コリオリの力: 慣性と見かけの力の基本からわかりやすく解説! 自転との関係は?
コリオリの力は、地球の自転によって起こる見かけの力で、慣性力の一種です。
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1. コリオリの力の前に: 慣性とは?
コリオリの力の話をする前にまず慣性と慣性力について説明します。
慣性とは、外部から力が働かない限り、静止している物体は静止を続け、運動している物体は等速運動を続けるという性質のことです。
慣性が働く例としてだるま落としが挙げられます。
横から打たれたパーツ、つまり外部から力を加えられたパーツのみが弾き飛ばされ、外部から力を加えられないそれ以外のパーツは水平方向に静止を続けるので、打たれたパーツよりも上にあるパーツは重力の働きにより真下に落下します(ただし正確には、摩擦が働くのでこのような現象が起こるのは打たれるパーツが十分な速度で打たれた場合です)。
次に、電車に乗っているときを考えてみましょう。
止まっていた電車が急発進するとき、乗っている人は進行方向の逆向きに倒れそうになります。これは、電車には進行方向の向きの力が加わる一方、乗っている人は静止を続けようとするため、乗っている人に対して進行方向の逆向きの力が加わっているように見えるのです。このような見かけの力を慣性力と呼びます。
逆に動いていた電車が急停止するときは、乗っている人は進行方向の向きに倒れそうになります。これは、電車に加わる進行方向の向きの力が弱まる一方、乗っている人は運動を続けようとするため、乗っている人に対して進行方向の向きの力が加わっているように見えるのです。
コリオリの力もこのような慣性力の一種です。
なお、慣性についてはこちらの記事も合わせてご覧ください:
慣性の法則とは? 見かけ上の力って? 電車の例で解説!
2. コリオリの力とは?: 地球の自転との関係
コリオリの力は、地球の自転によって引き起こされます(正確には、引き起こされる「ように見え」ます)。
地球は東向きに自転しています。このとき、地球は球体ですから、一周の距離は高緯度地点ほど短く、低緯度地点ほど長くなり、そのため自転速度が異なります。これを力学的に言うと、地球上の物体にはつねに東向きの力が加わっているが、その力は高緯度地点では小さく、低緯度地点では大きいということです。したがって、物体が南北方向に運動するとき、高緯度地点から低緯度地点へ運動する場合は東向きに加わる力が大きくなるのに対して物体は静止しようとし、低緯度地点から高緯度地点へ運動する場合はその力が小さくなるのに対して物体は運動しようとします。このため前者では西向き、後者では東向きに見かけの力が働きます(北半球では右向き、南半球では左向きに働くと言い換えることもできます)。これがコリオリの力の正体です。
コリオリの力が働く例として台風が挙げられます。
台風は低気圧の一種であり、中心に近いほど気圧が低くなっているため、外縁部から中心へ空気が運動し、風が吹き込みます。この風に対してコリオリの力が働き、北半球では右向き、南半球では左向きにずれるため、台風は北半球では反時計回り、南半球では時計回りに渦を巻きます。
また、砲弾もコリオリの力の働きを受けます。
北半球で真北に砲弾を撃った場合、コリオリの力が働くため、標的よりも東側にずれてしまうのです。そのため1000mクラスの長距離狙撃をするときには、コリオリの力を考えて補正しなくてはいけません。
ほかにも、海流や極軌道の人工衛星などもコリオリの力を受けて、右側へそれていくように見えるそうです。
これまでの説明では規模が大きすぎるので、次に身近な例から解説をしていきます。
3. メリーゴーラウンドでコリオリの力を理解しよう
コリオリの力をイメージできる最も身近な例は、メリーゴーラウンドです。
反時計回りに回転するメリーゴーラウンドに乗った状態で、互いに反対側にいるAさん(投げる役)とBさん(キャッチする役)がキャッチボールをするとします。
これを上空から見ると、下図のようになります。Aさんがまっすぐに投げたボールは、Aさんがボールを投げたときにBさんがいた場所へ届きます。
この現象をメリーゴーラウンドに乗っているAさんから見ると、下図のように、ボールが右向きに曲がるように見えます。
これをイメージできれば、コリオリの力を理解できたと言っていいでしょう。ちなみに、コリオリの力は回転する座標系の上であれば、どこでも同じように作用します。
なお、同じく回転する座標系の上で働く遠心力が中心から遠ざかる方向に働くのに対し、コリオリの力は物体の運動の進行方向に対して働くものですから、混乱しないようにしてください。
遠心力について詳しくはこちらの記事をご覧ください:
遠心力とは?公式と求め方が誰でも簡単にわかる!向心力・向心加速度の補足説明付き
4. コリオリの力のまとめ
コリオリの力は、地球の自転速度が緯度によって異なるために、北半球では右向き、南半球では左向きに働く見かけの力です。
見かけの力という考え方は少し難しいですが、力学において非常に重要です。この機会に理解を深めておくと大学受験のみならず、大学入学後の勉強にも役立つでしょう。