有効数字とは?高校化学で頻出の単元をわかりやすく解説
「有効数字ってよく聞くけど何かわからない」「有効数字を考える意味ってあるの?」「有効数字を間違えて減点されてしまう・・・」など、有効数字がわからず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
有効数字は、化学や物理などで用いられることが多く、数値を正しく識別する上で非常に重要な考え方です。しかし考え方はシンプルで、一度理解できればテストで間違えることはほとんどなくなります。
本記事では、有効数字の考え方や頻出の問題形式・計算方法について基礎からわかりやすく解説していきますので、最後まで読んで確実に理解していきましょう。
・有効数字の考え方がわかる
・有効数字で頻出の問題が解ける
・有効数字の計算方法がわかる
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【目次】
1.有効数字とは?【意味を持つ数字】
1-1.扱う数字が「測定値」かどうかを考慮する
1-2.有効でない数字は「四捨五入」
2.有効数字の見方・書き方
2-1.末の「0」は有効数字
2-2.0以外の数字に挟まれた「0」は有効数字
2-3.頭の「0」は有効数字ではない
3.有効数字の桁数
4.有効数字で頻出の問題形式
4-1.誤差幅を求められる
4-2.桁数を求められる
5.有効数字の計算問題の解き方
5-1.足し算・引き算の有効数字の計算方法
5-2.掛け算・割り算の有効数字の計算方法
6.有効数字の例題
7.まとめ
有効数字とは?【意味を持つ数字】
有効数字とは、数値内の意味ある数字のことです。
例えば紐の長さを計測するとき、物差しで測るかメジャーで測るか、など計測方法によって必ず誤差が生じます。そしてその誤差は、本来の紐の長さを示すものではなく、計測の仕方によって生まれる「意味のない数字」といえます。
つまり、有効数字とは、計測された数値の中で「意味のない数字」を排除し、計測誤差の生まれない精度の高い値だけを残した数字のことを意味します。
有効数字の考え方は、化学や物理など実際の実験データから研究を行う分野において、きわめて重要な役割を持ちます。そのため高校の化学基礎で頻出の単元となっているほか、物理や数学などにおいてしばしば出題される単元となっています。
以下では、有効数字を考える際の約束事を2点紹介するので、頭に入れたうえで読み進めていきましょう。
扱う数字が「測定値」かどうかを考慮する
有効数字は、扱う数字が測定値、もしくは測定値をもとに計算した値に対して使う考え方です。
逆に、数学の問題で登場する値や、割合を考えるときに「無」を意味する0、「すべて」を意味する1、といった測定値でない数字は、本来誤差を含むような数字ではないため、有効数字を考慮してあげる必要はありません。
有効でない数字は「四捨五入」
有効数字を考える際、有効でない(=意味のない)数字は排除する、ということを前に説明しました。このとき、有効でない数字は四捨五入で丸める、ということを覚えておきましょう。
例えば4.72という値を小数第1位までの有効数字にしたいとき、小数第2位の2を切り捨てて4.7と表記します。また2.657という値を小数第2位までの有効数字にしたいとき、小数第3位の7という数字を切り上げて2.66と表記します。
有効数字の見方・書き方
有効数字を考える際に大事なポイントは、それぞれの数字が本当に有効(=意味のある数字)かどうかです。
砂糖の重さを計測した時を考えてみましょう。計測した値の有効数字が36(g)であった場合、十の位である「3」という数字も、一の位である「6」という数字も意味ある数字、ということになります。
この例からわかる通り、有効数字で表した時の数字が1~9で表記されるとき、その数字はすべて有効なものです。しかし有効数字に0が含まれるとき、「0」という値は有効数字である場合とない場合が存在します。
以下では、「0」が有効数字になる場合とならない場合について解説します。
末の「0」は有効数字
砂糖の重さを計測したとき、計測した値の有効数字が36.0(g)であった場合、末尾の「0」という数字は有効数字になるでしょうか。
ここで、有効数字の意味を思い出してみましょう。有効数字とは、計測値の中で意味のない数字を排除した「計測誤差の生まれない精度の高い値」を意味するものでした。
つまり有効数字が36.0と表記されたとき、その値は36.1でも35.9でもない精度の高い値であることがわかります。この時、末尾の「0」という値は精度の高い数字であり、「意味のある」有効数字であることがわかります。
同様の理由から、有効数字で6000など、数字の末から連続した0はすべて有効数字です。
数字の末尾・あるいは末尾から連続した0はすべて有効数字である、と覚えておきましょう。
0以外の数字に挟まれた「0」は有効数字
0以外の数字に挟まれた0も有効数字である、と覚えておきましょう。
砂糖の重さを有効数字で計測した結果が306(g)だった時、これは砂糖の重さが296(g)でも316(g)でもない精度の高い値である、ということがわかります。よって、この「0」は先ほどと同様の理由から、精度の高い数字であることがわかりますね。
頭の「0」は有効数字ではない
最後に、頭に0がつくときについて考えてみます。砂糖の重さを有効数字で計測した結果が0.036(kg)であった場合、頭2つの「0」という数字は有効数字になるでしょうか。
0.036という有効数字は、その値が0.035でも0.037でもない、という意味で、「3」という数字も「6」という数字も、精度の高い「意味のある」数字であることがわかります。
一方、頭の2つの0は、数字の精度に直接かかわるものではありません。実際、0.036は3.6*102など0を使わなくても表記できることから、単なる「桁合わせ」のための数字であることがわかります。よって頭の「0」は有効数字ではない、といえます。
このように、頭の0や頭から連続する0は、有効数字ではない、ということをおさえておきましょう。
有効数字の桁数
有効数字を考える際、有効な数字が何桁あるかによって、その数値がどの程度の精度を持つものかを識別できます。また、有効数字の桁数は、有効な数値をいくつ読み取っているかで決まります。
例として、おおむね62cmほどある冷蔵庫の横の長さを、メジャーで正確に測る場合を想定してみましょう。
Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人が、冷蔵庫の長さを計測したうえで言いました。
A「62cmです」
B「62.3cmですね」
C「62.33cmです」
D「62.335cmですね」
4人は正確に長さを測ったにもかかわらず、それぞれの言った数値は、正確さが違います。
もし、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人の計測が完全に正確なものだったとします。
このとき、Aさんの62cmは、数値を2つ読み取っています。つまり、読み取った有効な数字が2桁ですので、「有効数字2桁」といいます。
Bさんの62.3cmは、同じように考えれば「有効数字3桁」、Cさんの62.33cmは「有効数字4桁」です。
一般的に、有効数字の桁数は多ければ多いほど、その値が正確であることを意味します。今回の場合、Dさんがもっとも高い精度で計測した、といえます。
しかし、計測した値が必ずしも正確とは限らない、という点に気を付けましょう。
通常、アナログ表示の目盛りを読み取る場合、最小目盛りの10分の1まで読み取るのが普通です。つまり、今回のようにDさんの読み取った0.001cmの値まで読み取っていた場合、これは本来計測できないはずの値であり、信用できない数値であるとみなされます。
今回使用したメジャーが0.1cm単位で計測できるものであれば、採用される値は0.01cm単位まで読み取ったCさんの結果になりそうですね。
有効数字で頻出の問題形式
ここからは、ここまで学習した有効数字の考え方が、実際にどのような形でテストに出題されるのか、を紹介していきます。
実際に出題されうる問題は、「有効数字の読み取り」を問う問題と「有効数字を用いた計算」を問う問題に分かれます。この章では前者について、次の章では後者について、例題を用いながら一緒に考えていきましょう。
誤差幅を求められる
前述のとおり、有効数字とは「意味のない数字を排除し、精度の高い数字で表記する」ことをさしました。したがって有効数字で表記される値の裏には、精度が低く排除された数字が存在している、ということがわかります。
有効数字を取り上げる頻出問題の一つに、有効数字の誤差幅を取り上げる問題があるので、ここで例題を挙げながら確認していきましょう。
例題:有効数字で2.76と表記される値の誤差幅を求めよ。
有効数字で2.76と表記されるとき、取りうる最小の値は何でしょうか。小数第3位が四捨五入されている、ということを考えると、2.755が最小の値になりますね。
では、取りうる最大の値は何でしょうか。もし計測値が2.765だった場合は2.77と表記されてしまうことから、2.765よりも小さい値まで誤差幅に含まれることがわかりますね。
よって、答えは2.755≦2.76<2.765 となります。
一般的な四捨五入のルールにしたがって考えてあげれば、とりわけ難しい問題ではありませんので、焦らずに答えられるようにしておきましょう。
桁数を求められる
有効数字の誤差幅を求める問題のほかに、桁数の読み取りを問う問題も数多く存在します。「有効数字の見方・書き方」を思い出しながら、有効数字の桁数のを確認してみましょう。
例題:以下の数値は有効数字何桁か答えよ。
① 3636
② 0.065
③ 0.06500
④ 3060
解答解説
①は、1~9の数字が4つ並んでいることから、有効数字4桁です。
②について考えてみましょう。一見「有効数字4桁」と感じるかもしれませんが、有効数字の見方の原則を思い出してみましょう。
冒頭の2つの0は桁合わせのためのものであり、数字の精度の高さを意味するものではありません。したがって、ここでの有効数字は小数第2位の「6」と、小数第3位の「5」の2つだけで、有効数字2桁となります。
③はどうでしょうか。②と同様、冒頭の2つの0は有効数字ではありません。しかし、末尾の2つの0はどうでしょうか。これらは、この値が3059でも3061でもないことを意味する精度の高い数字です。よって答えは小数第2位~第5位までの有効数字4桁となります。
④についても考えてみましょう。末尾の0、0以外の数字にはさまれた0は有効数字であることから、こちらも有効数字4桁であることがわかりますね。
有効数字の計算問題の解き方
ここからは、有効数字同士を計算する際の方法やルールについて確認していきます。
足し算・引き算の有効数字の計算方法
足し算・引き算では「小数点以下の少ない桁数に合わせる」ということを意識してください。例題を一緒に解きながら考えてみましょう。
① 1.2+3.45
普通に考えれば1.2+3.45=4.65 となりますが、1.2は小数第1位までの数字のため、計算結果は小数第1位までを答えることになります。したがって、小数点2桁目を四捨五入して、1.2+3.45≒4.7とします。
② 2.54g+33mg
このように単位のついた値は、単位を整理してから考えましょう。今回の場合、33mg=0.033gですので、これを用いて計算します。
2.54g+0.033g=2.573gとなりますが、今回は2.54gに合わせて小数第2位までを答えることになります。
答えは、小数点3桁目を四捨五入して2.54g+33mg≒2.57g です。
掛け算・割り算の有効数字の計算方法
掛け算や割り算の場合、「有効数字桁数の少ない方に合わせて計算する」ということを意識してください。例題を一緒に解きながら考えてみましょう。
③ 4.27×0.41
4.27×0.41=1.7507、となりますが、「有効数字桁数の少ない方に合わせて計算する」というルールに従って考えていきます。
4.27は有効数字3桁、0.18は有効数字2桁ですから、両者を掛け合わせた結果は、少ない方の有効数字2桁に合わせることになり、答えは1.8となります。
掛け算や割り算の問題では、「有効数字桁数の少ない方に合わせて計算する」ということをかならず意識してください。
有効数字の例題
例題1:1000gの食塩水の濃度を測定すると12%だった。食塩水に含まれる食塩は何gか、有効数字を考えて求めよ。
答え:1.2*102g
解説
この問題を解く上では、前に説明した「有効数字桁数の少ない方に合わせて計算する」という考え方が特に大切になります。
まず、普通に計算すると1000(g) * 0.12 = 120(g)ですね。
しかし、食塩水の重さも食塩水の濃度も、どちらも測定値であるため、有効数字を考えなければいけません。今回の場合、食塩水の重さ1000gの有効数字は4桁、食塩水の濃度12%の有効数字は2桁であるため、掛け合わせた答えの有効数字は2桁でなくてはいけません。
そこで、120(g)という答えを有効数字2桁で示すために、1.2 *102gといった形で説明してあげる必要があります。
例題2:300mlあるお茶を、6人で均等になるように分けた。1人に分けられたお茶の量を、有効数字を考えて求めよ。
答え:50.0ml
解説
この問題を解く上では、「有効数字をどこまで考える必要があるか」がポイントです。
まず、普通に計算すると300(ml)÷6 = 50(ml)ですね。
しかし有効数字を考える場合、これだけでは正解になりません。
お茶300mlは測定値であることから有効数字3桁で考える必要があります。一方、人の数である「6」という数字は決して誤差の生じる測定値ではなく、有効数字を考える必要はありません。
よって最終的な答えは3桁で求める必要があり、答えは50.0mlとなります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
有効数字の考え方の基本は、「曖昧な数はどこか」というものです。
考え方自体は難しいものではありませんが、慣れるまでは有効数字を意識し忘れたり、桁数をそろえることを忘れたり・・・と何度もミスを重ねてしまうものです。この記事を参考にしながら、自分で何度も練習問題を解き、テストでミスを起こさないように気をつけましょう。
記事の内容でわからないところ、質問などあればこちらからお気軽にご質問ください。
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