような平行四辺形があった場合、面積は「12×4=48」です。
「12×5=60」ではありません。
平行四辺形の高さとは、上の辺から底辺に垂直に線を下ろした時の長さのことです。
平行四辺形の面積を求める時は高さに注意しましょう!
4:平行四辺形の面積の求め方(証明)
では、なぜ平行四辺形の面積は「底辺×高さ」で求めることができるのでしょうか?
本章では平行四辺形の面積の公式の証明を行います。
証明
証明はいたって簡単です。
まず、下の図のように、点Aから垂線を下ろし、BCとの交点をEとします。
そして、以下のように△ABEを右の部分に移動させます。
すると、平行四辺形が長方形になりましたね!
よって平行四辺形の面積は長方形の面積と同じになり、「底辺×高さ」で求められるというわけです。
5:平行四辺形になるための5つの条件(証明付き)
平行四辺形になるための条件は5つあります。それぞれ解説していきます。
条件その1
平行四辺形になるための条件の1つ目は「2組の対辺がそれぞれ並行である」ことです。
これは平行四辺形の定義なので、証明することはありません。
条件その2
平行四辺形になるための条件の2つ目は「2組の対辺がそれぞれ等しい」ことです。
では、証明です。
【証明】
ACを結ぶ。すると、△ABCと△CDAにおいて、
AB=CD・・・①
BC=DA・・・②
AC共通・・・③
①〜③より、3辺がそれぞれ等しいので、
△ABC≡△CDA
よって、
∠BAC = ∠DCA
となるので、AB//DC・・・④
また、
∠BCA = ∠DAC
となるので、AD//BC・・・⑤
④と⑤より、平行四辺形の定義を満たせた。
条件その3
平行四辺形になるための条件の3つ目は「2組の向かい合う角がそれぞれ等しい」ということです。
では、証明をします。
【証明】
仮定より、
∠A=∠C、∠B=∠D
また、∠A+∠B+∠C+∠D=360°なので、
∠A+∠B=180°となる。
ここで、ABの延長上に点Eをとる。
すると、
∠ABC+∠CBE=180°なので、
∠A=∠CBEとなり、
AD//BC・・・①
となる。同様に考えて、
AB//DC・・・②
なので、①と②より平行四辺形の定義が満たされた。
条件その4
平行四辺形になるための条件の4つ目は「対角線がそれぞれの中点で交わる」ということです。
【証明】
AC、BDを結び、その交点をOとする。
すると、△ABOと△CDOにおいて、
AO=CO・・・①
BO=DO・・・②
対頂角は等しいので、
∠AOB=∠COD・・・③
①〜③より、2辺とその間の角がそれぞれ等しいので、
△ABO≡△CDOとなる。よって、
AB=CD・・・④
同様に考えて、△AOD≡△COBなので、
AD=CB・・・⑤
④と⑤より、平行四辺形になるための条件その2が適応できる。
よって示された。
条件その5
いよいよ最後の条件です。
平行四辺形になるための条件の5つ目は、「1組の向かい合う辺が等しいかつ並行である」ということです。
では、証明をします。
【証明】
ACを結ぶ。
△ABCと△CDAにおいて、
仮定より
BC=DA・・・①
平行線の錯覚は等しいから
∠ACB=∠CAD・・・②
AC共通・・・③
①〜③より、
△ABC≡△CDAとなるので、
AB=CD・・・④
①と④より、平行四辺形になるための条件その2が適応できる。
よって示された。
6:平行四辺形に関する練習問題
最後に、平行四辺形に関する練習問題を用意しました。
ぜひ解いてみてください!
練習問題
下の図のような平行四辺形がある時、この平行四辺形の面積を求めよ。
解答&解説
平行四辺形の面積は底辺×高さで求められるので、
30×10=300・・・(答)
となります。12という数字に惑わされないようにしましょう!
いかがでしたか?
平行四辺形について盛りだくさんの内容だったと思います。
平行四辺形の3つの性質は特に重要なので、必ず覚えておきましょう!