【元素周期表】見やすい表で覚え方と元素を解説!ゴロ合わせも
中学~高校化学を理解するうえで、周期表を理解することは非常に大切です。
周期表は、ただ暗記してもあまり役に立ちませんが、しっかり意味を持って理解すると、それぞれの元素の性質を理解しやすくなります。
この記事では、そんな周期表と原子についてまとめます。
最後に覚えやすいゴロ合わせも紹介しているので、ぜひ活用してください!
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1.元素周期表の意義
元素周期表とは、元素の性質を、簡潔な表にまとめたものです。
周期表とは人類の知の集大成である、というと大げさに聞こえるかもしれません。
しかし、これが全く大げさなことではないのです。
みなさんは中学・高校の化学で周期表を学習して、「周期表って化学で使うものなんだ」というイメージを持っているかもしれませんが、実は、周期表は化学だけではなく、物理学、生物学など多くの分野で活用されるものです。
すべての物質を形作るのは元素です。
人類の知の結晶が、たった1ページの周期表に集約されているのですから、非常にすごいことなのです。
受験においては、周期表をしっかり理解することで、物質の性質が覚えやすくなります。
受験化学は、理系の中でも暗記の必要な部分が多く、苦労している受験生も多いと思います。
周期表を丸暗記するだけでは、あまり意味がありません。
しかし、「意味のある覚え方」で周期表を覚えると、化学で暗記すべきことがぐっと減り、とても楽になります。
教科書や参考書にも様々な周期表が付いていると思いますが、「受験のミカタ」オリジナルの見やすい周期表を作りましたので、ぜひご活用ください。
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2.元素周期表の理解を深めよう!【原子の構造】
ここで、元素周期表の理解を深め、「意味のある覚え方」をするために、原子の構造について見ていきましょう。
原子の中心には、正の電荷をもつ「原子核」があります。
そして、原子核の周りには、負の電荷をもつ「電子」が回転しながら取り巻いています。
電子がどのように原子核の周りに存在するかは、詳しくは量子力学の分野ですので、ここでは説明しません。実際には、電子は円運動をしているわけではないのですが、高校では「太陽と地球のような関係で回転している」と習うこともあるかもしれません。
とにかく、原子は、「原子核」と「電子」によって構成されることを確認してください。
原子 = 原子核 + 電子
そして、原子核は「陽子」と「中性子」からできています。
陽子は正の電荷をもち、中性子は電荷をもたないため、原子核全体で見ると正の電荷をもつことになります。
原子核 = 陽子 + 中性子
ここからが特に重要です。
その原子がもつ陽子の数は、原子の種類ごとに決まっています。
例えば、炭素原子Cであれば、6個の陽子をもっています。
7個の陽子をもつ炭素原子や、9個の陽子をもつ炭素原子は存在しませんし、6個の陽子をもつのは炭素原子のみです。
窒素原子Nが6<個の陽子を持つこともありません。
そして、元素周期表では、色々な元素が、陽子の数に基づいて順番に並べられています。
ですので、陽子の数と原子番号(=元素周期表に載せられている順番を表す数字。通常、元素記号の上に表記される)は一致します。
周期表の左上から右下にかけて、陽子の数が1個の原子である水素原子H→2個のヘリウム原子He→次にチリウム原子Li→ベリリウム原子Be……といった具合です。
ですから、周期表を覚えることで、その原子の陽子の数が合わせて覚えられるのです。
原子は電気的に中性であり、基本的には陽子の数と同じだけの電子をもちます。
ただし、後述しますが、電子は他の原子とやり取りをしますので、原子の状態によって電子の数は変わります。
炭素原子C(原子番号6)であれば、基本的には持っている電子の数は6個です。
では、中性子の数はどうでしょう。
その原子が持っている中性子の数は、調べないとわかりません。
中性子を6個もつ炭素原子もあれば、中性子を7個もつ炭素原子も存在します。
受験の話をすると、中性子の数は覚える必要がありません。
問題ごとに与えられるか、質量数から計算するからです。
また、おおよそ、その原子の質量を表す値のことを質量数といいます。
陽子と中性子の質量はほぼ等しく、質量数は陽子と中性子の数の和に比例します。
原子の質量そのものを表すわけではありません。
質量数に、陽子1つの質量をかけることで、その原子の質量を求めることができます。
ここで、先程の「原子は原子核(陽子+中性子)と電子で構成される」という説明を思い出し、「どうして電子の質量は考えないのか?」と疑問に思った方もいると思います。
実は、電子の質量は、陽子のおよそ1840分の1しかないので、質量数の計算をするときには無視することになっています。
これらを総合して、化学では、質量数が12の炭素原子C(原子番号6)を以下のように表します。
また、質量数が13の炭素原子Cは、以下のように表します。
質量数は、原子によって違います。そして、それは中性子の数の差です。
つまり、質量数と原子番号(=陽子数)がわかれば、中性子の数を求めることができます。
中性子数、あるいは質量数は問題で与えられますので、覚える必要はありません。
の中性子数は 12-6 = 6 です。
一方、の中性子数は13-6 = 7 です。
このように、原子番号が同じで、質量数が異なる(つまり、中性子数が異なる)ものを、互いの「同位体(アイソトープ)」といいます。
同位体の化学的性質は、ほぼ同じです。
一方で、同じ元素から構成されているものの、結晶構造や結合様式が異なる、ダイヤモンドと鉛筆の芯(どちらも炭素原子Cから構成される)のようなものを同素体と呼びます。
同素体は、化学的性質が異なります。
ダイヤモンドと鉛筆を比べてみれば、一目瞭然ですよね。
この2つは混同しやすいので、しっかり区別しましょう。
3.元素周期表の理解を深めよう!【電子配置】
次に、こちらも元素周期表の理解を深めるために不可欠な「電子配置」について解説します。
原子は、原子核と電子で構成されます。
原子核については既に説明しました。
一方の電子は、電子殻と呼ばれる空間で運動しています。
電子殻にはK殻、L殻、M殻、N殻……があり、それぞれの電子殻に収容できる電子数が決まっています。
内側にあるK殻から順番に、n枚目の電子殻は2n2の電子を収容できます。
つまりK殻は2個、L殻には8個、M殻には18個……です。
これらの電子殻のどこに電子が配置されるかは、少し複雑なものもあります。
受験で扱われる原子については、概ね内側のK殻から順番に配置されていきますので、そのように覚えましょう。
ここでは、以下で簡単に説明することにとどめます。
原子番号と基本的な電子の数が一致することを確認して、周期表を思い出してください。
周期表の横の列を周期、縦の列を族といいますが、横の列である「周期」は、その周期に乗っている原子のうち、どの電子殻にいくつの電子が存在するかということと関係があります。
第1周期(=横1列目)には、2つの原子しかありません。
これは、K殻に入る電子の数が2つだからです。
第2周期(=横2列目)には8個の原子が存在しますが、L殻に入る電子は8つと一致しています。
しかし、M殻からは電子の配置が複雑になっていきます。
M殻には18個の電子が入りますが、電子がとどまるために必要なエネルギーの関係で、M殻に電子が8個入ると、先にN殻に2個の電子が入ります。
受験においては、ここまで覚えていれば十分です。
つまり、カリウム原子Kとカルシウム原子Caが次のような電子配置になっていることがわかっていれば、その他の原子については、内側の殻から順番に埋まると考えて大丈夫です。
ちなみに、L殻に入る8個の電子は、2個と6個に分けられます(高校範囲でないので省略しますが、電子の軌道と呼ばれます)。
そうすると、電子が電子殻に入っていく際に
の順番だと思えば、周期表と対応していることに気づくのではないでしょうか。
電子は、分子を構成する際に非常に重要な役割を果たし、同時に物質の性質を決めるものでもあります。
その電子が存在する電子殻の性質を照らし合わせ、陽子の数の順に表にまとめたものが、周期表なのです。
その電子殻に入るギリギリまで、電子がぴったり埋まっているときに、物質は非常に安定します。
第18族(=縦18列目)元素であるHeやNeは希ガスと呼ばれ、安定していると習ったのではないでしょうか。
希ガスは安定しているので、他の物質と反応しにくく、物質の保存に使われます。
これらの原子が安定しているのは、電子殻の収容量に、電子がぴったり埋まっているからです。
HeはK殻(2個)がちょうど埋まった状態、NeはK殻(2個)とL殻(8個)がちょうど埋まった状態です。
希ガス以外の原子にも同様のことが言えます。
塩素のみやナトリウムのみよりも、食塩(塩化ナトリウム)のほうが安定していることについて考えましょう。
塩化ナトリウムの分子式はNaClです。
ナトリウムNaは第1族(=縦1列目)元素であり、安定している状態と比べて電子が1つ余っている状態ですので、電子を1つ他の元素に渡すと、安定できます。
電子は負電荷をもちますので、1つ電子をわたすとNaは正電荷となり、ナトリウムイオンNa+になります。
逆に、塩素Clは、安定する状態と比べると電子が1つ足りません。つまり、電子を1つもらえば安定します。
Clが電子をもらい、イオンになるとCl– です。
1つ電子を渡したいNa+と、1つ電子をもらいたいCl– が結合することで、NaClという安定した分子がうまれます。
4.元素周期表の暗記法!覚えやすいゴロ合わせとは?
元素周期表は、ゴロ合わせで暗記されることが多いです。
しかし、これまでのことが頭に入っていれば、ゴロ合わせの言葉から、問題を解くための情報を思い出す手助けになるはずです。
以下に載せるのは筆者が習ったゴロ合わせですが、これ以外にも様々なバリエーションがあるので、自分の覚えやすいものを選ぶとよいですし、自分でゴロ合わせを作ってしまっても構いません。
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以下のように覚えましょう。
①スイ(水素H)ヘイ(ヘリウムHe)リー(リチウムLi)ベ(ベリリウムBe)
ボ(ホウ素B)ク(炭素C)ノ(窒素N、酸素O)フ(フッ素F)ネ(ネオンNe)
②ナ(ナトリウムNa)マエ(マグネシウムMg)アル(アルミニウムAl)シッ(ケイ素Si)プ(リンP)ス(硫黄S)
クラ(塩素Cl)ー(アルゴンAr)ク(カリウムK)カ(カルシウムCa)
③スコ(スカンジウムSc)ッチ(チタンTi)バ(バナジウムV)クロ(クロムCr)マン(マンガンMn)
④テツ(鉄Fe)コ(コバルトCo)ニ(ニッケルNi)ドウセ</b><b>(銅Cu)アエン(亜鉛Zn)ガ(ガリウムGa)
⑤ゲイ(ゲルマニウムGe)アッ(ヒ素As)セン(セレンSe)ブロー(臭素Br)カー(クリプトンKr)
この続きが知りたい人は、元素記号の覚え方(ゴロ合わせ)をイラストでまとめた記事をご覧ください。
元素周期表のまとめ
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、周期表の覚え方と元素の構造について、原子の性質と合わせて紹介しました。
ゴロ合わせを参考に、しっかり覚えておきましょう。