二次方程式の解き方をわかりやすく解説
二次方程式を解くことができるのは、高校受験、大学受験をするのにかならず必要な能力です。
高校受験であればそれ自体が問題になることもありますが、大学受験ならば二次方程式は解けて当たり前です。
また、たすき掛けなどを含めて二次方程式の因数分解ができるのも当然ですが、解の公式や二次方程式の解の個数についての理解も必要です。
この記事では、二次方程式の解き方についてまとめます。
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1.【二次方程式の解き方の基礎】等式と方程式と恒等式の特徴
二次方程式について考える前に、等式と方程式と恒等式についてまとめておきます。
等式とは、等号(=)で結ばれるような式のことです。
たとえば、
(x-1)(x-2)=x2-3x+2
も等式ですし、
(x-1)(x-2)=0
も等式です。
等号で結ばれているような式(整式や定数など)を等式といい、等式には方程式や恒等式などが含まれます。
では、方程式と恒等式はどのように違うのでしょうか。
実は先に挙げた
(x-1)(x-2)=x2-3x+2
は恒等式で、
(x-1)(x-2)=0
は方程式です。両者は次のように定義されています。
「恒等式」とは「両辺(すべての辺)が式として等しいような等式」です。
「方程式」は「未知数を含み、その未知数が特定の値をとるときにだけ成立する等式」です。
つまり、恒等式は右辺から左辺に(あるいは左辺から右辺に)式変形をすることができ、未知数がどのような値をとっても、常に等号が成立します。
しかし、方程式は未知数が特定の値のときにしか、等号が成立しません。
先の例でも
(x-1)(x-2)=x2-3x+2
は左辺を展開した式が右辺ですから、xにどんな値を代入しても等号が成立します。ですからこれは恒等式です。
それにたいして、
(x-1)(x-2)=0
はx = 1, x = 2 のときには等号が成立しますが、x = 3, x = 0 などの他の値では、等号が成立しません。このような式が方程式です。
このように、方程式の等号が成立するような未知数(x)の値を見つけることを、「方程式を解く」といいます。
2. 二次方程式と解き方の基本
二次方程式は「二次」の「方程式」です。先の
(x-1)(x-2)=0
は、もっと言えば「一元」「二次」「方程式」です。
「方程式」については既に説明しました。では「一元」や「二次」とはどのような意味でしょうか。
「一元」とは「未知数が一つである」ことを表しています。
(x-1)(x-2)=0
における未知数はxのみですから、未知数が一つであり「一元」の方程式です。
例えば
3x-2y=3
でx, y が未知数であるときには「二元一次方程式」と言います。この解はただ一つに定まるものではありません。
解が無数にあるような方程式を「不定方程式」といい、「二元一次不定方程式」と表現します。
「二元一次不定方程式」については、高校の数学Aの整数の性質の単元で学習します。
では「一次」や「二次」というのは、何を表すものでしょうか。
結論から言えば、等式の次数を表すのが「一次」「二次」です。
単項式
5x2 y3 z4
について考えると、9次の単項式である、と言えます。
9というのは、この単項式に9つの文字因子が含まれるからです。
5xxyyyzzzz
ただし、xについては2次、yについては3次、zについては4次の単項式である、というように個別に考えることがあります。
これを単項式の次数といいます。
そして、その方程式に含まれる単項式のうち、もっとも次数が高い単項式の次数を、その方程式の次数と言います。
方程式
5x2 y3 z4+x4 yz+2xyz+4=0
の場合は、基本的には9次の方程式です。
しかし、未知数x, y, z を別々に考えて、例えばxだけについて「xに関する4次の方程式である」ということもあります。
さて、
(x-1)(x-2)=0
は展開すると
ですから、2次の方程式になります。ですから「二次方程式」です。
因数分解してあるような方程式に関しては、展開して整理したときの次数が、方程式の次数です。
方程式を解くときには、因数分解するのが基本です。
なぜ因数分解するのでしょうか。つまり
x2-3x+2=0
を
(x-1)(x-2)=0
とすることで、どのような得があるでしょう。
ここで考えるのは、
A×B=0
にどのような性質があるか、です。
ここで重要なのは、「単項式が0になるためには、その単項式に含まれる因数のどれかが0でなければならない」という性質です。
2つの因数AとBの積が0であるためには、Aが0であるか、Bが0であるか、どちらか(あるいは両方)を満たさなければならないということです。
ですから、
x2-3x+2=0
を
(x-1)(x-2)=0
と因数分解することで、
x-1=0 あるいは x-2=0、もしくは両方
でなければならないことがわかる、ということです。
ここから、この方程式の解
が導かれます。ですから、方程式を解くときには、因数分解するのです。
3. 二次方程式の解き方
簡単な二次方程式を因数分解すると
(x+a)(x+b)=0
のような形になります。これを展開すると
となります。つまり例えば、方程式
x2-7x+12=0
があったときには、「足して-7で、かけて12であるような2つの数aとbを見つければよい」ということになります。
これを見つけるのはある程度は勘ですが、基本は定数項の約数を疑えばよいでしょう。
この問題の場合は12の約数である1, 2, 3, 4, 6, 12, -1, -2, -3, -4, -6, -12です。
-3と-4が該当しますから、
(x-3)(x-4)=0
が答えです。慣れてくると、すぐにできるようになります。
より一般的に言えば、
(ax+b)(cx+d)=0
という因数分解になります。つまり二次の係数が1でない場合です。
これを展開すると
acx2+(ad+bc)x+bd=0
となります。例えば
5x2+13x+6=0
を因数分解します。このa, b, c, d を単純に見つけるのは大変です。
これを見つけるために「たすき掛け」というテクニックがあります。
これもさっきと同じで、a, cの候補になるのは最高次数の係数(この問題では5)の約数であり、b, d の候補は定数項(この問題では6)の約数です。
というように並べると、ななめに掛け算をして
というように、b c + a d を計算することができます。
例えば
となり、13にならないので正しくありません。
となり、a = 5, b = 3, c = 1, d = 2 が正解になりますから
と因数分解できますから、
が二次方程式の解になります。
もちろん
3 + 10 = 13
でも構いません。
4. 二次方程式の解の個数と解の公式
たすき掛けにより二次方程式の解を求める方法は、大学受験をするなら必ずできるようになっておくべきです。
しかし、すべての二次方程式の解がたすき掛けにより求まるわけではありません。
解を持たないような二次方程式もありますし、実数解(というよりも有利数解)が出ない場合には、たすき掛けにより二次方程式の解を求めるのは困難です。
そんなときに利用するのが、「二次方程式の解の公式」です。
二次方程式の解はすべて、解の公式により求めることができます。
二次方程式
ax2+bx+c=0
の解は
となります。
因数分解により解が求まらない場合には、解の公式を使って二次方程式の解を求めます。
この
b2-4ac
の部分は、「判別式」と呼ばれ、二次方程式の解の個数を判別する際に使います。
つまり、根号の中身は実数の範囲では正の数になるはずですから、
b2-4ac>0
なら、この二次方程式は2つの解を持つことになります。
b2-4ac=0
であれば、二次方程式の解は1つ(重解をもつ)、
b2-4ac<0
であれば、二次方程式は実数解を持たない(虚数解をもつ)と言えます。
おわりに
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、二次方程式の解き方についてまとめました。
ご参考になれば幸いです。