【ムサビ】武蔵野美術大学とは?多摩美との比較や美大あるある
武蔵野美術大学とは、「武蔵美(ムサビ)」とも呼ばれる、東京都小平市の美術大学です。
多摩美こと多摩美術大学、藝大こと東京藝術大学と比較されることも多い、日本のトップクラスの美術大学です。
今回は、現役ムサビ生である筆者が、武蔵野美術大学のリアルな情報や、美大生のキャンパスライフについてお伝えします!
1.武蔵野美術大学(ムサビ)の学部やキャンパスは?
武蔵野美術大学(むさしのびじゅつだいがく)は、通称「ムサビ」「MAU」とも呼ばれる美術大学です。
ムサビの学部は「造形学部」のみです。
その中に、「視覚伝達デザイン学科」「工芸工業デザイン学科」などのデザイン系や、「日本画学科」「彫刻学科」などのファイン系、建築や映像など、美術に関する様々な分野が学べる全12学科が存在します。
また、今年から新しくクリエイティブイノベーション学科ができます。
また、ムサビは、同じく難関の私立美術大学であるタマビこと「多摩美術大学」と、よく比較されます。
実際に、美大志望の人は、武蔵野美術大学・多摩美術大学・東京藝術大学の3つを勧められることが多いと思います。
筆者が感じる3大学の違いを、以下にまとめてみました。
東京藝術大学(藝大)
・国内唯一の国立美術大学。一般の大学に例えると美大の中の東大のような存在です。
・キャンパス本部は東京の上野にあります。
・入試の倍率は、およそ10〜20倍と高いですが、これでも年々下がっています。多浪生がものすごく多く、現役や1浪で入れたら十分優秀だと言われました。10浪した人とかもいるらしいです…。
・試験は基本的にセンター3科目と実技で、筆者の受けたデザイン学科では、実技はデッサン・平面構成・立体構成でした(実技は学科によってちがいます)。実技の試験時間は5、6時間です。
・就職率は100%だときいたことがあります。でも就職する人はかなり少ないです。その他は、大学院に行く人、作家になる人、「未定」の人など。
・動物園がすぐ近くにあるので建物内にいても動物の鳴き声が聞こえてきます。
武蔵野美術大学(ムサビ)
・小平にあって、住宅街に囲まれています。
・私立の美大なので学費がとても高いです。
・一般大学に例えると藝大が東大ならムサビタマビはその次に位置していると思います。なので、藝大を第1志望にして第2、3志望または滑り止めにムサタマを受ける人が多いです。
・図書館と美術館がくっついていて映画も見れます。さまざまなデザイナーがつくった椅子が置いてあるのでそこでのんびりと本を読むことができます。
・入試は共通テストと一般試験、公募推薦(AO)があります。共通テストは3教科方式か5教科方式のどちらか。一般試験は国語と英語で、個人的には共通テストよりも簡単だと思います。実技の試験時間は3時間。
・春休みが3ヶ月間あって課題がないのでその間、自由なことができる。
そして、上にも書きましたが、ムサビ生が不満を持っているのは、「立地」です。
ムサビがある小平の周りは、ひたすらに住宅街なので、買い物や遊びに向きません。
また、最寄駅の鷹の台から歩いても15〜20分かかることも不満を集めています。
バスで国分寺駅から直接来ることもできますが、学校のバスではないのでお金がかかってしまい不便です……。
コンビニも歩いて15分くらいのところにあるし、100円ショップも道中にないため気軽に買い物にいけません。
一応「世界堂」という画材屋はあります。
多摩美術大学(タマビ)
・八王子にメインキャンパスがあり、敷地内の高低差が激しい。周りも山に囲まれています。でも建物とかオシャレな雰囲気はあります。
・入試の実技試験は約5時間。いくつかの入試方式がありますが、学科試験は英語・国語や、共通テスト併用方式などです。
・日本一夏休みが短い大学。その上、課題がいくつも出て大変らしいです。
2.武蔵野美術大学(ムサビ)の入試は?倍率が高いことも特徴!
武蔵野美術大学の受験倍率は、およそ2~10倍くらいです。
これは、タマビこと多摩美術大学も同様です。
ちなみに、藝大の受験倍率は5〜20倍くらいあります。
やはり国立大学であることや、有名であることが人気の理由でしょうか。
美大受験と言えば、絵の具、紙、鉛、パネルetc…とお金がかかります。
どのくらい画材費がかかるかは学科ごとにもよりますが、私はデザイン科だったので、基本的にアクリルガッシュ、筆、紙、鉛筆、練り消しにお金をかなり消費してしまいました。
美術予備校に入って最初にアクリルガッシュ24色(5000円くらい?)を買わされ、それを使うのですが、24色じゃ足りなくなるので使い切った絵の具も含め、持ってない色を買い足したりしました。
そうすると、単色で売られているものを買うので1本300円くらいでしょうか。
これに加え、絵を書くためのB5パネルや木炭紙大サイズのパネルとかあります。
さらに、美大は入学してからも制作するのにお金がかかります。
入学してからは、必ず必要な画材とかはないのですが、課題で実際に作品をつくらないといけないので、その画材や材料を買わなければいけません。
金額は人それぞれですが、ものを作るのにどの学科もお金が飛びますね。
3.美大生のリアル大学生活@ムサビ
ここからは、筆者の学生生活から、武蔵野美術大学でのキャンパスライフや出会った人々について解説します。
3-1.キラキラ美大生活編
ムサビでのキャンパスライフで一番盛り上がるのは、芸祭(いわゆる学園祭)です。
多種多様なイベントや展示作品があってすごく楽しく、構造物や資金など、全てが学生のみの力で運営・制作されています。
ライブペイント、神輿、パレード、劇、フリマ、ダンス、ライブ、作品展示などなど、1日で見きれないほど見所がたくさんあります。
そして最終日の夜にはシメとして有志の学生が作ったプロジェクションマッピングが現れます。
また、ムサビでは「知らない間に芸能人が来る」という現象が起こります。
これまでには、ヒルナンデスや徳光さんなどが来ていました。
武蔵野美術大学と有名人のつながりでは、「定期的に有名芸能人や有名クリエイターがくる講義」もあります。
これまでに、サカナクションの山口一郎さん、リリーフランキーさん、是枝監督などが講義をしてくださいました!
これも、ムサビに入れた特権ですね。
3-2.日陰の苦労編
楽しいこともいっぱいのムサビでの学生生活ですが、大変なこともあります。
何より、課題がクソ忙しい!ということです。
とにかくみんな徹夜してます。
基本的に、月に1個の課題が出ますが、期末近くになると、その課題の提出や課題の展示のために時間をかけて設営するのに加えて、座学系の試験やレポートが重なって、かなり忙しくなります。
筆者が最も大変だと思ったのは、1年生の9月にあった課題です。
私の学科では、学期ごとに毎週4科目の必須授業があり、それが同時進行で進められています。
それまでに出ていた1つ1つの課題は重いものではなかったのですが、その9月には、授業の最終課題として、重めの課題が3つの授業から出されました。
ひとつは「タイポグラフィ」で、ひらがな50音のフォント(字体)を自分で考えて、詩に組み込んで提出するというもの。
もう1つは、「ムサビ」をテーマに新たな地図を作るグループワークで、発表のためにグループで時間を合わせて集まり、調査や作品制作をしました。
そして3つ目は、製図の授業で「エッグドロップ」というものを作る課題でした。
これは検索すると出てきますが、「高いところから卵を落としても、卵をこわさずに軟着(着陸)する機体を作る」というものです。
私たちの授業ではA3のケント紙を使って、糊やテープを使わずにその軟着機を作りました。
そこに卵をいれて、4階ぐらいの高さから落とします。
卵が割れなければ成功です。
この試作を見た目の美しさ、工程の少なさ、プレゼン内容をふまえつつ作り、何度も落として、講評までにプレゼンボードを作らないといけません。成功する人はだいたい毎年半分くらいです。
これら3つを、空いている時間に同時進行で行い、1ヶ月間で9月末の講評に間に合わせるようにやらないといけないので、とても大変でした。泣泣泣
3-3.武蔵野美術大学の学生はどんな人が多い?
ムサビでは、全体で見ると男女比が6:4ぐらいで女子の方が多いです。
ただし、学科ごとにバラバラで、5:5だったり9:1だったりします。
ムサビ生の特徴を1つ挙げるとしたら、みんな個性的だということです。
ファションや考え方がみんな多様で独特なので一緒にいて楽しいし、すごく気楽です。
みんな違ってみんないい。
特にファッションはユニークな人が多く、私服でチャイナ服やゴスロリ、下駄を履いてくる人もいます。
とにかく、みんなおしゃれです!
髪色も、黒髪が一番多いですが、ピンク、緑、灰色、金、赤など個性的な髪色の人も多いです。
でも、どんな見た目でも、皆すごく真面目で、大概優秀な人です。もちろん、普通の服装の人もたくさんいます。
4. 武蔵野美術大学(ムサビ)の進路事情は?卒業生は何をしてるの?
美大生は、就活するためにポートフォリオというものを作らないといけません。
ポートフォリオとは、自分自身の作品集みたいなもので、今までに作った作品の写真や活動風景などを載せます。
また、その載せ方も工夫して、企業にアピールしなければならないというものです。
ムサビを卒業して、企業などに就職する人のうち、7割近くはデザイナーなどの専門的な職種に就いているそうです。
大学生活で学んだことを、仕事でも活かしているようですね。
また、最近では、制作活動を通じて培ったプレゼン能力やコミュニケーション力を活かして、商品企画や営業などの総合職で働いている人もいるようです。
美大の授業では、一般的な大学では見られない「作品の講評」などをしあう授業があるため、そこが役立っているのかもしれません。
また、教員免許を取って美術の先生になる人や、学芸員になる人も多いです。
5. おまけ
ムサビには、ヤギと鯉とクジャクがいます。
6.さいごに
美大行きたいけど、就職が心配…。入って大丈夫なのかなと思ってた時期がありましたが、今はむしろ入って良かったなと思います。
美大生ならではの専門性が様々な場面で役に立つことも多く、就職先も学科問わず広告代理店やゲーム会社、印刷やインテリアなど様々です。
会社員になってからやっぱり「美大行きたい」と言って会社辞めて入った人もいますので、少しでも入ってみたかったら目指してみてもいいと思います!
今なら、マイナビ進学の資料請求で「10校の資料請求で全員、図書カード1000円分がもらえる!」キャンペーンも行われていますので、気になる大学&学部はどんどん請求してみてください。