裸子植物で覚えておくべきポイントを解説!特徴・配偶子の構造・被子植物との違い

生物 2022.12.26

植物は、「種子をつくる植物」と「種子をつくらない植物」に2分されます。

種子をつくる植物は「種子植物」とよばれ、その中でさらに「被子植物」と「裸子植物」に分けられます。
そして被子植物のなかにさらに細かい分類があるのですが、なぜか被子植物は覚えたけど裸子植物は完全に忘れた・・・という人が多いような気がします。

そこで今回は「裸子植物」について、絶対に押さえておくべき特徴を被子植物と比較しながら紹介します。

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そもそも裸子植物とは

裸子植物とは、種子をつくる種子植物の仲間で、ヒノキ、イチョウ、ソテツ、スギ、マツが代表的です。

花粉症の人はあまり聞きたくない名前も入っていますね。
語群から裸子植物を選ぶような問題は試験に出題されやすいので、しっかり押さえておきましょう。

そして、裸子植物には絶対に覚えておくべき2つの特徴がありますので、順番に確認していきましょう。

 

裸子植物の特徴①胚珠が裸の状態になっている

まず1つめの特徴は、その構造です。
とくに「胚珠」は、裸子植物と被子植物の構造が最も違う部分です。

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裸子植物とは一言で言えば、将来種子になる胚珠が裸(むきだし)の状態になっている植物です。

一方で被子植物は、胚珠に子房が被さった状態になっている植物です。

「子房」というのは、将来果実になる部分です。
果物を想像してみてください。
果物の種になるのが胚珠で、普段食べている果肉の部分になるのが子房です。

胚珠の状態(裸か、子房が被さっているか)が、そのまま「裸子植物」「被子植物」という名前に繋がっているので、比較的覚えやすいと思います。

 

裸子植物の特徴②重複受精を行わない

裸子植物の2つめの特徴は、生殖の方法です。

被子植物も裸子植物も、種子をつくって子孫を残す種子植物です。
しかし、被子植物は重複受精を行うが、裸子植物は重複受精を行わないという違いがあります。

被子植物と裸子植物の生殖の違いは、試験によくでるのでしっかり覚えておきましょう。

 

【被子植物】配偶子形成と重複受精

種子植物の生殖では、雄性配偶子である花粉と、雌性配偶子である卵細胞がつくられます。

まず、雄性配偶子である花粉は、おしべの葯(やく)の中でつくられます。
また、花粉のつくられ方は、次の3つの段階に分けて考えると覚えやすいです。

※ここで使う(n)や(2n)は核相(核がもっている染色体のセット数)を示しています。

【被子植物】雄性配偶子のつくられかた

①    花粉母細胞(2n)が減数分裂し、花粉四分子(n)になる。

②    花粉四分子(n)は体細胞分裂し、雄原細胞(n)と花粉管核(n)になる。

(この雄原細胞を私たちは花粉と呼んでいます。)

③    雄原細胞(n)はさらに体細胞分裂し、精細胞(n)が2つできる。

(精細胞(n)はそれぞれ、受精するための精核(n)を1つ持っている。)

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次に、雌性配偶子である卵細胞のつくりかたを見てみましょう。

卵細胞は、胚珠の中でつくられます。
卵細胞の形成は、次の3つの段階に分けると覚えやすいです。

【被子植物】雌性配偶子のつくられかた

①    胚のう母細胞(2n)が減数分裂し、胚のう細胞(n)が1つと、その他の細胞(n)が3つできる。(この3つの細胞は後に退化してなくなってしまう。)

②    胚のう母細胞で核分裂が起き、8つの核ができる。

③    8つの核がそれぞれ細胞膜で仕切られ、反足細胞(n)が3つ、中央細胞(n+n(核が2つある))が1つ、助細胞(n)が2つ、卵細胞(n)が1つできる。
また、③でできた細胞をまとめて胚のうと呼びます。(試験に出ますよ!)

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減数分裂については、減数分裂の記事で解説してあるので、あわせて参考にしてくださいね。

 

さて、ここまで覚えるのも大変ですが、ここからが本番、受精についてです。被子植物と裸子植物を比較してみましょう。

植物の受精は、花粉がめしべの柱頭につくところ(受粉)から始まります。受粉から受精までは、次の2段階に分けると覚えやすいです。

被子植物の受精

①    めしべの柱頭についた花粉が、受精をするために卵細胞へと花粉管を伸ばす。

(花粉管が伸びている間に、[雄性配偶子のつくられかた]の③が行われます。ここで精細胞(n)が2つできるのを思い出してください)

②    花粉管が胚珠の珠孔に到達すると、精細胞(n)の1つが卵細胞と受精して胚(2n)に、もう一つの精細胞(n)が中央細胞(n+n)と受精して胚乳(3n)になる。


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2つの精細胞が別々の細胞と受精をする(胚のうの中で重複した受精が行われる)ので、このような受精を「重複受精」と呼びます。
被子植物の生殖は、とても複雑ですね。これに比べると裸子植物の生殖は簡単に思えるかもしれません。

 

【裸子植物】重複受精を行わない

裸子植物の生殖では、精細胞(n)と卵細胞(n)が受精して胚(2n)ができるところは被子植物と同じです。
しかし、裸子植物は、胚乳との受精はしません。

つまり、裸子植物は重複受精を行わないということです

(ちなみに、裸子植物の胚乳は、減数分裂でできた胚のう細胞(n)由来なので、nのままであることもポイントです)。

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例外として、イチョウとソテツは精細胞ではなく精子をつくります。
これは他の裸子植物・被子植物には見られないもので、たまに試験に出ますので頭の片隅に置いておいてくださいね。

 

裸子植物と植物の生活環

生物が生まれてから死ぬまでの過程を生活史といい、生活史を環状にしたものを生活環といいます。
植物の生活環は単相世代(n)と複相世代(2n)からなり、これらが周期的に交代します(世代交代)。

生活環は被子植物も裸子植物も基本同じで、減数分裂から受精までが複相世代、受精から減数分裂までが単相世代です。
これもたまに聞かれるので、図の中にキーワードを埋められる位にはなっておきましょう。


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裸子植物の例題と解答

例題1

(1)次の植物の中から裸子植物をすべて選びなさい。

①カキ ②イチョウ ③イネ ④ソテツ ⑤マツ

(2)(1)の選択肢それぞれについて、完成した種子の胚乳の核相を答えよ。

※以下に解答があります
 

 

 

解答1

(1)      ②イチョウ、④ソテツ、⑤マツ

(2)      ①カキ:3n ②イチョウ:n ③イネ:3n ④ソテツ:n ⑤マツ:n

 

例題2

裸子植物の生殖について、被子植物と比較してどんな特徴があるか。

※以下に解答があります
 

 

 

解答2

被子植物は重複受精を行うが、裸子植物は行わない。
また、被子植物の胚乳は核相が3nであるのに対して、裸子植物ではnである。

 

裸子植物のまとめ

今回は、裸子植物について被子植物と比較しながらまとめてみました。

被子植物よりは裸子植物の方が覚えることが少ない事が分かっていただけたかと思います。
ですが、そこで油断してしまうと思わぬ減点に繋がってしまうかもしれません。

被子植物と併せて、裸子植物もしっかり記憶に定着させましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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