偶関数と奇関数の見分け方と定積分

数学 2019.2.22

関数には、その性質によって様々な分類が考えられます。
その分類の一つとして、偶関数と奇関数があります。

偶関数と奇関数が問題の主役になることは稀ですが、知っていると計算が楽になったりすることもあります。

この記事では、偶関数と奇関数についてまとめます。

 

1.偶関数と奇関数のグラフ

偶関数と奇関数は以下のように紹介されることが多いと思います。

偶関数:偶関数のグラフはy軸に対して対称となる

偶関数 奇関数

奇関数:奇関数のグラフは原点に対して対称となる

偶関数 奇関数

偶関数の簡単な例としては

y=x2

が挙げられます。
他にも、

y=x4
y=x6

などが偶関数です。他にもありますが、それは後にご紹介します。

一方、奇関数の代表的な例は

y=x
y=x3
y=x5

などです。

さまざまな偶関数・奇関数がある中でこれらの例を挙げたのは、名前の由来から覚えた方が楽だからです。

先の定義

偶関数:偶関数のグラフはy軸に対して対称となる
奇関数:奇関数のグラフは原点に対して対称となる

をそのまま覚えようとすると、「どちらがy軸に対象だったか、原点に対象だったか」と悩んでしまうと思います。

しかし、偶関数・奇関数の例として挙げた関数を見ると、法則があることに気づくでしょう。
偶関数として挙げた関数の、xの指数部分を見ると、すべて偶数になっていますね。
一方、奇関数として挙げた関数のxの指数部分は、すべて奇数になっています。
これが由来です。

つまり、簡単な関数として

y=xn

を考えたときに「nが偶数のときに、関数が共通して持つような性質」が「y軸に対して対称」であり、このような性質を持つような関数を「偶関数」と言いましょう、ということです。

しかし、この「y軸に対して対称」というのは、他の関数も持つような性質ですから、それらも含めて、偶関数と言います。

また同様に、「nが奇数のときに、関数が共通して持つような性質」が「原点に対して対称」という性質であり、このような性質を持つような関数を「奇関数」と呼びます。

このような手順で覚えておけば、どちらがどちらだったか迷うことはないでしょう。

y=x2

y=x3

のグラフは思い浮かべられるはずです。

ですから

偶関数 → y軸に対して対称
奇関数 → 原点に対して対称

というように覚えるのではなく、

偶関数
→ y=xn のnが偶数の関数
→ y=x2 はy軸に対して対称な関数
→ 偶関数はy軸に対して対称な関数
奇関数
→ y=xn のnが奇数の関数
→ y=x3 は原点に対して対称な関数
→ 奇関数は原点に対して対称な関数

とすれば、間違いは起こらないはずです。

 

2.偶関数と奇関数の定義

先に紹介した

偶関数:偶関数のグラフはy軸に対して対称となる
奇関数:奇関数のグラフは原点に対して対称となる

は、偶関数と奇関数の見分け方として、間違っているわけではありません。

しかし、偶関数と奇関数の定義、といえば数式で表されなければ数学らしくありません。
偶関数と奇関数の定義は以下のようになります。

偶関数と奇関数の定義

f(-x)=f(x)
を満たすような関数 f(x) を偶関数という。
f(-x)=-f(x)
を満たすような関数 f(x) を奇関数という。

難しそうな書き方をしていますが、

偶関数:偶関数のグラフはy軸に対して対称となる
を数式で表すとf(-x)=f(x)であり、

奇関数:奇関数のグラフは原点に対して対称となる
を数式で表したものがf(-x)=-f(x)です。

つまり、「y軸に対称」というのは、「すべての x = a にたいして、x = ‐a の値を比べたときに、そのときのyの値である f(a) と f(-a) が等しくなる」ことを表しています。

具体的に言えば、

y=x2

で、x = 2 のときのyの値である4と、x = -2 のときのyの値である4が一致します。

これが全ての実数に対して言えれば、「y軸に対して対称である」ことが言えるはずです。

それを表した式が、

f(-x)=f(x)

である、と言うわけです。

同様に「原点に対称」というのは、「すべての x = a にたいして、x = ‐a の値を比べたときに、そのときのyの値である f(a) と f(-a) は正負が入れ替わった値である」ことを表しています。

具体的に言えば

y=x3

で、x = 2 のときのyの値である8と、x = -2 のときのyの値である‐8は正負が入れ替わった値です。

これが全ての実数に対して言えれば、「原点に対して対称である」ことが言えるはずです。

 

3.偶関数と奇関数の見分け方

偶関数と奇関数の見分け方は、これまで申し上げた通りです。

偶関数は、
偶関数:偶関数のグラフはy軸に対して対称となる

f(-x)=f(x)

となるような関数です。

奇関数は
奇関数:奇関数のグラフは原点に対して対称となる

f(-x)=-f(x)

となるような関数です。

ですから、偶関数(あるいは奇関数)であることを証明するためには、この数式の方を使います。

問. 次の証明をせよ。
(1) f(x)=sin⁡x が奇関数であることを証明せよ
(2) f(x)=|x| が偶関数であることを証明せよ

 

解答・解説

(1)
奇関数であるためには

f(-x)=-f(x)

を満たせばよいので、それぞれ確認してみます。

f(-x)=sin⁡(-x)
=-sin⁡x

一方

-f(x)=-sin⁡x

となり、

f(-x)=-f(x)

ですので、f(x)=sin⁡x は奇関数であることが証明できました。

(2)
偶関数であるためには

f(-x)=f(x)

を満たせばよいので、それぞれ確認します。

f(-x)=|-x|
=|-1| |x|
=|x|

となり一致するので、f(x)=|x| が偶関数であることが証明されました。

 

4.偶関数と奇関数の定積分への応用

偶関数か奇関数かを見極めることは、定積分で役立つことがあります。
というのも

偶関数 奇関数

という定積分を考えたときに、f(x) が偶関数や奇関数だったとき、どうなるでしょうか。

たとえば、f(x) が奇関数だったとき(f(x)=x や f(x)=x3 など適当な奇関数を思い浮かべてください)です。

積分区間が‐a から a までですので、この定積分は、「奇関数 y=f(x) と x = -a, x = a で囲まれた面積」を表すことになります。

このとき、y軸よりも右側(x軸の正方向)にある部分の面積と、y軸よりも左側(x軸の負方向)にある部分の面積が一致します。

軸より下にある部分の面積は負の値で表れますので、両者が打ち消しあって、定積分の値は0になります。

実際に

偶関数 奇関数

となります。
このことから、積分区間が [ -a, a ] のとき、奇関数を定積分すると、定積分の値は必ず0となることがわかります。

偶関数も同様に考えましょう。

偶関数はy軸に対して対称ですので、奇関数のように打ち消しあうわけではありません。
しかし、y軸の右側(x軸の正方向)とy軸の左側(x軸の負方向)にある部分の面積が一致することは同じです。

ですから積分区間 [ -a, a ] で、偶関数を定積分するときには、[ 0, a ] を定積分して、それを2倍すればよいことがわかります。

まとめると

偶関数 奇関数

です。
これは単純なようで非常に便利な性質です。
例えば以下のように利用できます。

偶関数 奇関数 グラフ

偶関数 奇関数

となります。地道に計算するより、ずいぶん早く計算できるのではないでしょうか。

積分区間が [ -a, a ] のときには、奇関数の計算をそもそもする必要がありません。
そのうえ、偶関数は [ 0, a ] として2倍するので、計算時間が短縮できます。

 

5.偶関数と奇関数のまとめ

最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、偶関数と奇関数についてまとめました。

偶関数と奇関数はしっかり理解していれば、覚えることは一つもありません。

そして定積分に応用することで、場合によっては計算時間を短縮することができ、非常に便利です。
しっかりマスターしましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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