2曲線の共通接線の解き方!微分を使った3つの「解法」パターンを覚えよう
微分法を用いた、2曲線の共通接線に関する問題は苦手とする受験生も多いですが、入試では頻出の分野です。ここでは、共通接線の解法について解説します。この記事を参考にすると、問題入試で出てくる共通接線の解法のパターンを理解して手を動かすだけで、問題が解けるようになります。
微分の分野は、問題のパターンが豊富なため、闇雲に問題に取り組んでしまうと難しいと感じやすいかもしれません。
しかし、解法の定石を知ることであらゆる問題パターンに対応できるようになります。ここでは、その「定石」について解説をします。
【 目次 】
1.共通接線の解き方
1-1.接点が共有されている場合【座標・微分係数を求める】
1-2.接点の座標がわからない場合【文字設定が基本】
2.接点を文字で置いて「係数比較」をパターンで覚えよう
2-1.少なくとも片方が2次関数のとき
2-2.両方とも3次関数以上の場合
2-3.応用:4次関数の二重接線の理解でレベルアップ
3.練習問題にチャレンジ
4.まとめ
1. 共通接線の解き方
共通接線を求める問題には、いくつかパターンがあります。
問題パターンに応じて解法を選択する必要があり、それが多くの人にとって難しいと感じる理由になっているようです。
しかし、共通接線の問題は「接点が共有されている場合」「接点が共有されていない場合」の2パターンに分ける事ができます。
問題パターンによって、座標や微分係数を求めるのか、わからないものを文字でおいてみるのかといった解法に違いがあります。
以下ではその対処法をそれぞれご紹介します。
1-1接点が共有されている場合【座標・微分係数を求める】
「接点が共有されている場合」の解法は2種類あります。
▼解法1:接点の座標が分かる場合
▼解法2:接点の座標が分からない場合
接点の座標がわかっている場合は、解法①でそのまま微分係数を求めにいけば良いですが、接点の座標がわからない場合は、解法②のように接点を文字でおくことがスタートになります。
解法1:接点の座標が分かる場合は「微分係数」を求める
まず2つのグラフの接点があるときです。
問題をもとに大まかな図を描いて、グラフの位置関係を把握すると良いでしょう。
グラフの位置関係を把握する際は、グラフ同士の共有点を見つけることが大切です。
共有点は、グラフ同士の交わる点や、接する点のことです。
共有点のx座標は、f(x)=g(x)を解くことでわかります。この方程式の実数解の個数だけ、2つのグラフの共有点があります。
たとえば重解をもったとしましょう。重解は2つの解が重なり、グラフの共有のしかたとしては、y=f(x)とy=g(x)とは1点で接する場所があるといった位置関係となります。
仮にこの重解をx=●としましょう。(この●は具体的な数値として出ます)
接点の座標は、y座標がf(●)と計算できることから、(●, f(●))となります(f(●)も具体的な数値です)。
このとき共通接線はこの接点を通ります。
よって、傾きは、微分係数f’(●)なので、これを求めることで接線がわかります。
共通接線の方程式は
y-f(●)=f’(●)(xー●)
となります。
この方法だと、文字を一切置かずに解くことができます。
さて、接線の表現には2通りあります。それは、
「点Pにおける接線」と、「点Pからひいた接線」あるいは「点Pを通る接線」です。
前者は点Pが接点となるケースであり、後者は点Pが接点ではないケースです。
今回の解法は、前者のパターンです。
問題文で「~における」と書いていれば、その点を接点として、文字を置かずに求めることができます。
解法2:接点のy座標・接線の傾き一致の式を立てる
与えられた関数の中に文字が使われている場合があります。
その時は曲線どうしが接しているという事実が明白でも、文字入りの式を扱わなければならず、上記の方法のように容易には解くことができません。
そのような時には以下の性質を利用します。
二つの曲線f(x), g(x)が1点(x=s)で接する場合、
- f(x), g(x)の接線の傾きは等しい:f’(s)=g’(s)
- 接点のy座標が等しい:f(s)=g(s)
これは2次関数に限定されず、全ての関数でいえますので、関数のグラフどうしが接していさえすれば、どの場合も利用できます。
1-2.接点の座標がわからない場合【文字設定が基本】
二つの曲線が接点を共有しない場合、接点の座標を求める事ができません。接点がわからないときは、そこから具体的な微分係数を求めることもできないですね。
そこで、それぞれの接点のx座標を文字で置いてみましょう。
「わからないものは文字で置いてみる」というのが数学ではとても大切な考え方です。
それぞれの接点のx座標をs, tなどと異なる文字で置き、それぞれの曲線において接線の方程式を個別に求めます。
その後の対処法は次の章で紹介します。
2. 接点を文字で置いて「係数比較」をパターンで覚えよう
接線を考える関数はいろいろな次数の場合があるので、臨機応変に考える必要があります。この際、2次関数が含まれているかどうかで判断をしましょう。
2-1.少なくとも片方が2次関数のとき
一般的には、y=f(x)上の接点のx座標をsとして(a,pなど、どの文字でもいいです)、y=f(x)の接線の方程式を
y-f(s)=f’(s)(x-s)
つまり、
y=f’(s)x+f(s)ーsf’(s)
と立てます。
この接線は、y=f(x)に対する接線として立てたものですが、同時にy=g(x)とも接していますので、それを考えれば、接線が求まります。
y=g(x)と接線の方程式とを連立させて作ったxの2次方程式において、D=0とすれば、sの値を求めることができ、接線の方程式が確定します。
※片方だけが2次関数の場合は、y=g(x)の方を2次関数としてください。
また、どちらも2次関数の場合は、以下の別解も存在します。
2-2.両方とも3次関数以上の場合
どちらも3次関数以上の場合、判別式が使えませんので、以下の①②のいずれかの方法で解く必要があります。
①それぞれの曲線の接線の方程式を求め、それらが一致することを用いる
②y=f(x)の接線の方程式とy=g(x)とを連立させて作ったxの方程式が重解をもつようにする
2-3.応用:4次関数の二重接線の理解でレベルアップ
4次関数のグラフは基本的にはW型の形をしているため、4次関数のグラフと2か所で接する接線がある時があります。
このとき、4次関数の方程式をy=f(x),接線がy=sx+tであり、これらがx=α, βの2か所で接しているとすると、
が成り立ちます。この両辺の係数を比較することによって、この式を満たすs, tの値を求めれば良いです。
3. 練習問題にチャレンジ
これらを踏まえて、以下の問題にチャレンジしてみましょう。
《問題1》
次の2つの2次関数y=f(x), y=g(x)の共有点における共通接線の方程式を求めよ。
■解答・解説
※接点の座標が調べられたので、接線を求める際に、文字を置く必要がない問題でした。
《問題2》
■解答・解説
※上記は解答としては書く必要はないです。あくまでも自分の中で確認をするという程度でいいです。
重解をもたない時点で、接点のx座標に文字を置いて考える必要が出てきます。
(別解)
《問題3》
■解答・解説
この4次関数のグラフは次のとおりです。
ちなみに、接点の座標は、上の連立方程式の解で、(a,b)=(-1,4),(4,-1)より、x=-1,4となり、(-1,-13),(4,-73)であることがわかります。
実際にグラフもこのようになります。
3-1.難関大学で出題される重要問題
大学で出題される共通接線の問題では、文字を含む共通接線のものが主流となります。
ある程度の問題の傾向が理解できたら、文字を含む問題に挑戦してみると、受験対策になるでしょう。
出題頻度が高い問題の例として次のものがありますので、紹介します。
■解答・解説
4.まとめ
共通接線の問題は、次のような方法で解けます。
①接点のx座標を文字で置き、y=f’(s)(x-s)+f(s)を利用。
②2次関数の場合は、接線の方程式と連立させたxについての2次方程式でD=0
③どのような関数の場合でも通用する方法として、それぞれの関数のグラフの接点のx座標をs, tとおいて、それぞれの接線の方程式
y=f’(s)(x-s)+f(s)
y=f’(t)(x-t)+f(t)
が一致することに着目し、係数比較をする
問題の難易度も高めですので、普段からしっかり練習をしておくと、理解度も高くなり、自信が持てるようになります。
この記事を読んで、さまざまなタイプの共通接線の問題になれることができれば幸いです。
記事の内容でわからないところ、質問などあればこちらからお気軽にご質問ください。
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