イオン化とは?イオン化エネルギーやイオン化傾向についても解説!

化学 2022.9.14

「イオン化って何?」

「どの原子が陽イオンや陰イオンになるのか、区別がつけられない…」

「覚える言葉がたくさんあって、きちんと整理できない…」

イオンにまつわる知識はたくさんあって、うまく整理できていない人も多いはず。

この記事では、原子や分子がイオンになるイオン化について、詳しく説明しました。

また、イオン化とともに出てくる、イオン化エネルギーや電子親和力、イオン化傾向についても解説しています。

「イオンが苦手だ!」という人にも分かりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

		

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イオン化とは?

イオン化とは、電荷的に中性な原子や分子が電荷を持つイオンになることで、「電離」とも言います。

イオンって何?

原子は、正電荷を帯びた陽子の数と負電荷を帯びた電子の数が等しく、電子的に中性となっています。

しかし、何らかの原因によって、電子を放出したり受けとったりと、電子が移動することで、原子全体が電荷を帯びることになります。

このように、電子を過剰にもったり電子が欠損したりして、電荷をもった粒子をイオンと言います

イオンには、陽イオンと陰イオンの2種類が存在し、次に詳しく説明します。

陽イオンのでき方

電気的に中性な原子が、電子を失ってイオン化すると陽イオンとなります。

1つの電子を失ったものを1価の陽イオン、2つ失ったものを2価の陽イオン…と言います。

陰イオンのでき方

陽イオンとは逆に、電気的に中性な原子が、電子を受けとってイオン化すると陰イオンになります。

1つの電子を受けとったものを1価の陰イオン、2つ受けとったものを2価の陰イオン…と言います。

イオン化と電子配置

ここまでで、イオンには陽イオンと陰イオンがあり、それぞれのでき方や性質が違うことは分かったと思います。

しかし、どの原子が陽イオンまたは陰イオンになるのでしょうか。

原子がイオンになるとき、その原子の電子配置が大きく関係しています。

電子配置の詳しい説明については、「【元素周期表】見やすい表で覚え方と元素を解説!ゴロ合わせも」の記事を参考にしてください。

ここでは、イオン化と電子配置の関係について見ていきます。

18族(希ガス)の原子は、最外殻電子が8個(Heは2個)である閉殻構造という安定な電子配置をとっています。

希ガス以外の原子がイオンになる場合、この電子的に安定な閉殻構造をとろうとします。

例えば、ナトリウム(Na)原子は最外殻のM殻に電子が1個配置されています。

この最外殻電子は、他の内側にある電子に比べて原子核から遠くに存在しているので、原子核からの引力が弱く、原子から離れやすい状態になっています。

この価電子1個が放出されると、その電子配置は希ガスのネオン(Ne)と同じになって安定します。

このため、Na原子は1価の陽イオンであるNa+に変化しやすいのです。

また、塩素(Cl)原子は、最外殻のM殻に電子が7個配置されています。

このM殻に、さらに1個の電子が入り込むと、その電子配置は希ガスのアルゴンArと同じになって安定します。

このため、Cl原子は1価の陰イオンであるClに変化しやすいのです。

以上のことから、周期表の右側にある原子は陽イオンに、左側にある原子は陰イオンになりやすいということが分かります。

イオン化エネルギーとは?

イオン化エネルギーとは、原子から電子を1個取り除き、1価の陽イオンにするのに必要なエネルギーのことです。

すなわち、イオン化エネルギーが小さいほど、陽イオンになりやすいことになります。

イオン化エネルギーについて詳しく知りたい人は、「イオン化エネルギーとは?電子親和力との違いや求め方と覚え方を図説します!」を参考にしてください。

イオン化エネルギーと電子親和力の違いは?

イオン化エネルギーとよく一緒に出てくるのが電子親和力です。

電子親和力は、中性の原子が電子1個を取り入れて、1価の陰イオンになるときに放出されるエネルギーのことです。

すなわち、電子親和力の大きい原子ほど、陰イオンになりやすく、生成した陰イオンは安定しています。

イオン化エネルギーも電子親和力も、イオンになるときのエネルギーには変わりありませんが、まったく違うものですので、きちんと区別して覚えておきましょう。

電子親和力について詳しく知りたい人は、「電気親和力ってなに?イオン化エネルギーや電気陰性度との違いも含めて解説!」を参考にしてください。

イオン化エネルギーと周期表の関係

イオン化エネルギーは、周期表の右上の方が大きくなり、左下の方が小さくなる傾向があります。

その理由を考えていきましょう。

まず、同じ周期の原子であれば、原子番号が大きい方が、イオン化エネルギーが大きくなります。

これは、同じ周期において原子番号が大きくなるほど、原子核中の陽子の数が増えるので、最外殻電子が強く引きつけられ、陽イオンになりにくいからです。

また、同じ族同士の原子を比べると、周期表の下の原子ほどイオン化エネルギーが小さくなります。

これは、原子核と最外殻電子との距離が強く関係しています。

同じ族同士で周期表の上にいくほど原子核と最外殻電子との距離が短くなり、逆に下にいくほど原子核と最外殻電子との距離が長くなります。

同じ族同士で周期表の下にいくほど、原子核は大きくなり、最外殻電子を引きつける力が強くなりますが、クーロンの法則より距離の方が引力に強く作用します。

以上の2点から、イオン化エネルギーは、周期表の右上の方が大きく、左下の方が小さくなっているのです。

イオン化傾向との違いは?

イオン化について、もう1つ出てくる言葉として、「イオン化傾向」が挙げられます。

イオン化傾向とは、溶液中において金属元素の陽イオンになりやすさを示したものです。

イオン化傾向の順番は昇華熱や水和熱も考慮に入れているものなので、イオン化エネルギーの大小とは必ずしも一致しないところが、注意しておきたいポイントです。

また、イオン化傾向の順番に並べたものをイオン化列と言います。

その覚え方については、「イオン化傾向の覚え方とは?語呂合わせや金属の反応性について解説!」を参考にしてください。

まとめ

この記事では、イオン化とその周辺の用語について、基礎から丁寧に説明してきました。

ひとえにイオンと言っても、陽イオンや陰イオン、イオン化エネルギーや電子親和力、イオン化傾向など、いろんな用語が出てきて混乱してしまいますよね。

イオンについて苦手な人は、ここでの解説を参考に、一つ一つ丁寧に覚え直してみましょう。

きちんと整理して覚えることで、理解の度合いが深まりますよ。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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