体細胞分裂とは?高校生物で絶対に外せないポイントまとめ

生物 2019.8.29

体細胞分裂は高校生物の中でも比較的点数の取りやすい単元なので確実に点数を稼ぎたいところですよね。

今回は体細胞分裂の分野で絶対に外せないポイントをまとめてみました。

動物と植物の違いやDNA量の変化など、少しややこしい部分もありますが、ポイントを押さえてしっかり覚えていきましょう。

1.体細胞分裂とは?

生物の体は、たくさんの細胞が集まってつくられています。
私たちはもともと、たった一つの受精卵という細胞から作られました。
この細胞から私たちの体がどのようにできたのかというと、「細胞分裂」という現象が繰り返されたからです。

細胞には大きく分けて2つの種類があります。子孫を残すための生殖細胞と、それ以外のすべての細胞である体細胞です。

そしてこの体細胞が行う細胞分裂を「体細胞分裂」と呼びます。

 2.体細胞分裂の過程

2-1.体細胞分裂には3段階ある

体細胞分裂は大きく3つの段階に分けることができます。

各名称はもちろんのこと、この順番を並び替える問題がよく出るので必ず押さえましょう。

体細胞分裂の過程

間期分裂の準備期で、染色体の複製が行われる。さらに3つの期に分けられる。
 DNA合成準備期(G1期)、DNA合成期(S期)、分裂準備期(G2期)

核分裂:染色体が縦列して2分される。さらに4つの期に分けられる。
 前期核膜・核小体が消失。染色体が太く短くなる。
 中期染色体が赤道面に並び、紡錘糸が付着する。
 後期染色体が縦裂して染色分体となり、紡錘糸に惹かれて両極に移動する。
 終期染色体が細くなり、核膜・核小体が現れる。細胞質分裂がはじまる。

細胞質分裂:細胞質を2分するための分裂。核分裂終期頃から起こる。
細胞質分裂の終了により、体細胞分裂が完了する。

 【体細胞分裂】動物と植物の違い

動物細胞と植物細胞の体細胞分裂の違いも多く出題されます。

それぞれの特徴もしっかり押さえておきましょう。

動物細胞の特徴

  • 核分裂中期で、中心体が2つに分かれて両極に移動し、星状体となる。
     (特に、図の中で中心体と星状体を選ぶような問題もでるのでポイントです。)
  • 細胞質分裂では、細胞質がくびれるように2分する。

植物細胞の特徴

核分裂中期で、中心体が2つに分かれて両極に移動し、星状体となる。
 (特に、図の中で中心体と星状体を選ぶような問題もでるのでポイントです。)
細胞質分裂では、細胞質がくびれるように2分する。

【体細胞分裂】植物細胞の特徴
細胞質分裂で、細胞板(細胞を2分するための板)ができる。

 

体細胞分裂の観察

体細胞分裂の観察方法もよく聞かれます。

特に手法の目的などは記述問題で聞かれる場合があるので、しっかり覚えておきましょう。

 

まず、試料として、動物細胞はヒトの頬の裏の細胞、植物細胞はタマネギの根の先端部がよく使われます。

タマネギの根の先端部は、細胞分裂が盛んに行われているために、よく使われます。(この理由もたまに試験にでます。)

手法については次の3つを押さえておけば安心です。

固定:細胞を生きているのに近い状態で保存すること
解離:細胞同士をバラバラにし、染色や観察をしやすくすること
染色:細胞に色をつけて観察しやすくする。

染色液には、酢酸カーミン溶液、酢酸オルセイン溶液がよく使われます。

【体細胞分裂】例題1

ある動物の体細胞分裂の過程を示す図のA~Eをみて、次の問いに答えよ。(解答は次の章にあります。)



1. 図Bは間期の状態を表している。Bから始まる分裂の順序を記号で記せ。

2. 図中に示した(ア)~(オ)の名称を答えよ。

3. 次の①~⑤のうち、植物と比較して動物の体細胞分裂にのみ見られる特徴を2つ選べ。

①細胞板ができる
②星状体が現れる
③紡錘体がみられる
④細胞質がくびれるように2分する
⑤染色体が縦裂し、両極に移動する

【体細胞分裂】例題2

ある植物の根の先端を用いて以下の操作を行い、顕微鏡で観察したところ、体細胞分裂をしている様子が見られた。

次の問いに答えよ。(解答は次の章にあります。)

【操作】
発芽した根の先端をエタノールと酢酸を混ぜた固定液に浸し60℃にあたためた塩酸で処理した

そしてその先端を2,3 mm程度切り出し、染色液をかけて押しつぶした後、顕微鏡で観察した。
問1.下線部1の操作を行うことによって細胞はどうなるか。

問2.下線部2の操作を行うことによって細胞はどうなるか。

問3.実験で用いた植物の名前と、染色液の名前を答えよ。

 

2-2.【体細胞分裂と染色体】染色体の複製

体細胞分裂では、1つの細胞から2つの細胞が作られますが、元々の細胞(母細胞)と新しくできる細胞(娘細胞)は、全く同じものが作られます。

このとき、そのまま1つの細胞を2つに分けてしまうと、DNAの量は半分に減ってしまいます。

このため、細胞は核分裂の前(間期)に「DNAを増やす」必要があります。このDNAを増やすことを「染色体の複製」と呼びます。

複製を行う時のDNA量の変化は試験に出やすいですし、苦手な人も多いのでこの機会にマスターして周りと差をつけましょう。

【体細胞分裂と染色体】DNA量の変化

染色体の複製は核分裂の前、つまり間期で行われます。

間期は、DNA合成準備期DNA合成期分裂準備期に分けられます。

文字通り、DNA合成期(S期)にDNA量が増えるので、覚えやすいですね

また、体細胞分裂では1つの細胞から2つの細胞を作りたいので、元々あるDNA量の2倍(DNA合成準備期のDNA量が2として、DNA合成期には4となる)になるのがポイントです。

 

【体細胞分裂と染色体】例題3

次の問いに答えなさい。(解答は次の章にあります。)

問1.染色体の複製が行われるのはどの時期か。次の①~⑤から選びなさい。

①前期
②終期
③G2期
④S期
⑤中期

問2.次の図に、体細胞分裂における核1個あたりのDNA量の変化を表すグラフを書き入れなさい。

 

3.体細胞分裂の例題の解答

例題1

問1.B→C→A→E→D
問2.(ア)紡錘糸 (イ)細胞膜 (ウ)中心体 (エ)星状体 (オ)染色体
問3.②星状体が現れる、④細胞質がくびれるように2分する

 

例題2

問1.細胞が生きているのに近い状態で保存される
問2.細胞同士がバラバラになり、染色や観察がしやすくなる
問3.タマネギ、酢酸 カーミン溶液(または酢酸オルセイン溶液)

 

例題

1. ④S期
問2.DNA量が変化するのは、染色体の複製が起こるS期(24)と、細胞質分裂が終了した終期(42)

4.体細胞分裂のまとめ

今回は、体細胞分裂について、基本的なことをまとめてみました。

特に動物と植物の違いやDNAの変化などをマスターして、周りに差をつけましょう!
生物は覚えることが多くて大変ですが、逆に覚えてしまえば必ず解けます。

一度にたくさんのことを覚えるのは大変ですし、すぐに忘れてしまうので、少しずつ覚えていきましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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