物質量(mol)の求め方とは?モル計算の基本を解説!

「物質量ってそもそも何を意味してるのか分からない」「物質量を使った計算は難しそう」と物質量(mol)に対して苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、物質量の計算は比例の関係が分かれば問題ありません。一度物質量について理解を深めることで、問題に対する苦手意識を軽減することができます。
本記事では、物質量の求め方について練習問題を用いながら丁寧に解説していますので、物質量の計算の基礎を習得してくださいね。
・物質量(mol)の概念を理解できる
・物質量(mol)の基礎的な計算方法が分かる
・溶液の濃度計算の問題が解けるようになる
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【目次】
1.物質量(mol)とはいったいなにか?
2.物質量(mol)の計算をしよう
2-1.1molあたりの重さ
2-2.1molあたりの体積
2-3.1molあたりの個数
3.化学の頻出問題である溶液の濃度計算
4.物質量の例題を解いていこう
5.まとめ
物質量(mol)とはいったいなにか?
先にもお伝えしましたが、molとは物質量の単位です。ここで躓くことが多いのですが、シンプルに考えましょう。物質量とは原子の量でもあります。ただ、小さすぎて正確な数字で把握しようとすると大変です。そのため簡易的に、molという単位を当てはめています。
単位の説明で良く例えにされるのが、鉛筆です。鉛筆はばら売りでも買うことができますが、基本的には12本1組になっているダースになります。この12本を1つにまとめたダースと物質量の考え方は同じです。
鉛筆なら1ダースは12本とわかりやすいですが、molの場合は6.02×1023個の原子で1つのまとまりと考えます。ちなみに、この6.02×1023という数字はアボガドロ定数と呼ばれるものです。
では実践をしてみましょう。例題としてわかりやすいように、1molのH2Oという水分子を考えます。水分子1つにつき水素原子Hは2つありますから、水素原子は2molあるといえます。酸素原子Oは水分子1つにつき1つなので1molになります。
ここで各原子(分子)の個数を確認しておきます。まず、水分子ですがこれは1molあるので、水分子が6.02×1023個あることを意味しています。水素原子は2molのため水分子の2倍の1.20×1024(12.04×1023)個、酸素原子は1molのため6.02×1023個あることを意味しています。
このようにmolというのは、アボガドロ定数を簡易にしたものなので、特に怖がる必要はありません。molの内容がわからないと、化学という分野そのものの学習が進んでいかないので、基礎をしっかりと押さえておきましょう。
物質量(mol)の計算をしよう
molは物質量の単位であり、分子の個数のことです。分子や原子はとても数が多いので、1molをまとまりとして数えるという形になります。
molの計算をする時は、質量と体積、そして個数の3つを求めるのが基本となってきます。質量はg、体積はL、個数は個として計算をしていきますが、最初に覚えておきたいことがあります。それは、molから何かの数値を求める時はかけ算、反対に何かからmolを求めるのなら割り算を使うということです。
1molあたりの重さ
分子量とは、分子の重さのことです。分子とは1個あたりの重さが、それぞれに決まっています。ただ、1個の数値は極小になるので、1molあたり何gになるのかを考えるのです。これがモルを使った分子量になります。先ほどと同じく、H2Oとなる水分子で考えましょう。
水分子は1molで、18gという数値が決まっています。18という数字は水分子の分子量と一致します。内訳は水素Hが1つあたり1g、酸素が1つあたり16gです。H2Oですから、1+1+16で18gになります。ここで、水が54gあるとしましょう。
54gの水は何molになるのか、問われたとします。
モルを問われた時は割り算を使うのは、お伝えした通りです。では、問題に戻りましょう。水分子1mol当たりの重さは18gなので、
つまり、54gの水は3molという結果を得られるのです。これは、冒頭に述べた通り比例の関係になっていますね
1molあたりの体積
体積をLで表すので、液体のリットルと勘違いをするケースが目立ちます。ただ、ここで紹介する計算は気体でしか使えません。しかし、気体であるのなら、どんな気体でも同じ計算式です。気体の体積であるLを22.4で割ると、molになります。
酸素も二酸化炭素も窒素も、それ以外の気体でも同じです。ここで気体の体積からmolを求めてみます。
5.6Lの酸素の物質量は、
と計算できます。よって0.25molであることがわかります。
1molあたりの個数
1molあたりの分子の個数は6.02×1023というのは紹介しました。ここで仮に、ある分子が3.01×1022個あるとすると、そのmolは
と計算できます。よって0.05molです。
化学の頻出問題である溶液の濃度計算
化学の授業が進んでいくと、内容が溶液の計算に移ります。この溶液の計算で頻出なのが、濃度を求めるものです。この場合使われるのが、molではなくてモル濃度になります。単位としてはmol/Lです。
モル濃度についてより理解を深めたいという方は、▶モル濃度とは?計算・求め方・公式はコレで完璧!質量パーセントとの違いもをぜひご覧ください。
ほとんどの場合、500mlといったように単位が違う形で出題されますので、まずは単位をLに直しましょう。1000で割るだけなので難しくはありませんが、単位直し忘れのケアレスミスだけは注意してください。
ちなみに問題文では水溶液などと表記されることが多いですが、塩酸や希硫酸など後ろに溶液とつかないケースもあります。ただ、この場合も溶液ですから惑わされないようにしてください。では、計算問題を実践してみましょう。
2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液が500mlあるとして、molを求めてみます。
最初に500mlを1000で割って単位を直します。
この0.5Lに2mol/Lをかけると、濃度が計算できるのです。
つまり、1molになるという計算です。
物質量の例題を解いていこう
では、実際に出題されるパターンの例題を紹介していきます。簡単な計算問題ですので、落ちついて考えれば難しくありません。
molから計算をするので、今回はかけ算を使います。H2Oは1molあたり18gですから、18にmol数を書ければ答えがでます。
計算式は
ですので、答えは90gです。
先ほどとは逆のパターンです。mol数を得るには割り算を使いますから、132を44で割ります。(44という数字がでてきましたが、これは二酸化炭素の分子量です。炭素であるCの原子量は12、酸素の原子量は16です。二酸化炭素はCO2なので、Cが1つにOが2つになります。計算式はC×1+O×2=12+16×2=44です。)
問題に戻りましょう。
となるので、答えは3です。つまり、3molが正解になります。
気体の体積を求める時の数字は、22.4(L)です。molから求めるので、使われるのはかけ算になります。
つまり、
となるので、112Lが正解です。
既に紹介していますから、簡単にいきましょう。
となるので、正解は1molです。
個数を求める時は、6×1023であるアボガドロ定数をかけます。物質の種類には関係ありません。
計算式としては
となります。つまり、答えは6×1023個が正解です。どんな物質でも、1molは6×1023個であることを覚えておきましょう。
こちらも先ほどやった問題の変形です。ただし、乗数にだけ気をつけておきましょう。ここを見落としてしまいがちですので、テストの時にもしっかり確認してください。
=12×1023÷6.0×1023
つまり、答えは2molとなります。
ここから応用問題を紹介します。
最初に18gの水分子を割ってmolを求めます。18(g)÷18(g/mol)という計算式です。18の数字は上でお伝えしているので省きます。
となり、molの値は1となりました。次に、求めたmolに22.4L/molをかけます。
になりますから、22.4Lとなります。この問題も練習すれば難しくないでしょう。
他にも物質量に関して勉強したいという方は、▶物質量の理解に役立つ記事まとめ!〜物質量からモル濃度まで〜をぜひご覧ください。
まとめ
物質量の求め方を紹介してみました。
単位はmol(モル)でこれは分子量6.0×1023を示したものです。molの計算問題のポイントは、molから求める時はかけ算、molを求めるなら割り算になることです。化学では基本中の基本なので、しっかりと押さえておいてください。