【部分積分法】公式の導出方法は?練習問題で徹底マスター!

数学 2019.1.30

部分積分は、理系の大学受験では必ず必要になるものです。

部分積分の問題では、何より慣れが必要です。

難関大学では、部分積分を何回もしなければならない問題も出てきます。
その際に手間取っていると、他の問題を解く時間を圧迫してしまうからです。

この記事で基本をしっかりと押さえ、演習に時間を使えるようにしましょう。

この記事では、そんな部分積分法についてまとめます。

1.部分積分法の公式

部分積分の公式は、以下のように表されます。

これを丸暗記しようと思うと、難しいと思います。
テストの前日にムリヤリ覚えれば、当日だけはなんとかなるかもしれないというレベルですね。

しかし、数学の公式をすべて丸暗記していては、どの公式かは必ず記憶から漏れてしまいますし、何より無意味です。
部分積分の公式もそうですが、公式の導出過程から理解することが大切です。

部分積分の公式は導出が非常に簡単ですので、公式自体は忘れても問題ありません。
どのようにすれば導き出せるかということを、しっかりと覚えるようにしましょう。 

 

部分積分の公式の導出

それでは、部分積分の公式を導出しましょう。

部分積分の公式は、積の微分法から導出します。

ここで両辺を積分すると

となり、部分積分の公式が導出されます。

 

ですから、積の微分ができれば、部分積分の公式が導出でるというわけです。

積の微分というと、ひょっとすると聞きなれない方もいるかもしれませんが、

とするような積分のことです。

理系の大学受験では、上記の計算もできないと困りますので、不安な方はしっかり復習しておいてください。

 

ところで、よく、部分積分の公式を

と間違って記憶している受験生がいます。

ですが、公式の導出過程を理解していれば、このような間違いは起こりません。
積の微分法の項を移行した結果で、「-」が表れるからです。

ですので、

となります。

 

2.部分積分の計算

部分積分は大学受験で度々登場します。

問題を解く際に、部分積分をすべきかどうか判断するための基準の1つとしては、「微分あるいは積分したときに、簡単になるような項が含まれているかどうか」というものがあります。

まず、公式を見ると、左辺の被積分関数のg’ (x) に対して、右辺がg(x)となっていますので、片方は積分できる必要があります。

そして、部分積分を行う必要があるのは、「被積分関数が関数の積のとき」です。

 

まとめると、部分積分をする必要がある一般的な条件は、

・被積分関数が関数の積であること

・被積分関数のうち片方は微分すると簡単になる関数であること

・被積分関数のうちもう片方が、積分できること

となります。

 例えば、以下のような問題です。

 

. 次の不定積分を求めよ。

 

解答・解説

(1)の解答・解説

部分積分で解けるような問題の多くは、パターン問題です。
この問題はもっとも有名なパターンのうちの一つですので、一度は解いて慣れておきましょう。

部分積分の公式で言えば f(x)=x で g(x)=cos⁡x です。

xを微分すると簡単になるので、被積分関数が関数の積でなくなります。

ただし、Cは積分定数とします。

この問題は、部分積分の問題として非常にスタンダードな問題ですので、必ずできるようになってください。

 

(2)の解答・解説

対数の積分は、部分積分の有名問題です。

「対数の積分には部分積分を使う」ことを知っていないと、なかなか部分積分を使おうという発想にならないと思います。

ですので、対数の積分には部分積分を使うことを覚えておきましょう。

この問題では、「微分すると簡単になる関数」が log⁡x であり、「積分できる関数」が1です。

ただし、Cは積分定数とします。

 

3.部分積分の応用問題

ここでは、部分積分の応用問題について、先ほどと同じように見ていきます。

 

問. 次の不定積分を求めよ。

 

解答・解説

この問題は、部分積分の応用問題として非常に有名です。

解き方を知っていれば、そう難しい問題ではありませんが、一度といておかないと難しいと思います。

解き方としては2種類ありますが、2つ目の方はテクニック重視ですので、こんな解き方もあるんだ、程度の感覚でかまいません。

 

解①

この解き方では、部分積分を繰り返し利用します。

まず、普通に部分積分を行います。

すると、2番目の項に、再び部分積分をしそうなものが出てきますので、もういちど部分積分をします。

この問題を解いたことがない方は、ここで諦めてしまうと思います。
いくら部分積分をしても、また部分積分をしなければならない項が出てきて、いつまで経っても終わらない、と考えてしまいます。

しかし実は、この問題はこれで8割方は終わっているのです。

計算過程を省いて、最初と最後だけを等号で結んでみます。

すると左辺と、右辺の最後の項の被積分関数が全く同じであることに気づくでしょう。( * )

わかりやすく書くと、こういうことです。

とおくと

となります。そして、問題で求めよと言われているのはXです。

ですから、

となります。

ただし、不定積分ですので、この書き方だと不都合があります。
積分定数Cについての記述が不十分だからです。

記述問題なら、積分定数Cについても、過不足なく書いておかなければなりません。

ですから、回答としては、上記 ( * ) 以降、以下のようにすればよいでしょう。

から、 C1 を積分定数として

とします。
よって、求める不定積分は、積分定数Cに対して

積分定数を書かなければならないのは、右辺に不定積分がなくなったタイミングです。

積分定数は、そもそも、どのようなものだったかを思い出してください。
関数 f(x) に対して導関数 f’(x) を求めることを、微分と言いました。
その逆で、導関数 f’(x) から f(x) をもとめるのが、積分です。

しかし、問題もあります。

f(x)=xと g(x)=x2+2 の導関数は、同じ f’ (x)=g’ (x)=2x になりますが、2xを積分すると、f(x), g(x) のどちらになるかはわかりません。

微分することで、定数部分の情報が失われるため、積分するときには、その情報を補う必要があります。

その際の、わからない定数部分を、積分定数というのでした。

ですから、

のように左辺と右辺ともに不定積分があるうちは、積分定数は書かなくて構いません。
どちらにも不確定な部分があるので、あえて書く必要がないのです。

しかし、

 

のように、右辺に不定積分がなくなると、左辺の不確定要素をどこかで補わない限り、両辺を等号で結ぶのに不都合があります。

ですから、どちらかの辺に不定積分がなくなった時点で、

のように積分定数を書くのです。

積分定数は、積分しときの不確定な定数項ですので、これを

とする必要はありません。積分定数はそもそも不確定な値ですので、四則演算することは本質的に無意味だからです。

ですから、最後にまとめて

とすればよいのです。

 

解2

部分積分の公式は、積の微分法から求められるので、次のような求め方も考えられます。

この2つの式から、

となりますので、両辺を積分して、

が答えです。ただしCは積分定数とします。

 

先に申し上げたように、こちらはかなりテクニカルな回答で、応用があまりききませんので、しっかり部分積分ができることを重視して復習しましょう。

 

部分積分法のまとめ

最後までご覧くださってありがとうございました。

この記事では、部分積分についてまとめました。

とにかく、計算が間違いなくできることが大切ですので、たくさん問題に当たって、慣れておきましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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