【積分】曲線の長さの求め方!公式から練習問題まで

数学 2022.12.26

「曲線の長さ」は、積分によって求められます。

積分は多くのことに利用されています。
情報通信の分野や、電気回路の分野でも積分は欠かせないものですし、それらの分野に進むという受験生にとっても、避けて通れない分野です。

この記事では、そんな曲線の長さを求める積分についてまとめます。

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1.【積分】曲線の長さの公式・求め方とは?

曲線の長さの積分は、弧長積分と呼ばれる分野です。

この弧長積分には、公式が2つあり、それぞれ媒介変数表示がなされている場合と、そうでない場合に使われます。

公式①媒介変数表示されている場合
ある曲線上の点が、媒介変数tを使って x=f(t), y=g(t) と表されているとするとき、区間[ a, b ]の曲線の長さLは、

公式②媒介変数表示されていない場合

ある曲線上の点が、媒介変数tを使って y=f(x) と表されるとき、区間[ a, b ]の曲線の長さLは、

以下で、それぞれについて解説していきます。

 

曲線の長さ①媒介変数を使って関数が表されているとき

ある曲線上の点が、媒介変数 t を使って

と表されているとします。このとき、曲線上の点P, Q の距離を考えます。

tに対する の増分を⊿xyの増分を ⊿とすると、PQ間の距離は、三平方の定理より

 

 

となります。
曲線PQの長さを⊿Lとすると、Qを限りなくPに近づけてゆくことで、線分PQの長さは、曲線PQの長さに近似することができます。

ですから、微笑区間PQでは

となります。両辺を⊿tで割ると

です。
これらの値はすべて、⊿tに対するそれぞれの変量の変化量になっています。

⊿t → 0 とすると、

と考えられますから、

となります。

いま求めたいのは、曲線の長さLですから、これをtで積分すれば求められますね。
ですから、曲線の長さLは、求める曲線の長さの区間を[ a, b ] とすると

です。これが曲線の長さの公式です。

ここまでの流れをつかむことができれば、覚えやすいでしょう。

つまり、被積分関数は三平方の定理を、媒介変数tの変化量で割ったものです。
根号がついているのは二点PQ間の距離を求めたからです。

 

曲線の長さ②媒介変数でないとき

媒介変数

x=f(t)
y=g(t)

で表されたときの、曲線の長さは

で表されました。では

のように、通常の関数で表されていた場合には、どのように曲線の長さを求めればよいでしょうか。勘の良い方ならお気づきでしょうが、むりやり媒介変数表示にしてしまえば良いのです。

先の関数

であれば、

のようにすれば、無理やり媒介変数表示にすることができますね。

このように、媒介変数表示でないような関数の曲線の長さは、自分で簡単な媒介変数表示を作ってしまうことによって求められます。

一般的に表してみましょう。

曲線 y=f(x) を、媒介変数 t を用いて

x=t
y=f(x)

と媒介変数表示で表すと、

となります。とすると

が求められます。この式も曲線の長さの公式です。

ですから、

は本質的に同じ意味の式です。

もちろん余裕があれば両方の式を覚えておくべきでしょうが、もっと覚えておかなければならないことは、ほかにたくさんあると思います。

どちらかといえば、覚えるべきは上の媒介変数表示の式であり、そこから派生して下の式も覚えられます。

媒介変数表示を用いた曲線の長さの公式は、先にも申し上げたように「2点間の距離を求めたから根号がついている」のであり、「根号の中身が2乗」されています。

理屈がわかっていれば、そう覚えるのに苦労する式ではないでしょう。

まとめ:
求める曲線の長さを表す関数が媒介変数表示によって表されているとき、
求める曲線の長さを表す関数が媒介変数表示によって表されていないとき

 

 

2.曲線の長さに関する練習問題

問. 次の曲線の長さを求めよ。

 

 

※以下に解答と解説↓

 

 

曲線の長さに関する練習問題【解答・解説】

(1)曲線の長さの公式通りに計算します。

今回は媒介変数表示で表されていますので、媒介変数表示による曲線の長さの公式を使います。

ここでですから

三角関数の半角の公式ですから

となり、これが求める曲線の長さです。
この式の1行目から2行目にかけてがポイントです。

の変域を見ると、0≦θ≦2π ですから、根号の中身「 」は決して負になりません。

負にならない数が根号の中身になっているので、このような計算ができます。

もう少し詳しく書けば、

となります。根号の中が2乗になっていた場合、無条件で根号が外せるわけではないことに気を付けましょう。

かならず絶対値がついてきます。

例えば、ではありませんね。

どこが間違っているのかというと、絶対値を付けずに根号を外したのが、間違っているのです。

正しくは、となります。

 

それと同様に、この問題でも根号を外すときには、絶対値を付けて外しましょう。

 

(2)この曲線は懸垂線(カテナリー)と呼ばれる曲線です。

懸垂線は両端点を固定して糸をたらしたときにできるような曲線を表した関数です。

この問題では、媒介変数表示がなされていませんので、を使って、計算します。

から、求める曲線の長さは

です。

かつなので、

というように計算できます。

この問題でも、先と同じように根号の中身が正であることを確認しておきましょう。

受験生がよくミスをするのは、根号や絶対値の扱いです。
単なる計算ミスであると侮らないようにしてください。

根号や絶対値を正しく計算できるというのも、立派な計算能力ですし、それができないと厳しい言い方をすれば「計算ができない受験生」ということになります。

曲線の長さの問題では、必ず根号の処理が出てきますので、根号の計算を正しくできるようになっておきましょう。

 

3.曲線の長さのまとめ

最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、曲線の長さについてまとめました。

曲線の長さを求める公式は2種類ありますが、どちらも本質は同じです。

できればどちらも覚えておきたいですが、どちらかといえば媒介変数を用いた式

を覚えておきましょう。もう一方のは、上の式から作ることができます。

理屈さえ知っていれば、どちらも苦労する式ではないと思いますので、どのようにしてこの式が導き出されたかという過程を、特に注意して理解しておきましょう。

どちらも根号と積分の計算をすることになりますので、計算力も問われます。
しっかり復習しておきましょう。

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この記事の執筆者

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