グルコースとは?単糖類の構造式や性質をまとめて解説!
有機化合物の中でも糖類は種類が多く、構造式が複雑で覚えにくいと思っている人も多いでしょう。
そこで本記事では、グルコースをはじめとする単糖類の構造式や性質などを徹底的に解説します。
単糖類は糖類の基本構造となるので、苦手だなと思っている人はぜひ参考にしてください。
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【目次】
1.グルコースとは?
グルコース(ブドウ糖)とは、多くの果実や動物の血液中などに存在している単糖類で、生体内では、エネルギー源として重要な役割を果たしています。
グルコースは、デンプンを希塩酸または希硝酸とともに加熱し、加水分解することにより得られます。
2.単糖類とは?
単糖類とは、一般式CnH2nOnで表される有機化合物で、多くの水酸基を持つアルデヒド、またはケトンです。
分子内にアルデヒド基を持つものを「アルドース」、ケトン基を持つものを「ケトース」と言います。アルドースにはグルコースが、ケトースにはフルクトースが含まれます。
天然に最も多く存在する単糖類が、炭素原子が6個で構成された「ヘキソース(六炭糖)」で、分子式C6H12O6で表されます。
ヘキソースには、グルコースやフルクトース、ガラクトース、マンノースなどがあります。次に多いのが、分子式C5H10O5で表される、炭素原子5個で構成された「ペントース(五炭糖)」です。
ペントースには、核酸の構成成分であるリボースがあります。
3.グルコースをはじめとする単糖類の構造式
単糖類は、鎖状構造と環状構造の2種類の構造が存在し、水溶液中では平衡状態となっています。環状構造には、酸素原子を含めた六員環構造となっているピラノースと、五員環構造となっているフラノースがあります。
ここでは、グルコースの構造だけでなく、ガラクトースやフルクトースの構造式についても詳しく見ていきます。
3-1. グルコースの構造式
グルコースは1位の炭素にアルデヒド基を、2~6位の炭素にそれぞれ1個ずつヒドロキシ基が結合した構造を持っています。
結晶状態では、5位の炭素に結合したヒドロキシ基がアルデヒド基に付加して、六員環構造を作ります。
このとき生じる構造、すなわち、同一炭素にヒドロキシ基とエーテル結合を1個ずつ持つ構造を「ヘミアセタール構造」といいます。
また、水溶液中では六員環の酸素との相互作用で開環し、鎖状構造と環状構造が平衡状態のため、混ざって存在しています。
鎖状構造から環状構造に戻るとき、1位の炭素が反転し、構造異性体を作ることがあります。このとき、1位のヒドロキシ基が下にくる構造をα型、上にくる構造をβ型と呼びます。
3-2. ガラクトースの構造式
ガラクトースは、グルコースの4位のヒドロキシ基と水素原子を入れ替えたものです。
ガラクトースもグルコースと同様、水溶液中では、鎖状構造のアルデヒド型と環状構造のα型とβ型が平衡状態で存在しています。
3-3. フルクトースの構造式
フルクトース(果糖)は代表的なケトースで、ケトン基と5つのヒドロキシ基を持つ単糖類です。
フルクトースは水溶液中で、ケトン基を持つ鎖状構造と4つの環状構造が平衡状態で存在しています。
フルクトースの鎖状構造には、ケトン基にヒドロキシ基が隣接した構造であるヒドロキシケトン基が存在するので、還元性を示します。
4. グルコースの性質
グルコースには、還元性や水溶性、光学活性など、さまざまな性質があります。それぞれの性質を詳しく解説していきます。
4-1. グルコースの還元性
グルコースを水に溶かすと、ヘミアセタール部分が開環して鎖状構造となり、鎖状構造と環状構造の混じり合った平衡状態となります。
グルコースは、鎖状構造にアルデヒド基を有するため、還元性を示します。
なお、アルデヒドの検出には、フェーリング反応や銀鏡反応、シッフ試薬などが用いられ、入試では頻出なのでしっかり覚えておきましょう。
4-2. グルコースの水溶性
グルコースは分子内に5つのヒドロキシ基を有しているため、水溶性が高くなっています。また、この多くのヒドロキシ基が舌上の受容体と水素結合することにより、強い甘みを感じると言われています。
4-3. グルコースの光学活性
グルコースは分子内に不斉炭素を持っているため、光学活性を示します。2~5位の4つの炭素が不斉炭素であるので、24=16個の構造異性体を持ちます。ガラクトースやマンノースは、グルコースの構造異性体となります。
不斉炭素があるため、単糖には下のようなD-体とL-体が存在します。
5.単糖類と二糖類の関係
二糖類はC12H22O11の分子式で表され、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、セロビオースなどがあります。
二糖類は、単糖2分子が、互いのヒドロキシ基同士で縮合してエーテル結合をしています。
このように、糖類のヒドロキシ基のうち、少なくとも1個がヘミアセタール構造のヒドロキシ基を用いたエーテル結合のことを、「グリコシド結合」といいます。
二糖類と単糖類の関係は、以下のとおりです。
α–グルコース+α–グルコース → マルトース、トレハロース
β–グルコース+β–グルコース → セロビオース
β–ガラクトース+α–グルコース(β-グルコース) → ラクトース
α–グルコース+β–フルクトース → スクロース
6. まとめ
この記事では、グルコースに代表される単糖類の構造式や性質について解説しました。
糖類は構造が複雑で覚えにくいと思っている受験生も多いはずです。今回の記事を参考に、まず単糖類の基本構造や性質を覚えましょう。
すぐに覚えるのは難しいと思いますので、定期的に繰り返し読むことをオススメします。
構造式の書き方やルールについては「構造式の書き方!化学の基本として知っておきたいルールとは?」で詳しく解説しています。
「構造式が苦手だ…」という人は、まずはこちらの記事で構造式の復習をしてみましょう。