確率漸化式を徹底攻略!漸化式の基礎から解説します

数学 2022.12.26

確率漸化式は、その名の通り「確率」と「漸化式」を組み合わせた問題のことをいいます。
数学Aで学習した確率と、数学Bの数列で学習した漸化式はそれぞれ苦手とする受験生も多く、敬遠してしまう人もいます。
ですが、確率漸化式の問題ですることは、他の問題とかわりません。式を立てて解くだけです。
この記事では、確率漸化式についてまとめます。

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1.確率漸化式を解く前に!漸化式の基礎をおさらいしよう

確率漸化式を解く前に漸化式の基礎をおさらいしましょう。

漸化式とは前の項と次の項の関係を表した式です。
基本的な漸化式として挙げられるのは、

                等差数列:an+1 = an + d

                等比数列:an+1 =  ran

                階差数列:an+1 = an + f(n)

3つです。
漸化式を解くときに意識するのはこの3つの形です。

問題としてはさまざまな形の漸化式が表れますが、どれもこのどれかの形に変形して、解くことになります。
等差数列であれば、等差数列の一般項の公式がありますし、等比数列も等比数列の一般項の公式があります。
それぞれ、

                等差数列:an = a1 + d(n – 1)

                等比数列:an = a1rn-1

です。これは必ず覚えておきましょう。

前の項と次の項の差をとった数列を階差数列といいます。
例えば、

     an = 1,2,4,7,11,16,22,29,37,46,56……

という数列 であれば、次の項との差を順番にとってゆくと

      bn = 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10……

という数列 を定義することができます。
この数列 を数列 の階差数列といいます。
さきの

                階差数列:an+1 = an + f(n)

であれば、f(n)の部分が階差数列にあたります
階差数列 を持つような数列 の一般項は、n 2 のとき

で表されます。

漸化式の問題では、最終的にはこの等差数列、等比数列、階差数列の形に変形して、一般項の公式をつかって、もとの数列の一般項を求めることになります。
次に説明する確率漸化式の問題でも、自分で漸化式をたてる必要があるだけで、漸化式を解く作業は同じです。そのため、まず漸化式のパターン問題を解けるようになっておきましょう。

2.確率漸化式の問題を解いてみよう

さっそくですが確率漸化式は習うより慣れた方が身につくので、確率漸化式の問題を実際に解いてみましょう。

.

1から8までの数字がかかれたカードが各1枚ずつ、合計8枚ある。この中から1枚のカードを取り出して、カードを確認して元に戻すという操作を繰り返し行う。最初からn回この操作を繰り返したとき、最初からn個の数字の和が3の倍数になる確率を pnとおく。次の各問いに答えよ。

(1)p1,p2 を求めよ。
(2) pn+1とpn
をの式で表せ。
(3) pn
をもとめよ。

解答・解説

典型的な確率漸化式の問題です。
問題の意味さえわかれば、そう難しい問題ではありません。
順番にしっかり考えてゆきましょう。

(1)

p1は日本語で言えば、「1回目までの数字の合計が3の倍数であるような確率」です。
8枚のうち3の倍数は3と6の2枚のみですので、8枚からこの2枚を引く確率が、(1)の答えになります。

を同様に日本語で表すと、「2回目までの数字の合計が3の倍数であるような確率」です。
この問題が、次の(2)の考え方のヒントになっていますので、しっかりと理解しましょう。
確率漸化式の問題では、大抵(1)で問題の勘所をつかめるような誘導があることが多いですので、(1)をしっかり解くことが重要です。

この問題の場合、「合計が3の倍数になる」ことが重要ですから、2回目でそのようになるのはどういった場合なのかを考えます。
まず考えられるのは、「1回目で3の倍数を引き、2回目でも3の倍数を引く」場合です。
つまり、式で表せば

の場合です。
しかし、1回目で3の倍数にならなくても、2回目で3の倍数になるような場合も存在します。
例えば、2の次に4を引くようなパターンです。
どうなれば、2回目に合計が3の倍数になるかを列挙してみましょう。
確率の問題では、わかりづらい場合には、列挙して整理してから式に直すことも非常に有効です。
解答用紙にその部分は書かなくても構いません。
考え方だけきっちり書きましょう。

 一回目が1, 4, 7
→  二回目が2, 5, 8であればよい

 一回目が2, 5, 8
→  二回目が1, 4, 7であればよい

ここから、「1回目が3の倍数でないときには、1, 4, 7であれば2, 5, 8のように、それぞれに対応する3数を引けばよい」ということがわかります。
1回目が3の倍数でないとき」というのは、 1 – p1で表されますから、それにたいして 3/8 をかければよいことになります。
つまり

です。
2回目で合計が3の倍数になる確率p2 は、「1回目で3の倍数を引き、2回目でも3の倍数を引く確率」+「1回目で3の倍数でない数を引き、2回目でそれに対応する数を引いて3の倍数になる確率」と考えられます。
ですから

が求める確率になります。

(2)

(1)と同様に考えます。
 pnは「n回目までの数字の合計が3の倍数である確率」であり、 pn+1は「n + 1 回目までの数字の合計が3の倍数である確率」です。
この問題設定をしっかり押さえておきましょう。

つまりn回目で3の倍数だったら、n + 1回目で3の倍数になるためには、36を引く必要があります。
そして、n回目で3の倍数でなかったら、n + 1 回目では、それに対応する3枚(合計が3m+1(mは整数)で表されるすうなら2, 5, 8のような)を引く必要があります。
ですから、(1)の

と同様に考えれば、

(2)で求める式です。

以下のようにまとめてもよいでしょう。

n回目の合計 確率 n + 1回目の数 確率 n + 1回目の合計
3の倍数 pn 3, 6 2/8 3の倍数
1, 2, 4, 5, 7, 8 6/8 3の倍数でない
3の倍数+1 ? 合計で
1 – pn
2, 5, 8 3/8 3の倍数
1, 3, 4, 6, 7 5/8 3の倍数でない
3の倍数+2 ? 1, 4, 7 3/8 3の倍数
2, 3, 5, 6, 8 5/8 3の倍数でない

(3)

(2)までできれば、あとは漸化式を解くだけです。
(2)で求めた、

を解きます。
これは、特性方程式を使って等比数列の形に変形して解くタイプの式です。
ただし、特性方程式という単語は高校の範囲ではないので、記述問題では回答に書かない方が無難です。

特性方程式についての記事はこちら

の特性方程式はより

と変形できます。

 ※漸化式の計算になれている方

は初項が

であり、公比がの等比数列なので、

となります。

※漸化式の計算になれていない方

とおくと、

となるので、 qnは公比が – 1/8 の等比数列です。

等比数列とは、前の項にある定数rをかけると次の項になるような数列でした。
その一般項は

                an = a1rn-1
で表されます。
必要なのは初項a1と公比rの情報ですので、あとは初項を求めれば、一般項がわかることになります。
p1(1)で求めましたので

となります。ですので、qn の一般項は

となります。つまり

が求まります。

 3.確率漸化式のまとめ

最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、確率漸化式の代表的な問題を紹介して解説しました。
確率漸化式の問題は「漸化式をたてる」と「漸化式を解く」という2段階に分けられます。
「漸化式をたてる」ことさえできてしまえば、あとはパターンに従って解くだけです。
解けるようになるまで復習しましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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