<三乗の公式:展開と因数分解>

数学 2019.4.26
<三乗の公式:展開と因数分解>

三乗の公式は、高校数学ではよく出てきます。

高校で『三乗の公式』という名前が付いている公式はいくつかありますが、そのどれも問題でメインになることはほとんどありません。

しかし、三乗の公式を使うと簡単に解ける問題が出題されることもありますから、三乗の公式は覚えておきましょう。

また、忘れてしまっても作り方を知っていれば、時間のロスはありますが対応できるはずです。

この記事では、高校数学の三乗の公式についてまとめます。

 

 

    1、三乗の公式

    三乗の公式と呼ばれる公式の一つとして3次の乗法公式」があります。

    「3次の乗法公式」とは以下のようなものです。

     

    (a+b)3=a3+3a2 b+3ab2+b3
    (a-b)3=a3-3a2 b+3ab2-b3

     

    この三乗の公式を証明することは簡単にできます。ただ単に

    (a+b)3

    を展開してゆけばよいのです。

    (a+b)3=(a+b) (a+b)2
    =(a+b)(a2+2ab+b2 )
    =a(a2+2ab+b2 )+b(a2+2ab+b2 )
    =a3+2a2 b+ab2+a2b+2ab2+b3
    =a3+3a2b+3ab2+b3

    ですから、「3次の乗法公式」を忘れてしまった場合には、真面目に展開しましょう。

    因数分解ができないことはありますが、頑張れば展開はできるはずです。

    (a-b)3

    も同様に、

    (a-b)3=(a-b) (a-b)2
    =(a-b)(a2-2ab+b2)
    =a(a2-2ab+b2)-b(a2-2ab+b2)
    =a3-2a2b+ab2-a2b+2ab2-b3
    =a3-3a2b+3ab2-b3

    のように展開できます。

    「3次の乗法公式」二項定理の特殊な形であるとも捉えられます。

    以下の説明では、高校数学の数学Aで学習する組み合わせの記号Cと、数学Bで学習する和の記号Σを使います。

    まだそれを学習していない方は、読み飛ばしてしまって構いません。

    二項定理とは以下のようなものです。

    三乗の公式1

    この式にr=3 を代入したものが「3次の乗法公式」です。

    二項定理を応用すれば、高校数学で登場する、どのような累乗も展開できるでしょうし、特定の係数だけを求めることができます。

     

    「3次の乗法公式」はもう一つあります。

    因数分解ではこちらの方が、よく使うかもしれません。

    (a+b)(a2-ab+b2)=a3+b3
    (a-b)(a2+ab+b2)=a3-b3

    この公式は因数分解でよく使います。

    忘れる受験生も一定数いますし、先に申し上げた「3次の乗法公式」「2次の展開公式」と合わせて覚えることが多いため、

    (a+b)(a2-2ab+b2)=a3+b3
    (a-b)(a2+2ab+b2)=a3-b3

    と間違って覚えている受験生もいます。この係数の「ミス」を採点官は「ミス」だと思ってくれませんから、特に注意しましょう。

    また、この公式に関しては符号もミスが目立ちますから、しっかり覚えましょう。

    この証明も簡単にできます。忘れてしまったら以下のいずれかの方法で作りましょう。

     

      2、「三乗の公式」の作り方①

      (a+b)(a2-ab+b2)=a3+b3

      をつくるために

      (a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3

      を利用します。

      三乗の公式2

      となります。同様に、

      (a-b)(a2+ab+b2)=a3-b3

      も以下のようにつくることができます。

      三乗の公式3

       

      3、「三乗の公式」の作り方②

      剰余の定理因数定理は、数学Ⅱで学習します。

      正直に申し上げて「3次の乗法公式」を説明するのに、剰余の定理や因数定理を持ち出すのは過剰なのですが、このような考え方もできる、ということで合わせて覚えておくと、忘れにくいかもしれません。

      剰余の定理とは、xについての整式P(x)x-aで割ったときの余りに関する定理です。

      整式P(x)x-aで割ったときの商をQ(x)、余りをRとします。

      1次式で割っていますから、余りは定数になります。

      すると

      P(x)=(x-a)Q(x)+R

      です。x=aを代入すると

      P(a)=(a-a)Q(a)+R
      =R

      となります。これが剰余の定理です。

      つまり、整式をx-aで割った余りが知りたければ、x=aを代入すれば求まる、ということです。

      そしてこれを利用して導き出されるのが、因数定理です。

      R=0のとき、

      P(x)=(x-a)Q(x)

      となり、P(x)x-aで割り切れることになります。つまり、

      P(x)x=aを代入して0になったら、P(x)x-aで割り切れる、ということが言えます。

      式にすると

      x-a

      整式P(x)の因数⇔P(a)=0

      となります。これが因数定理です。

       

      さて、ここで

      a3-b3

      に戻ってきましょう。

      aを変数、bを定数と考え、

      P(a)=a3-b3

      とすると、a=bを代入すれば

      P(b)=b3-b3=0

      となりますから、因数定理よりa3-b3a-bで割り切ることができます。

      ですから、実際に整式の割り算を計算すると、

      (a-b)(a2+ab+b2)=a3-b3

      となり、三乗の公式が導かれます。同様にa3+b3a+b で割れば、

      (a+b)(a2-ab+b2)=a3+b3

      を導くことができます。

       

        4、忘れやすい因数分解の公式

        三乗の公式をしっかり覚えている受験生でも、忘れやすい因数分解の公式があります。

        そこまで出題頻度が高いわけではありませんが、出てくる可能性はありますから、覚えておくべきです。

        特に以下の2つの公式を忘れてしまっている受験生が多いので、確認しておきましょう。

        (a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)=a3+b3+c3-3abc
        (a+b+c)2=a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca

        また、

        a3+b3
        a3-b3

        は先に申し上げた三乗の公式

        a3+b3=(a+b)(a2-2ab+b2)
        a3-b3=(a-b)(a2+2ab+b2)

        を利用することもありますが、

        a3+b3=(a+b)3-3ab(a+b)
        a3-b3=(a-b)3+3ab(a-b)

        を使うこともあります。こちらもよく使う公式ですから、場面によって使い分けましょう。

         

          5、練習問題

          . 次の式を展開せよ。

          (x+2)3(x-2)3

          解答・解説

          理系の基本は(異論はあるかもしれませんが)「できるだけ楽をすること」です。

          努力を怠れということではなく、「簡単に解けるように努力する」のです。

          筆者の専門は情報技術ですが、人がやることをできるだけ自動化して、楽をするためにプログラミングをします。

          これらの問題でも、地道に展開してゆけば誰でも正解できます。

          ですが、「できるだけ楽をして計算しよう」という姿勢を忘れてはいけません。

          三乗の公式を知っているからといって

          (x+2)3(x-2)3
          =(x3+6x2+12x+8)(x3-6x2+12x-8)

          としてしまっては面倒です。

          (x+2)3(x-2)3
          =(x3+6x2+12x+8)(x3-6x2+12x-8)
          ={(x3+12x)+(6x2+8)} {(x3+12x)-(6x2+8)}
          =(x3+12x)2-(6x2+8)2

          として計算することもできますが、やはり面倒です。ここは

          (x+2)3(x-2)3
          ={(x+2)(x-2)}3
          =(x2-4)3
          =x6-12x4+48x2-64

          とするのが楽でしょう。

           

            6、おわりに

            最後までご覧くださってありがとうございました。

            この記事では、三乗の公式についてまとめました。

            三乗の公式にはいくつかのパターンがありますが、どれが大切というものではありません。

            すべて覚えておくべきものです。

            ただし、忘れてしまったからと言って問題が解けなくなる類のものでもありません。

            その場で作るのは比較的楽ですし、ただの展開であれば努力すればできます。

            とはいえ、試験は時間との勝負でもありますから、三乗の公式を忘れたために時間を浪費するのは得策ではありません。

            しっかり確認しておきましょう。

            記事の内容でわからないところ、質問などあればこちらからお気軽にご質問ください。

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            この記事の執筆者

            ニックネーム:受験のミカタ編集部

            「受験のミカタ」は、難関大学在学中の大学生ライターが中心となり運営している「受験応援メディア」です。