【2019年センター試験レポート】出題・平均・ボーダー…今年の入試状況に迫る!
2019年1月19日・20日にかけて、大学入試センター試験が実施されました。
受験生の皆さんは、ひとまずお疲れ様でした。
大学の個別試験に向け、もうひと踏ん張りといったところでしょうか。
この記事では、そんな2019年度の大学入試センター試験についてレポートします。
※この記事は、河合塾より出されたプレスリリースを基に制作されています。
【 トピックス 】
1.2019年センター試験 受験者数はやや減少
2019年のセンター試験受験者数は、現役世代がやや減少し、反対に、既卒(浪人生など)世代はやや増加する結果となりました。
2019年のセンター試験の志願者数は576,830人(昨年582,671人:前年比99.0%)、本試験の外国語受験者数も538,603人(昨年548,465人:前年比98.2%)と、いずれも減少しました。
次に、大学入試センターが発表した志願者数の現役または既卒の内訳を見てみましょう。
現役志願者数は昨年の473,570人から464,950人と8,620人減少(前年比98.2%)しました。
これらは、18歳人口の減少に加え、2018年度入試の難化の影響から推薦・AO入試へ回避した受験生が多かったことが理由にあると推測されます。
一方、既卒等の志願者数は昨年の109,101人から111,880人と2,779人増加(前年比102.5%)し、対照的な結果となりました。
2.「大学入学共通テスト」を意識した出題も見られる
2020年度(2021年1月実施)から、これまでの大学入試センター試験は廃止となり、新たに、読解力やコミュニケーション能力を重視した「大学入学共通テスト」が開始されます。
2018年12月に公表された「大学入学共通テスト」のプレテストでは、読解力を要する問題や対話形式での出題、また文章や図表など複数の素材から考えさせる設問が目立つ内容となっていました。
今年のセンター試験においても、全体的には目新しい出題は少なく、傾向に大きな変化はなかったものの、昨年に続き、対話形式での出題や図の読み取りから考察する問題がみられました。
たとえば「地理B」では、さまざまな図表を用いて、読み取りと基本的な知識を結びつけて解答させる問題がみられました。
また、英語「筆記」では、第3問で話し合いの発言内容をまとめる問題が出されるなど、より実践的なコミュニケーション能力を問う問題となっていました。
これらの変化は「大学入学共通テスト」で問われる能力を意識したものだと考えられるため、現役での受験では2020年に間に合う現在の高校1年生以下のみなさんも、このような問題への対策を行っていくべきだと言えるでしょう。
3.「英語(リスニング)」「国語」は易化、平均点は大幅アップ
以下の表は、河合塾が実施した自己採点集計「センター・リサーチ」参加者の平均点を集計したものです。
英語では、「筆記」は昨年並みの平均点でしたが、昨年過去最低の平均点となった「リスニング」は8.7点アップの32.0点となりました。
また、国語は、全体的に易化した影響もあり、昨年より17.0点アップしました。
数学は「数学Ⅰ・数学A」、「数学Ⅱ・数学B」とも平均点は昨年から大きな変動はありません。
一方で、理科では平均点の減少が目立ちました。
文系受験者が中心となる理科①は、最も受験者の多い「生物基礎」が昨年から4.5点ダウンしました。
理科①では、昨年と比較すると科目間の平均点差は小さくなり、いずれの科目も31点前後におさまっています。
理科②では、受験者の多い「物理」「化学」の平均点が2科目で約10点ダウンしました。
理科で思うように得点できなかったと感じている理系生が多かったのではないでしょうか。
地歴・公民は、「地理B」で5.9点ダウン、「倫理,政治・経済」で8.6点ダウンしました。4単位科目はいずれも6割を超えており、その差は小さくなっています。
4.文系、理系ともに、8割以上の得点者が増加
多くの国公立大で必要となる7科目の受験者平均点は、文系型で昨年から17.4点アップの581.1点(900点満点)、理系型で12.3点アップの583.6点(900点満点)と、どちらも大幅にアップしました。
以下のグラフは、「センター・リサーチ」参加者の7科目型受験者の成績分布です。
文系型、理系型とも右側にシフトしており、昨年と比べて高得点層が増加していることがわかります。
主要科目である「英語(リスニング)」、「国語」の平均点上昇の影響が大きく、720点(得点率8割)以上の高得点層は文系型で前年比127%、理系型で前年比116%と大幅に増加しています。
これらのことから、今年のセンター試験では、高得点が取りやすい状況だったことがうかがえます。
5.難関国立大の志望者は、センター試験でどのくらい得点しているか?
以下の表は、旧帝大を中心とした難関10大学の大学・学部別の志望動向です。
難関10大学全体の志望者は前年比99%で、国公立大全体の前年比と同程度になっています。
センター試験7科目型の学力分布を見ると、文型・理型ともに得点率8割以上の高得点者層が増えていることから、難関大では強気の出願となることが予想されます。
東京大の志望者は大学全体で前年比98%です。
志望者の得点分布を見ると、文科類では得点率90%以上の高得点層が増加していますが、理科類は前年並みとなっています。
文科類の志望者は一類で前年比103%と増加、三類で98%と減少しています。
理科類では一類、二類で減少、三類で106%と増加し、東京大志望者が強気な出願を検討している様子がうかがえます。
また、理科三類は2019年度入試より第1段階選抜の倍率を4→3.5倍に引き下げるため、第1段階選抜予想ラインには注意が必要です。
京都大の志望者は、前年比97%とやや減少しています。
総合人間学部では前年比89%と減少が目立ちますが、これは総合評価には理・地公のみ(理系は地公のみ)を使うため、該当教科に平均点の下がった科目が多いことが影響していると考えられます。
同じく前年比91%と減少している工学部は、志望者の成績分布を見ると成績上位層は増加しており、注意が必要です。
このほか、河合塾のホームページでは、各大学のボーダーラインや志望者の成績分布を見ることができます。
(※成績分布はPCからの閲覧のみ対応)
自分の立ち位置を確認することは、落ち込むこともあるかもしれませんが、気持ちを切り替え、残り少ない受験生活を走り切りましょう!