有効数字とは?化学など理系分野での基本知識を分かりやすく解説!

有効数字は理系の問題を解くうえで非常に重要です。
大学受験においては、特に化学では、有効数字を使った問題がよく出題されます。
数学に関しては、大学受験で有効数字を気にしなければならない問題はあまりありませんが、大学の理系学部では知っておかなければなりません。
理系の学生なら、必ず大学の「数値解析」において、有効数字の意義や範囲について学習することになります。
この記事では、そんな有効数字についてまとめます。
1.有効数字とは
そもそも、有効数字とは何でしょうか?
例えば、紐の長さを物差しで測る、アナログの重量計でものの重さを測る、メスシリンダーで液体の体積を測るといったときに、必ず誤差が含まれます。
デジタルの計測器であっても、機器の都合から必ず計測誤差が生まれます。
計測機器の説明書には、有効数字の記述があると思います。
実際の物体を何かの方法で測定する場合、その測定値や測定値から計算により求められる数値には、意味のある数字と、意味のない数値があります。
例えば、冷蔵庫を買おうと思ったときに、冷蔵庫を置く予定の場所の縦、横、高さをメジャーで測ることがあると思います。
最小メモリが1mmのメジャーで測ったときの横の長さが、概ね62cmだったとします。
この62cmについて考えましょう。
Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人が、この62cmを見て以下のように言いました。
A「62cmです」
B「62.3cmですね」
C「62.33cmです」
D「62.335cmですね」
これが理科の実験だとすると、通常、Dさんの数字は採用されません。
というのは、アナログ表示のメモリを読み取る場合、最小メモリの10分の1まで読み取るのが普通だからです。
つまり、最小メモリの10分の1までの数字が、有効数字ということになります。
最小メモリの100分の1の単位まで人間の目で読み取った数値は、あまり信用できませんよね。
目分量で100分の1まで読み取れる方はあまりいないのではないでしょうか。
ですので、理科の実験的に読み取った場合、Cさんの62.33cmが採用されます。
このように、Dさんの読み取った0.005cmの値は信用できない数値であるとみなされます。つまり、「意味のない数字」=「有効でない数字」です。
先ほども申しましたが、アナログ表示を読み取る場合には、最小メモリの10分の1までを有効数字とするのが普通です。
さらにこのとき、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんそれぞれの方は誠実に、正確に計測したとします。
しかし、それぞれの言った数値は、それぞれ正確さが違います。
Aさんの62cmは、数値を2つ読み取っています。つまり、読み取った有効な数字が2桁ですので、「有効数字2桁」といいます。
Bさんの62.3cmは同じように考えれば「有効数字3桁」、Cさんの62.33cmは「有効数字4桁」です。
2.いろいろな数の有効数字
以上をまとめると、有効数字は以下のように表されました。
62 →有効数字2桁
62.3 →有効数字3桁
62.33 →有効数字4桁
62.335 →有効数字5桁
では、以下の数の有効数字を考えてみましょう。
① 3636
② 0.065
③ 0.06500
④ 3600
①はすぐにわかるでしょう。
いままでの説明をふまえると「有効数字4桁」です。
では②は有効数字何桁でしょうか。
数字が4つあるので、有効数字4桁………ではありません。
これは有効数字2桁なのです
0.065のような先頭に0が続くような少数の有効数字を考えるときには、先頭の0は数えないというルールがあります。
なぜこのようなルールが必要でしょうか。
例えば、先の62cmについて考えます。これは有効数字2桁でした。
この62cm、言い方を変えると0.62m、0.00062kmという言い方もできますよね。でも、これらの数字は全く同じ値を表すはずです。
しかし仮に、これらの数字の先頭の0を数えるとどうなるでしょうか。
62cm →有効数字2桁?
0.62m →有効数字3桁?
0.00062km →有効数字6桁?
となりますよね。同じ数字なのに、表し方によって有効数字が違うのは色々不都合があります。
そのため、有効数字を表す際には先頭の0は考えないのです。
③の有効数字はどうでしょうか。
「先頭の0は数えないのなら、末尾の0も数えないのでは」と思うかもしれませんが、小数点末尾の0はしっかり数えなければなりません。
ですので、0.06500の有効数字は4桁です。
なぜ小数点末尾の0は数えないといけないのでしょう。
これは0.065と0.06500の違いについて考えればわかります。
0.0645の少数第4桁を四捨五入すると0.065になります。
0.0654の少数第4桁を四捨五入しても0.065になりますよね。
つまり、0.065(有効数字2桁)は0.0645から0.0654までの誤差を含んだ数値を表すことになります。
では0.06500が表す数値の範囲はどうなるでしょう。
0.064995の小数第6桁を四捨五入すると0.06500になります。
同様に0.065004の小数第6桁を四捨五入すると0.06500になりますので、0.06500(有効数字4桁)は0.064995から0.065004までの値を表す数値である、といえます。
これで、0.065と0.06500の違いがお解りでしょう。
数値の正確さが違うのです。
0.065が0.009の誤差を認める数値なのに対して、0.06500は0.000009の誤差しかないのです。
これからは0.065と0.06500は別の数字であるという認識を持ちましょう。
③についてお解りいただければ、④の3600の見方も変わってくるはずです。
ここで3600の有効数字について悩む方は、なかなかいいセンスをしています。
つまり「十の位以下が切り捨てられた3600」なのか、「1の位まで正確な値としての3600」なのかという疑問が出てきます。
これは実は「どちらともいえない」のです。
このような数値の有効数字については、文脈によって決まるので、このような数値の有効数字は一度保留にしておきましょう。
ですので、3600の有効数字は2桁、あるいは4桁となります。
3.有効数字と四則演算
入試などの問題文では、有効数字が揃っていることが多いと思いますが、もしも揃っていない場合にどのように計算すればよいでしょうか。
足し算・引き算の有効数字の扱い
足し算・引き算では小数点以下の少ない桁数まで求めます。
有効数字について考えるときには、どこに不確かな値が含まれるのかをしっかりと意識しながら計算しましょう。
① 1.2+3.45
普通に考えれば1.2+3.45=4.65 です。
しかし、有効数字に着目すると、小数点3桁目を四捨五入して、1.2+3.45≒4.7とします。
先ほど書いたように、1.2の小数点2桁目は、目視で確認した、よくわからない値です。
不確かなのは小数点2桁目以降ですので、小数点2桁目までを計算して四捨五入するのがよいでしょう。
率直に言うと1.2という数字を使っている時点で、小数点2桁目は信用できない値なのです。
そのため、答えには小数点1桁目までを記述します。
② 2.54g+33mg
単位のついた計算です。
これもどの値が不確かなのかを確認すれば、これまでと同じように考えられます。
33mg=0.033gですので、これを用いて計算しましょう。
2.54gと0.033gですので、小数点3桁目は不確かな値です。
そのため、2.54g+0.033g=2.573g の小数点3桁目を四捨五入して
2.54g+33mg≒2.57gとするのがよいでしょう。
掛け算・割り算の有効数字の扱い
③ 4.27×0.41
掛け算の場合、有効数字をどのように扱えばよいでしょうか。
結論から言いましょう。
4.27×0.41≒1.8とします(単純に計算すると4.27×0.41=1.7507です)。
これも、有効数字の正確さの範囲について考えればわかります。
4.265 ≦ 4.27 < 4.275
0.405 ≦ 0.41 < 0.415
ですので、
4.265×0.405≦4.27×0.41<4.275×0.415
つまり
1.727325 ≦ 4.27×0.41 < 1.774125
です。これをもし、4.27×0.41≒1.75としてしまうと、1.745 ≦ 1.75 < 1.755ですので、誤差の4.27×0.41最大値や最小値をとったときには、その値を表さないことになってしまいます。
つまり、不誠実な性格さで数値を表すことになります。
そのため、4.27×0.41≒1.8とします。
ただし問題に「ただし有効数字は~とする」のような、有効数字の記述があった場合には、その記述に合わせて計算しましょう。
おわりに
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、有効数字の扱い方について詳しく解説しました。
有効数字について詳しく知りたければ、大学に入って「数値解析」の講義を受けましょう。
入試においては、まず問題文の記述に従うこと。
有効数字の考え方の基本は「曖昧な数はどこか」というものです。
これさえ押さえておけば、悩むことはないでしょう。