円順列とは?わかりやすいイラストで定期テスト10点アップ
円順列は、数学のセンター試験問題で頻繁に出題される、受験の必須分野です!
順列が含まれる場合の数・確率の分野は意外と苦手な受験生が多いので、この分野を得点源にできるようになると、他の受験生に大きく差をつけることができます。
この記事では、順列と円順列の問題の考え方を分かりやすく解説します。
1.円順列の基本:順列と組み合わせ
まず「順列」と「組み合わせ」とは何かについて復習していきましょう。
考え方をしっかり頭に入れておけば、「覚える」だけでなく、「理解する」ことができます。
教科書では以下のように説明されています。
組み合わせ :いくつかのものを順序を考えずに取り出したもの
例えば、A、B、C、D の4人の生徒の中から会長、副会長、書記を選出するときの事を考えましょう。
決め方としては色々あると思いますが、今回は以下の方法によって決めるものとします。
① A、B、C、Dの4人のなかからまず会長を決め、残った3人の中から副会長を決める。その後、残った2人の中から書記を決める。
② A、B、C、Dの4人の中から、委員にならない一人を決める。会長、副会長、書記の選び方は後日決める。
①の場合(順列の例)
4人の中から会長になる1人を選ぶ方法は4通りです。(Aを選ぶとします。)
残った3人(B、C、D)から副会長になる1人を選ぶので3通りです。(Bを選ぶとします。)
残った2人(C、D)から書記を選ぶので2通りです。(Cを選ぶとします。)
これらを掛けて4×3×2=24通りの選び方があることになります。
②の場合(組み合わせの例)
委員にならない1人を決めるので、4通りの選び方があります。
この①と②の違いが「順列」と「組み合わせ」の違いです。
②の場合では、ひとまず役職は決めずに、役員になる3人を選びました。
誰がどの役職につくかは考えていません。
つまり、4人のなかから3人を選ぶ「組み合わせ」を考えたのです。
それに対して①の場合は、誰がどの役に就くかまで考えました。
これは、役が決まった人から順番に並べていく事と同じですので「順列」です。
では、②の場合、後日委員を決めることになっていますが、その決め方は何通りになるでしょうか。
委員にならなかった人 | 会長、副会長、書記 |
A | B : C : D B : D : C C : B : D C : D : B D : B : C D : C : B |
B | A : C : D A : D : C C : A : D C : D : A D : A : C D : C : A |
C | A : B : D A : D : B B : A : D B : D : A D : A : B D : B : A |
D | A : B : C A : C : B B : A : C B : C : A C : A : B C : B : A |
総当たりで数えてみると、24通りとなり、①の結果と一致します。
表の右側を見ると、例えばBとCとDの並び替えになっていることに気づくでしょうか。
このことは以下の事実を示しています。
(4人から3人を選んで並べる順列)=(4人から3人を取り出す組み合わせ)×(3人を並び替える順列)
ここで、順列と組み合わせの記号を復習しておきましょう。
- (4人から3人を選んで並べる順列) =4×3×2 =4P3
- (4人から3人を取り出す組み合わせ) =4 =4C3
- (3人を並び替える順列) =3×2×1=3 !
となります。順列の記号P(Permutation)と組み合わせの記号C(Combination)です。
順列の記号は、4から順番に3つの自然数を(1ずつ引きながら)掛けるという意味です。
よって、3の階乗と同義になります。
では、組み合わせの記号Cについてはどうでしょうか。
さっきの
4P3(4人から3人を選んで並べる順列)=4C3(4人から3人を取り出す組み合わせ)×3 !(3人を並び替える順列)
から
4C3(4人から3人を取り出す組み合わせ)=4P3(4人から3人を選んで並べる順列)÷3 !(3人を並び替える順列)
となります。
2.円順列とは?
続いて、円順列とは何かについて考えましょう。
教科書では円順列は以下のように説明されています。
例えばA、B、C、D、Eの5人が丸いテーブルに座る方法について考えます。
これが単純なA、B、C、D、Eの5人の順列であったなら、並び方は5 ! =120通りです。
しかし、円順列では回転すると同じ並び順になるような並び方は、同じ並び方であると考えます。
単純な順列における「ABCDE」「BCDEA」「CDEAB」「DEABC」「EABCD」という5通りの並び方、でそれぞれ両端の人が手をつないだらどうなるでしょうか。
順番に何周も点呼をとっていくと、
「ABCDE」→ ABCDEABCDEABCDEABCDEABCDE……
「BCDEA」→ BCDEABCDEABCDEABCDEABCDE……
「CDEAB」→ CDEABCDEABCDEABCDEABCDE……
「DEABC」→ DEABCDEABCDEABCDEABCDE……
「EABCD」→ EABCDEABCDEABCDEABCDE……
となり、それぞれ同じ順番で点呼を取ることになります。
上の例を見て分かるように、A、B、C、D、Eの順番はどの順列であっても変わりません。
これらの並び替え方を同じと考えるのが円順列です。
では、この例における座り方は何通りあるでしょうか。単純な順列を考える時と円順列を考える時を比べてみましょう。
単純な順列における「ABCDE」「BCDEA」「CDEAB」「DEABC」「EABCD」という5通りの並び方を、円順列では1通りと考えました。
適当な5通りを該当する1通りの円順列に置き換えることができるということは、単純な順列120通り全てに言うことができます。
つまり、順列5通りに対して、円順列1通りを考えるので、この場合の座り方は
120÷5=24
という式で求めることができます。
このように「単純な順列を考えて、そのあと重複する通りで割る」という考え方は、場合の数の考え方の定石の一つですので、頭に置いておきましょう。
また、円順列を考えるときに「適当な一人の位置を固定する」というものがあります。
円順列でややこしいのは、「回転したときに同じになる組み合わせは同一と考える」というルールです。
例えばAの位置を固定しておけば、回転のしようがないので、残りの4人の単純な順列であると考えられるのです。
先の点呼の例で言えば、「点呼の1番目は必ずAさんが行わなければならない」というように最初の一人を決めておくと、ABCDEの順番で行う点呼は1通りになります。
この場合、円順列の総数は、固定する一人を除いて
4!=24通りとなり、先の結果と一致します。
このような考え方から、円順列の公式が導かれるのです。教科書などでみる円順列の公式は以下の通りです。
さいごに
順列と組み合わせ、円順列の考え方についてわかりやすく解説しました。
文系・理系問わず受験生を悩ませる「場合の数・確率」ですが、順列と組み合わせの違いや、場合の数と確率の考え方の違いをしっかり押さえておけば問題無いので、きっちりおさえておきましょう。
場合の数・確率はとにかく数をこなすことが重要です。
パターン問題を得点源にして、他の受験生に差をつけましょう。
最後までご覧くださりありがとうございました。頑張ってください!