被子植物の受精・配偶子形成について例を使ってわかりやすく解説

生物 2019.10.30

試験で間違いやすい分野としてよく挙げられるのが、被子植物の受精・配偶子形成です。

被子植物は独特の配偶子の形成の仕方、受精の仕方を持っています。
また、似たような名称が多いのも特徴的で、全て暗記するとなると大変です。

今回は、被子植物の受精・配偶子形成について実際に受精しているプロセスの例を用いて、詳しく解説していきます。

 

1.被子植物とは?

被子植物とは、種子植物のうち、胚珠が心皮にくるまれて子房の中に収まった種類の分類名です。
成長した後、果実を作る場合が多いです。胚珠がむき出しになっており、果実を作らない裸子植物と同時に覚えておくと、間違えにくくなりますよ。被子植物 解説

この被子植物の配偶子形成は動物のそれとは少し異なります。被子植物は雄性配偶子である精細胞と、雌性配偶子である卵細胞が形成されます。
卵細胞形成の際には、栄養分を蓄える胚のうも作られるのが特徴です

2.【被子植物の配偶子形成過程】花粉~精細胞の形成

精細胞(花粉)の形成過程は下の図のようになっています。

花粉の形成過程

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花粉の形成過程①

まず、花粉母細胞(2n)という花粉のもとになる細胞が減数分裂し、花粉四分子(n)になります。

花粉四分子ができるプロセスこの時、1つの花粉母細胞から、最終的に4つの細胞ができ、その4つが1セットとなっているので、花粉四分子と呼ばれています。

減数分裂については、以下の記事で詳しくまとめてありますので、参考にしてみてくださいね。
【画像を使って徹底解説】減数分裂とは?体細胞分裂との違いをマスターしよう!

花粉の形成過程②

花粉四分子(n)が体細胞分裂し、雄原細胞(n)花粉管核(n)になります。

花粉四分子ができるプロセス

やがて、雄原細胞が花粉管細胞にのみこまれ、成熟した花粉となります。

花粉の形成過程③

雄原細胞(n)はさらに体細胞分裂し、精核(n)をそれぞれ1つずつ持つ精細胞(n)×2となる。

精細胞ができるプロセス

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花粉の形成過程④

成熟した花粉は受精後、花粉管を伸ばして胚のうに精細胞を送る。
この精細胞が雄性配偶子となる。

花粉管の形成と受精

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柱頭から胚のうまで距離があるため、花粉管を伸ばして精細胞を送ります。受粉については、後ほど詳しく説明します。

3.【被子植物の配偶子形成過程】卵細胞の形成

胚のうの形成過程は下の図のようになっています。

胚のうの形成過程

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胚のうの形成過程①

まず、胚のう母細胞(2n)が減数分裂し、4個の細胞になります。しかし3個の小さな細胞はやがて消失し、1個の胚のう細胞(n)となる。

胚のう細胞(n)とその他の細胞(n)×3ができるプロセス

卵子形成にについても、以下の記事で詳しくまとめてありますので、参考にしてみてくださいね。
【画像を使って徹底解説】減数分裂とは?体細胞分裂との違いをマスターしよう!

胚のうの形成過程②

胚のう母細胞で3回の核分裂が起き、8個の核が生じます。

胚のう母細胞での核分裂プロセス

胚のう母細胞内で、上の図のように核のみが分裂します。
かなり特殊な核分裂のスタイルなので、試験で出題されることが多いプロセスでもあります。

胚のうの形成過程③

それぞれが細胞膜でしきられ、3個の反足細胞(n)、2個の助細胞(n)、卵細胞(n)、残りの2個の核は胚のうの中央にとどまっており極核(n+n)と呼ばれ、中央細胞の核となります。
このように、卵細胞を持つ胚のうが胚珠内に形成されます。

先ほどは核のみが分裂しましたが、ここでは、細胞質分裂が起こります。

通常、細胞質分裂は均等に行われる傾向が多いですが、ここでは、不均等な細胞質分裂が起こります。この結果、4種類の細胞ができます。

胚のう

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中央細胞
核が二つあり、最終的に精細胞と受精し、胚乳(3n)となります。核が2つあるのが特徴です。二つの核は極核と呼ばれます。

助細胞
花粉管を誘導する物質を放出します。

卵細胞
卵子とも呼ばれます。精細胞と受精して胚になります。

反足細胞
特定の機能は提唱されていません。発生に伴い消失することが知られています。

被子植物の配偶子形成で、一番ややこしいと言われるのがここです。
そして、試験頻出もここです。しっかり理解して、高得点を狙いましょう。

4.【被子植物の配偶子形成過程】重複受精の仕組み

重複受精とは被子植物に特有な受精の形式を言います。

重複受精

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胚のうにたどり着いた花粉管から流出した1個の精細胞の核(n)は、1つは卵細胞の核(n)と合体して受精卵の核(n+n=2n)となります。

もう1つの精細胞の核(n)は胚のうの中央細胞にある2個極核と合体をします(n+2n=3n)。この合体したものを、胚乳核と呼びます。

つまり、重複受精とは卵細胞の核と精細胞の核の合体を生殖受精、精細胞の核と極核の合体を栄養受精といい、この二つが生じる受精のことです。

この時、胚のうを形成する助細胞と反足細胞は直接受精と関係せず、退化し消失します。

5.【被子植物の配偶子形成過程】被子植物の胚発生

被子植物の受精卵はすぐに発生をはじめます。

被子植物の胚の形成

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受精卵は体細胞分裂を繰り返して、胚球と胚柄になります。

胚球の細胞はさらに分裂し、しだいに分化して、「子葉」、「幼芽」、「胚軸」、「幼根」からなる胚を形成します。
胚柄は種子の成熟とともに退化します。

細かいですが、それぞれ何ができるか整理して覚えていくことで、得点アップを狙いましょう。

受精で生じた中央細胞中の胚乳核が核分裂を繰り返し、多数の細胞となります。その結果、核を1つずつ含む細胞となり、その中に発芽時に必要なデンプンなどの養分を貯えた「胚乳」が形成されます。

被子植物の胚乳の形成

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イネやムギ、トウモロコシのように、栄養分を胚乳に蓄えている種子は「有胚乳種子」呼びます。

マメ科やナズナ、アブラナ科などの種子では、胚乳はあまり発達せず退化し、栄養分は子葉に蓄えられます。このような種子を「無胚乳種子」と呼びます。

6.被子植物のまとめ

今回は、被子植物の受精・配偶子形成について詳しく解説していきました。

用語を丸暗記するのではなく、プロセスを流れとして理解していくことで、おのずと用語も覚えられますよ。

 

この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

「受験のミカタ」は、難関大学在学中の大学生ライターが中心となり運営している、高校生のための「受験応援メディア」です。