混合物を一覧で確認!純物質・単体・化合物との違いは?

化学 2023.6.13

「混合物にはどのようなものがあるのか一覧で知りたい」
「混合物と純物質、単体、化合物との違いが分からない」

化学を学んでいる中で、このような要望や疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

この記事では高校生のテストに頻出の混合物の一覧を掲載しており、また混合物と純物質、単体、化合物の違いを分かりやすく解説しています。

物質を分類する練習問題もご用意しておりますので、ぜひトライしてみてください。

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1.純物質と混合物

私たちが目で見えるサイズの物質は全て「純物質」と「混合物」の2つに分類できます。「純物質」と「混合物」はそれぞれどのような物質なのか見ていきましょう。

1-1.純物質とは「物理的に分離できない単一の物質」

純物質とは、「物理的な手段によって2種類以上の物質に分離できない物質」です。

代表的な純物質は「水」です。水は「水素原子2コ」と「酸素原子1コ」が結合してできた「水分子」の集合体です。水は「物理的な操作(化学反応が起こらない操作)」を行っても、「水」以外の物質を取り出すことはできません。

ただし、「物理的な操作」以外の方法、例えば「化学的な操作(化学反応を伴う操作)」を使えば水を2種類以上の物質に分離することはできます。例えば、水に電気を流し、電気分解を行えば、水は「水素」と「酸素」に分離可能です。

水の電気分解について学びたい人は「▶電気分解とは?電気分解を理解して定期テスト10点アップ」をご覧ください。

また純物質は一定の組成(その物質を組み立てる要素)を持つという特徴もあります。

1-2.混合物とは「純物質以外の物質」

混合物とは「純物質以外の物質」で、「2種類以上の純物質が混ざった物質」を指します。

例として、ここでは「お茶」を挙げましょう。お茶はビタミンCやカテキン、カフェインなどが水に溶けた水溶液です。蒸留(液体の混合物を気体にし、再び液体に戻すことで分離する操作)などの物理的操作を使えば、お茶の中の水をそれ以外の物質から分離することができます。

蒸留について学びたい場合は「▶蒸留とは?高校化学で頻出の実験問題を解説!」もご覧ください。

また、お茶は一定の組成を持ちません。一言で「お茶」と言っても、紅茶や緑茶、ほうじ茶など様々な種類があり、それぞれに異なる組成を持ちます。仮に同じメーカーの同じ種類のお茶であったとしても、時間が経って水が蒸発すると組成が変化してしまいます。このように一定の組成を持たない物質は混合物です。

1-3.純物質と混合物を見分けるポイント

純物質と混合物を見分けるポイントは、「物理的な手段で2種類以上の物質に分類できるかどうか」です。

物質を物理的に細かく分割していったときに、2種類以上の物質に分かれるものは混合物になります。逆に、どれだけ分割していっても1種類の物質しか現れないものは純物質です。

2.テスト頻出の混合物一覧

混合物の例にはどのようなものがあるでしょうか?

ここでは高校化学の範囲内でよく例として出てくる混合物を紹介します。テスト頻出のため要チェックです。

・空気(N2,O2,CO2など)

・塩酸 (HCl, H2O)

・海水(NaCl, H2Oなど)

・石油(炭化水素など)

・牛乳(ラクトースなど)

・ハンダ(Pb, Snなど)

・土(Si, Fe, Alなど)

※()内はその混合物を構成する純物質

上記の他にも、水酸化ナトリウム水溶液や硝酸、硫酸、アンモニア水などの水溶液は全て混合物です。またステンレスや黄銅、鋼などの合金も高校化学の範囲であれば混合物と考えて問題ないでしょう。(正確には、原子の組み合わせや状態によっては合金は部分的に化合物になることや完全に化合物になることもあります。)

3.純物質は単体と化合物に分かれる

純物質をさらに詳しく見ていくと、単体化合物2種類へと分類できます。

3-1.単体:1種類の元素から構成

単体とは、「1種類の元素から構成される物質」です。

私たちが普段意識する物の中に単体で存在する物質は少ないです。例を挙げるとすれば、金や銀の延べ棒は単体です。他にも、液体窒素はかなり純度の高い単体になっています。一般的なガスボンベに封入されている窒素ガスや酸素ガスは99%以上の純度の単体のガスです。

「単体」という言葉は日常会話でもしばしば用いられ、「水単体」のような形で目にすることがあるかもしれません。しかし、「水単体」と言うときの「単体」と、物質の分類の中で用いられる「単体」という言葉は意味が異なります。これは「混合物」についても言えることです。

化学で「単体」や「混合物」という言葉を使うときには、その意味に注意しましょう。

3-2.化合物:2種類以上の元素から構成

化合物とは、「2種類以上の元素から構成される物質」です。

分かりやすい例は、「水」です。上述したように、水は水素と酸素が結合してできた水分子の集合体を指します。他にも、二酸化炭素や酸化鉄、ペットボトル容器の原料であるポリエチレンテレフタラートなどは化合物です。

化合物と混合物の違いが分からないという人は、こちらの「▶混合物とは?化合物との違いと5つの分離方法がイラストでわかる!」をご覧ください。

3-3.単体と化合物を見分けるポイント

単体と化合物を見分けるにあたって重要になるのは、その物質を分子レベルで見たときの「組成」、つまり、「どんな元素から構成されているか」です。

まずは、対象となる物質を分子レベルで眺めてみることから始めましょう。

4.純物質と混合物は沸点で判別可能

純物質と混合物は、加熱した際の温度変化の様子から判別することもできます。

液体の水を加熱していくと丁度100℃になったときに沸騰を始め、水が完全に蒸発するまで水の温度は変化しません。これは固体から液体へ状態変化するときも同様です。氷と水が共存する状態では、氷が完全に融解するまで、水の温度は0℃に維持されます。

図 H2Oを加熱したときの系の温度と時間の関係

一方、食塩水などの混合物では、融解や沸騰の途中でも一定の温度になりません。これは、融解や沸騰の途中で、組成(濃度)が一定でないためです。

図 食塩水を加熱したときの系の温度と時間の関係

食塩水の例で、混合物を加熱していく過程を詳しく見ていきましょう。

水は100℃で沸騰しますが、この水に食塩を加えると、食塩が水の気化を阻害するため沸点が上昇します。食塩水中の食塩濃度が高いほど沸点も高くなり、飽和食塩水で108℃程度になります。

食塩水を沸騰させて水が水蒸気になると、次第に食塩水中の食塩の濃度が高くなります。この連続的な濃度の変化によって、融点や沸点も連続的に変化してしまう、というわけです。

この性質を逆に利用すれば、物質の組成が分からない場合でも、その物質が純物質なのか混合物なのかを判別することができます。状態変化の途中で温度が一定の物質は純物質、そうでないものは混合物です。

5.練習問題

ここからは練習問題を通して、物質の分類について理解を深めて頂きたいと思います。

5-1.①混合物・純物質に分類

例題:以下の物質を混合物と純物質に分類せよ。
(空気、水、土、ダイアモンド)

(以下に解答と解説)

解答&解説

混合物:空気、土
純物質:水、ダイアモンド

空気は、おおよそ窒素78%、酸素21%、アルゴン1%、その他少量の二酸化炭素や水蒸気、ネオン、ヘリウムなどのガスからなる混合物です。土も混合物で、ケイ素、アルミニウム、鉄、カルシウム、ナトリウムなどから構成されます。空気や土は混合物なので、場所によってその組成は異なります。

水(H2O)、ダイアモンド(C)はともに純物質です。

5-2.授業の予習・復習に活用

例題:以下の物質を混合物・単体・化合物に分類せよ。
(オゾン、塩酸、アルミニウム、サファイア、水晶、塩化ナトリウム)

(以下に解答と解説)

解答&解説

混合物:塩酸、サファイア
単体:オゾン、アルミニウム
化合物:水晶、塩化ナトリウム

塩酸は中学、高校の化学の問題によく登場しますが、化合物と間違われやすく、この分類問題で頻出されます。塩酸は塩化水素(HCl)を水に溶かした水溶液です。

サファイア、水晶はともに宝石としても用いられる鉱物ですが、他方は混合物、もう一方は化合物です。サファイアはアルミナ(Al2O3)結晶に鉄やチタンが混入した青色の混合物を指します。同じアルミナ結晶でもクロムが混入したものは赤色となり、ルビーと呼ばれます。水晶は二酸化ケイ素(SiO2)の純粋な結晶です。

6.まとめ

混合物・純物質・化合物・単体という言葉の意味をしっかり理解すれば、正しく物質を分類することができるでしょう。しかし、入試では日常生活にあまり馴染みのない物質の分類が出題される可能性もあります。そうした問題を解けるかどうかは、その物質の組成を知っているか次第です。普段から、「ルビーって何だ?」、「水晶って何だ?」と思ったときに調べる癖をつけておくと、たくさんの物質の組成を知ることができ、物質の分類問題で有利になります。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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