【置換積分の公式】三角関数や対数関数の例題で置換積分をマスターしよう

数学 2018.11.20

数学Ⅲにおける微分・積分や、その応用問題は、受験生にとって非常に難解な分野です!

これまで高校で習ってきた三角関数や指数対数関数、根号などが揃って問題に現れたり、それらの計算ができることを前提にして、計算問題や難解な文章題が出題されたりすることもあります。

特に、積分は、初見ではなかなか解を発見できない暗記系の計算問題も数多くあります。

この記事では、そんな置換積分に対する苦手意識を少しでも減らせるように、分かりやすくまとめます!

 

1.置換積分の基礎①合成関数

置換積分では、有名な問題の解法を何度も解いて覚えておくことが必要です。

試験の文章題で出たときに、いちいち「これの計算はどうするのだったか」と悩んでいては、おそらく時間が足りません。
ですので、高校の問題を解くという点においては、理解は後回しで、覚えてしまった方が楽であると言えます。

とはいえ、しっかり置換積分を理解するには、その過程を知ることも、もちろん大切です。
そこで、まずは「合成関数」について知っておきましょう。

「合成関数」というと難しく聞こえるかもしれません。
しかし、例を挙げれば簡単であることが分かると思います。

例えば、
f(x)=x2+x
g(x)=x+3
であるとします。

このときf(x)=x2+x に g(x)=x+3をまるまる代入すると、
f( g(x) )=(x+3)2+(x+3)
となります。
これが合成関数です。

f(x)=x2+x とg(x)=x+3 に関して、次のような合成関数も考えられます。
g( f(x) )=(x2+x)+3

つまり、f(x)=x2+x に対して、
f(3)=32+3 のように、関数そのものをそのまま代入した関数を合成関数といいます

つまり、f(x)=(3x+2)2のような、今までよく見ていた関数も、
g(x)=x2 と h(x)=3x+2 の合成関数である、と考えることができます。

 

2.置換積分の基礎②合成関数の微分

次に、置換積分をりかいするに当たり、合成数を微分することを考えます。
f(x)=(3x+2)を微分してみましょう。

普通に微分しようと思うのなら
f(x)=(3x+2)2
=9x2+12x+4
f’ (x)=18x+12となりますね。

しかしf(x)=(3x+2)7のような関数なら、開くことは可能ですし、そのあと微分をすることも簡単ですが、計算が大変です。
このような場合には、合成関数の微分法を利用します。

合成関数の微分法は以下のようになります。

2つの関数 y=f(u), u=g(x) がともに微分可能かつ合成関数 y=f( g(x) ) も微分可能であるとき、次の式が成り立つ。

分数のように書いているので勘違いしがちですが、 は y の導関数を表す記号であり、分数ではありません

とはいえ右辺から左辺へは、分数のように約分している、という覚え方が簡単です。
概ね分数と同じように計算して問題ありません。
分母を払うこともできます。

この公式を言い換えると、次のようになります。

{f( g(x) ) }’=f’ ( g(x))*g'(x)

おおざっぱに言えば、「合成関数の微分=中身を無視して微分×中身の微分」ということです。
先の例でいえば f(x)=(3x+2)2 は g(x)=x2 と h(x)=3x+2 の合成関数と考えて、

・g(x)=x2 を普通に微分した g’ (x)=2x に h(x)=3x+2 を代入したg’ (3x+2)=2(3x+2)
・h(x)=3x+2 を微分したh’ (x)=3

を使うと、
f’ (x)={ g( h(x) ) }’
=g’ ( h(x)) h’ (x)
=2(3x+2)3
=18x+12
となり先の答えと一致します。

ですので、これが
f(x)=(3x+2)7 であれば、
f’ (x)=7(3x+2)6*(3x+2)’
=7(3x+2)63
=21(3x+2)6

というように微分できます。

 

3.置換積分とは

置換積分法とは、以下のようなものです。

x=g(t) と置くとき、
   

 

置換積分は、合成関数の微分法が基になっています。

つまり、関数 に対して、x=g(t) のとき、y は t の関数となり、これを t で微分すれば、

から、

となります。とはいえ、この式を覚える必要はありません。使い方を知っていれば十分です。

要するに、被積分関数が「(f(x) を使ったような関数)×(f'(x)を微分したもの)」になっていれば、積分できる可能性がある、ということです。

例えば、次のような問題を考えてみましょう。

 

置換積分の例題

sin2⁡X と cos⁡X のように考えれば、sin2⁡X は sin⁡Xを使った関数であり、cosX は sin⁡X を微分したものと見ることができるため、これは置換積分により積分できます。

 

置換積分の例題の解答・解説

u=sin⁡X とおくと、であるから、du=cos⁡X dX となります。
求める式は

となります。
u は自分で置いた文字ですので、回答には使えません。

u=sin⁡X と置いたことから、

このように積分できます。ただし、Cは積分定数です。

 

以上から確認してほしいのは、置換積分をする際、被積分関数の「(f(x) を使ったような関数)×(f'(x)を微分したもの)」としたうちの「f'(x)を微分したもの」が、dx と合わさって du になる、ということです。

置換することで、この問題では面倒な cos⁡X が消えて、残りを楽に積分できるようになっています。

 

4.置換積分における置換の仕方

置換積分では有名な問題が多いので、それぞれ一度は解いておくべきでしょう。

先の「(f(x) を使ったような関数)×(f'(x)を微分したもの)」は、その一例にすぎません。

などが、有名な問題の例です。この形であれば、いちいち置換積分をしなくても、慣れれば簡単に答えが求められるようになります。


のような不定積分も、置換積分を使って解くことができますが、上と同様です。

これらはすべて、の形になっていますので、

例えばであれば、

のように積分することができます。

log⁡|x3+1|を微分したら、元の被積分関数にもどりますね。

これを公式化すると

となります。絶対値を忘れないようにして下さい

積分は型にはまったものでないと計算できません。
ある程度は覚えておかないと、その場ではなかなか思いつかないものもあります。

以下に、置換積分の有名な問題の形をまとめてみました。

 

などの形


としてから
t=sin⁡x
で計算できます。

 

②  などの形

のように、三角関数を含んだ複雑な形の場合
とおくことで

となりますので、三角関数をすべてtの式で置換することができます。

 

 、 の形


から、それぞれ

と変形でき、先に述べた「(f(x) を使ったような関数)×(f'(x)を微分したもの)」の形や、

の形になりますので、積分できます。

 

④  の形

これは非常に良く出てくる形ですので、必ず押さえておきましょう。
x=a sin⁡t
と置くことで、計算できるようになります。
dx=a cos⁡t dt
から

というように計算することができます。

 

 の形

これもよく出る形です。
x=a tan⁡tと置くと、ですから、

となり、計算できます。

 

の形


と置くことで、

となりますので、これもtだけの式に変形することができます。

 

5.定積分の置換積分

定積分の置換積分でも、計算ですることは、基本的には不定積分と変わりません。

不定積分ができないと定積分はできないので、これまで説明してきたことは完璧にマスターしておきましょう。
定積分の置換積分で注意しなければならないのは、「積分範囲も変わる」ということです。

 

例えば、であれば、置換する際に積分範囲を考えなければなりません。
x が0からπまで変化する間に、u=sin⁡xから、u は sin⁡0 から sin⁡π まで、すなわち0から1まで変化します。
ですから、積分範囲も0と1に変えて計算しなければなりません。

と計算することができます。

 

6.おわりに

最後までご覧いただきありがとうございました。この記事では置換積分についてまとめました。

置換積分はいくつか有名なパターンがあり、それぞれ一度は解くべきです。
そうしなければ、「積分できないのでは?」「計算ミスかな?」と、無駄な時間を使ってしまいかねません。
頻出問題が網羅された問題集などを使い、演習をしましょう。

数学の試験は時間との勝負でもありますので、しっかり理解して解けるようになりましょう!

受験生の皆さん、頑張ってください。応援しています!

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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