微分方程式とは?高校数学で使えると便利!例題をもとに解き方を解説!
「微分方程式について教科書に載っているけど、結局何を示しているのか分からない」と感じる受験生が多いと思います。微分方程式は、解が関数になる方程式のことです。
大学受験の数学や物理で使えると計算が楽になります。この記事を読んで、微分方程式を理解して周りと差をつけられるようにしましょう。
・微分方程式の具体的な事例
・微分方程式の使い方
・大学受験数学数学や物理で計算が便利になる例
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1.微分方程式とは?【解が関数になる方程式】
2.微分方程式の解は「一般解」と「特殊解」の2種類
2-1.一般解:解が不定である
2-2.特殊解:条件のもとでの解
3.高校数学範囲の「直接積分形」と「変数分離形」
3-1.直接積分形の微分方程式とその解法
3-2.変数分離形の微分方程式とその解法
4.まとめ
5.問題の解答
微分方程式とは?【解が関数になる方程式】
微分方程式とは、未知関数とその導関数を含む方程式のことです。未知関数とは、その方程式を解くことで決定される関数を指します。その未知関数が、その「微分方程式の解」であり、それを求めることを「微分方程式を解く」といいます。
つまり、通常の方程式の解が数値になるのに対して、微分方程式の解は関数になります。
微分方程式の解は「一般解」と「特殊解」
微分方程式の解には、一般解と特殊解の2種類の解があります。早速次の例を解説します。
一般解:解が不定である
この微分方程式を解くとします。ここではyがⅹの関数を意味しますから、yを求めることが方程式を解くことになりますね。
それでは、どうすればyのことがわかるのでしょうか?左辺にdy/dxとあります。これはyをxで微分したもの、あるいはxについてのyの導関数と考えます。
つまり、yの導関数である2xからyを求めればいいのです。導関数を求めるのとは逆方向の計算ですね。そう、導関数をxで積分すれば求められます。
つまり、y=∫2xdx
=x²+c (cは積分定数)
となります。
dy/dx は y’とも表現できましたから、y’=2xから上記の積分計算という流れがわかりやすいという人も多いですね。不定積分の計算をしてyを求めたので、積分定数Cをつけることになります。つまり、不定積分の「答え」は1つじゃないということです。
特殊解:条件のもとでの解
ではそれに対して、1つ条件が増えた次の例はどうなるでしょうか?
ここで、付け加えられた条件y(1)=3 とは、「ⅹ=1のときy=3である」という意味です。f(1)=3 と同じ感覚ですね。さて、この問題の解法は、前半は例1と同じく、積分によってy=ⅹ²+C(Cは積分定数)まで求めます。
特殊解は、ⅹ=1のときy=3であるという縛りがさらにつきます。積分定数Cを用いて、「答えはいくらでもあるよ」とはいえなくなります。
この新しく増えた条件によって、Cはある特定の値の時しか成り立たなくなります。したがって、この問題の答えは積分で求めた後、次のように続きます。
これが答えとなります。はっきりと答えが出ましたね。このように、具体的な値の条件が問題に与えられれば、関数がCを用いずに表現できます。この値の条件のことを初期条件といいます。
※これは2次関数y=ⅹ²+cのグラフで、点 (1,3)を通るものがy=ⅹ²+2に限られるということを連想すればわかりやすいですね。
《例1》のように微分方程式のみを解くことで、積分定数Cを用いて無限個数の解を一般的に表したものを一般解といいます。
《例2》のように微分方程式の他に初期条件が加わることで、明確に出てくる解を特殊解といいます。
それぞれ、問題での条件の与えられ方によって場合分けされます。
高校数学範囲の「直接積分形」と「変数分離形」
高校数学において、微分方程式に関しては「一階常微分方程式」の問題がほとんどです。ここでいう「一階」というのは、たとえばyがxの関数の場合、導関数がy’までしかない(y”,y”’, …がない)という意味です。
また、常微分方程式とは、微分方程式の中で用いられた導関数が、1変数関数(たとえば変数xだけを用いて表される関数y)である場合を指します。
そのような方程式の代表的な形として直接積分形と変数分離形の2つ形があります。
直接積分形の微分方程式とその解法
先ほどの《例1》や《例2》の問題がそうだったのですが、
dydx = f(x)
の形で表される微分方程式のことを直接積分形といいます。
解き方は単純。両辺をxで積分すればいいのです。「両辺を」積分することについて、先ほどの《例1》を使って紹介します。
dy/dx=2xの両辺をxで積分すると
∫dy/dx・dx=∫2xdx(便宜上は∫とdxで挟むと考えてもいいです)
∫dy=x²+C(左辺はdxで約分したというイメージでも成り立ちます)
y=x²+C(∫dy=∫1dy=y。Cは右辺に一緒にまとめて考えてよいです)
という計算の感覚も持てるのです。
- 手順① dy/dx=ƒ(x)の形に変形する
これはすでに問題の段階でできています。
- 手順② 両辺をxで積分して一般解を求める
両辺をxで積分すると
∫dy/dx・dx=∫(4x-2)dx
y=2x²-2x+C(もう∫dy/dx・dx=yとなることを暗記しておいてもいいです。これが一般解です)
- 手順③ 初期条件から、特殊解を求める
y(2)=1より
1=2・2²-2・2+C
C=-3
y=2x²-2x-3
一般解:y=2x²-2x+C
特殊解:y=2x²-2x-3
(解答は一番下にあります)
変数分離形の微分方程式とその解法
ここからは、変数分離形の微分方程式を解説します。
f(y) = dydx = g(x)
という形に変形ができる微分方程式を変数分離形といいます。
その方程式の解き方は次の通りです。
- 手順① ƒ(y)dy/dx=g(x)の形に変形する
- 手順② 両辺をxで積分する
∫{ƒ(y)dy/dx}dx=∫g(x)dx
∫f(y)dy=∫g(x)dx
F(y)=G(x)+C (Cは積分定数、F(y),G(x)は、ƒ(y),g(x)の原始関数とする)
これが一般解
- 手順③ 初期条件があれば、特殊解を求める
最初手順①でを左辺と右辺に分けることによって、それぞれが1種類の文字で積分することができるのです。
直接積分型も「dy/dx=~ 」という形をしていましたが、その時は右辺で出てくる変数は(1種類)のみでした。ですから、いきなり積分することができたんですね。
今回は右辺にはxとyの2種類の文字が用いられていて、パターンが異なることに気をつけましょう。同じサイドにxとyが混ざっていて扱いづらいので、左辺と右辺に文字を振り分けるのです。
- 手順① ƒ(y)dy/dx=g(x)の形に変形する
解答に入る前に…
目標の形に変形をするには、両辺をyで割って、
dy/dx=6x²yより
1/y・dy/dx=6x²
と変形することになります。
ここで気をつけなければならないことがあります。数学の掟で「0で割り算をしてはならない」というのがありますね。今回割り算をするということで、これが0となる場合があり得ます。そこで、両辺を問題なくyで割れるようにするために、yが0のときと0でないときとに場合分けをしておく必要があります。
(ⅰ) y=0 のとき
y=0をxで微分するとdy/dx=0 (定数を微分したものは0)
また、6x²yの値は、6x²y=6x²・0=0
したがって、dy/dx=6x²yが成り立つ。
(ⅱ) y≠0のとき
dy/dx=6x²yより
1/y・dy/dx=6x²
ポイントは、左辺にy、右辺にxと分けるということです。ちなみに係数の6は、左辺に持って行くと分母に来てしまい扱いづらそうなので、右辺に残しておきます。
- 手順② 両辺をxで積分する
両辺をxで積分して
∫1/y・dy/dx・dx=∫6x²dx
∫1/y・dy=∫6x²dx
log|y|=2x³+C’ (C’は積分定数)
※注意① 左辺は後ろがdyとなっているのでyで積分、右辺は後ろがdxとなっているのでxで積分と異なっていることに注意!
※注意② ∫1/x・dx=log|x|なので∫1/y・dy=log|y|
※注意③ 両辺積分をすれば、両辺それぞれに積分定数ができますが、それらを右辺にまとめました。さらに、この後の展開で定数項に手を加える予定なので、CではなくC’としました。これはCの導関数ではありません。
さらに、
|y|=e2x³+C’ ( logaM=r ⇔ M=ar なので、
log|y|=loge|y|=2x³+C’ ⇔ |y|=e2x³+C’ )
|y|=eC’e2x³ ( ea+b=eaeb )
y=±eC’e2x³ ( |y|=aならばy=±a )
この関数の中で±eC’が数値の部分となるので、改めて
y=Ce2x³
とおく
これは (ⅰ) を満たす
もしC=0とおくとy=0となるので、この関数はy≠0を前提とする時の結果でしたが、y=0のときも表せる関数であるため、yの値によって区別はせずに1つにまとめることができます。
よって、一般解は
y=Ce2x³
- 手順③ 初期条件により、特殊解を求める
y(0)=4より
Ce2·0³=4
C=4 (左辺=Ce0=C・1=C)
したがって特殊解は
y=4e2x³
(解答は一番下にあります)
問題の解答
これまでの問題の解答です。
y=∫(6x-2)dx
=3x²-2x+C (Cは積分定数)
y(0)=-1より
C=-1
したがって
y=3x²-2x-1
一般解:y=3x²-2x+C (Cは積分定数)
特殊解:y=3x²-2x-1
y=∫(3x-1)dx
=3/2・x²-x+C (Cは積分定数)
y(2)=4より
6-2+C=4
C=0
したがって
y=3/2・x²-x
一般解:y=3/2・x²-x+C (Cは積分定数)
特殊解:y=3/2・x²-x
(ⅰ) y=0のとき
y=0 をxで微分すると dy/dx=0
また、4xyの値は、4xy=4x・0=0
したがって、dy/dx=4xyが成り立つ。
(ⅱ) y≠0のとき
dy/dx=4xy より
1/y・dy/dx=4x
両辺をxで積分して
∫1/y・dy/dx・dx=∫4xdx
∫1/y・dy=∫4xdx
log|y|=2x²+C’
|y|=eC’e2x²
y=±eC’e2x²
C=±eC’とすると
y=Ce2x²
これは(ⅰ)を満たす
したがって一般解は
y=Ce2x²
y=(0)=2より
C=2
特殊解は
y=2e2x²
一般解:y=Ce2x²
特殊解:y=2e2x²
(ⅰ) y=0のとき
y=0 をxで微分するとy’=0
また、ysin2xの値は、0・sin2x=0
したがって、y’=ysin2xが成り立つ。
(ⅱ) y≠0のとき
y’=ysin2xより
1/y・y’=sin2x
両辺をxで積分して
∫1/y・dy/dx・dx=∫sin2x dx
∫1/y・dy=∫sin2x dx
log|y|=-1/2・cos2x +C’
|y|=eC’e-1/2·cos2x
y=±eC’e-1/2·cos2x
C=±eC’ とすると
y=Ce-1/2·cos2x
これは(ⅰ)を満たす
したがって一般解は
y=Ce-1/2·cos2x
y(0)=1より
Ce-1/2·cos0 =1
Ce-1/2 =1
C=e1/2
y=e1/2 e-1/2·cos2x
=e1/2-1/2·cos2x
=e1/2(1-cos2x)
=esinx^2 (1-cos2x=1-(1-2sin2x)=2sin2x)
一般解:y=Ce-1/2·cos2x
特殊解:y=esinx^2
まとめ
今回は微分方程式の決まりごとと、微分方程式の中でも基本的な「直接積分形」と「変数分離形」の解法について紹介しました。微分・積分の内容は非常に広く、さまざまな計算方法に対応できなければならないので、基本をしっかり理解しておくことが重要です。
今回の内容が理解できると、さらに難しい内容にもチャレンジできます。コツコツと演習を積み重ねれば、微分・積分の内容はマスターできるでしょう。