減数分裂をわかりやすく図で解説!体細胞分裂と減数分裂の違いも!
減数分裂とは、生物が有性生殖で使う配偶子ができる際などにおこる細胞分裂のことです。
減数分裂については、入試で概要が問われる場合があるほか、教科書でも発展として詳しく取り上げられているため、特に理系の個別試験では必須の内容です。
この記事では、どうやって減数分裂が行われているのか、そのプロセスについて詳しく解説していきます。
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1.減数分裂とは?体細胞分裂と何が違うの?
減数分裂とは、有性生殖に関わる細胞(配偶子など)を作る際に行われる細胞分裂のことです。
最終的に、体細胞に含まれる染色体の半数の染色体をもつ配偶子が形成されるため、「減数」分裂と呼ばれます。
メンデルなどの研究から、1940年代までに、遺伝に関する次の3つのことがわかりました。
② ある個体の体細胞の染色体は、2組からなり、それぞれ母親から受け継いだ1組と、父親から受け継いだ1組。これらは、体細胞分裂を通しても同じものが複製される。
③ 卵や精子といった配偶子が生成される際の分裂は減数分裂で、配偶子に含まれる染色体は1組のみ。体細胞の染色体と比べて半減していることになる。1組ずつ染色体をもった配偶子が2つ集まる(受精)ことで、体細胞と同じ量の染色体を得ることになる。受精してできた受精卵は、発生を経て、親と姿かたちの同じ成体になる。
これらと関連して、生物を勉強する際に覚えるべきことが3つあります。
そこでまずは、減数分裂について必ず覚えるべきことについて、順を追ってみていきましょう。
減数分裂のポイント①動物の配偶子形成の際に起こる
減数分裂は、有性生殖をする生き物が、配偶子などを作るときに起こる特殊な細胞分裂です。
動物細胞では、精子や卵である配偶子が作られるときに起こります。
また、植物細胞でも、被子植物が花粉を作る過程でできる花粉四分子や、子葉を作る過程でできる胚のうができる際にも、減数分裂が起こります。
受験に関しては、減数分裂は、「動物細胞の配偶子を作る際に起こる」とだけ覚えましょう。
減数分裂のポイント②染色体が半減する
減数分裂では、染色体が半減します。
つまり、染色体を2組持つ体細胞から、1組のみ持つ配偶子ができます。
ただし、ただ単に染色体が半分になるだけではありません。
減数分裂は、減数第一分裂と減数第二分裂に分けられます。
まず、細胞に含まれる染色体は2組、つまり4つに複製されます。
次に、減数第一分裂で、1組ずつ、つまり2つの染色体を持つ細胞が2つできます。
そして最後に、減数第二分裂において、染色体が1つずつに分けられ、1つの染色体を持った細胞が4つできます。
減数分裂のポイント③1つの母細胞から4つの娘細胞ができる
先ほど述べたように、減数分裂では、1つの細胞から、4つの細胞が作られます。
このとき、初めにあった細胞分裂する前の細胞を母細胞(ぼさいぼう)、最終的にできた4つの細胞を娘細胞(むすめさいぼう)といいます。
つまり、減数分裂では、1つの母細胞から4つの娘細胞ができるというわけです。
2.減数分裂の過程
ここでは、減数分裂の過程について見ていきます。
※生物をセンター試験でしか使わず、~7割くらい得点できれば大丈夫!という方は、この章を飛ばして3章へ移っても大丈夫です。
減数分裂の過程は、以下のようになっています。
▲クリックすると画像を拡大表示できます。
減数分裂は、減数第一分裂と減数第二分裂に分かれ、この2つの分裂は連続して起こります。
そして、この2つの分裂が終わった後(または、始まる前)の分裂が起こっていない期間を間期といいます。
減数分裂は、第一分裂と第二分裂が、それぞれ前期→中期→後期→終期という順で行われます。
ここからは、減数分裂の過程に従い、段階ごとに起こる変化を解説します。
【減数分裂の過程①】間期
まずは、減数分裂が行われる前の間期です。
体細胞分裂と同じように、間期のうちのS期と呼ばれる期間に、分裂に備えてDNAが複製されます。
複製されて2倍になったDNAが、最終的に4つの娘細胞に分配されることとなるため、最終的な娘細胞のDNA量は、母細胞の半分になります。
【減数分裂の過程②】第一分裂前期
染色体は棒状にまとまります。
ここで、染色体のうち1対をなす形や大きさが同じ2つの染色体を、相同染色体といいます。
この相同染色体同士が接着することを対合(ついごう)といい、対合した相同染色体のことを二価染色体といいます。
第一分裂の前期では、相同染色体が対合し、二価染色体となります。
また、中心体を起点として紡錘糸(ぼうすいし)が伸びてきます。
【減数分裂の過程③】第一分裂中期
二価染色体は、細胞の中心に、横一列になって並びます。
この中心の横線のことを、地球の赤道に見立てて赤道面と呼びます。
また、このとき、紡錘糸が二価染色体の中心にある動原体という部分で二価染色体に接し、鳥かごのような紡錘体(ぼうすいたい)が完成します。
【減数分裂の過程④】第一分裂後期
ここで、二価染色体を構成していた相同染色体が、対合前に戻るように分離します。
分離した染色体は、両極へと移動します。
【減数分裂の過程⑤】第一分裂終期
ここで一度、染色体の形が崩れ、間期のように核内に漂います。
ここまでで核膜が形成されるため、核内の染色体数は、母細胞の半分です。
また、植物細胞では細胞板ができ始め、動物細胞では細胞膜がくびれて、2つの細胞のようになっていきます。
ただし、第一分裂終期のうちは、まだ娘細胞が2つに分かれきっていないので、細胞の中での染色体数は、第一分裂前期と同じです。
【減数分裂の過程⑥】第二分裂前期
ここまでに細胞膜・細胞壁が完成して娘細胞が2つに別れ、できた2つの核の染色体数は、母細胞の半数になっています。
ここから、減数第二分裂に入っていきます。
染色体が再び棒状に凝縮します。
【減数分裂の過程⑦】第二分裂中期
再び、染色体が赤道面に並び、紡錘体が形成されます。
【減数分裂の過程⑧】第二分裂後期
染色体が、それぞれ、縦にちぎれて縦列面で分離します。
第一分裂では対合面で分離しましたが、今回は縦列面というところがポイントです。
これにより、もともと2つで1ペア(対)だった染色体が、1つ1つに分かれたことになります。
分離した染色体は、それぞれ両極へと移動します。
【減数分裂の過程⑨】第二分裂終期
先ほどと同じように、細胞板や細胞膜のくびれができ始めます。
ただし、第二分裂の終期では、まだ娘細胞は2つのままで、4つに分かれきっていないので、細胞内の染色体数は、第二分裂前期と同じです。
また、ここまでに核膜が完成しますが、第二分裂では染色体が縦にちぎれて分裂したため、娘核の染色体の本数も、第二分裂前期の細胞と同じです。
【減数分裂の過程⑩】間期
ここまでに細胞膜・細胞壁が完成し、4つの娘細胞ができあがります。
それぞれの細胞のDNA量は、母細胞の半分になっています。
3.減数分裂でのDNAの量(核相)について
ここでは、減数分裂でのDNA量の変化について、グラフにまとめています。
▲クリックすると画像を拡大表示できます。
まず、減数第一分裂の前の間期(S期)にDNA複製を開始し、DNA量が倍になります。
このとき、母細胞のDNA量を2nと置くと、複製後のDNA量は4nです。
次に、減数第一分裂終了後に半減します。
第一分裂終期の後に細胞膜・細胞壁が完成するので、終期ではまだ半減する前だということに注意してください。
ここで、4nだったDNA量が2nになります。
そして、減数第二分裂が終わると、さらに半分となります。
ここでも、終期の後に細胞膜・細胞壁が完成するので、終期ではまだ半減する前だということに注意してください。
DNA量は、2nからnになります。
減数分裂のまとめ
今回は、減数分裂について、画像を使って徹底解説しました。
特に、DNA量について、しっかり復習をしましょう。
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