【指数関数の微分】公式の証明から例題まで解説

数学 2022.2.16

微分法・積分法は、理系の学部であれば、大学入試の際に受験科目として必須とされ、さらに大学においても、非常に重要な位置を占める分野です。

指数関数の微分はその中でも比較的頻出度が高く、十分に理解することが求められます。

けれども、意外と重要でありながら押さえにくい面がありませんか?

今回はそのような指数関数の微分の公式の証明から、例題までをわかりやすく紹介します。

		

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1.指数関数とは?

 

指数関数の定義

定数aが、1でない正の数であるとき、y=axで表される関数を、「底がaである指数関数」といいます。a=1だと、いつまでもyの値が1なので、とりあえず除外しています。これを境に、a>1のときyは増加関数、0<a<1のときyは減少関数となります。また、xの値に関係なく常にy>0となります。

 

指数・対数の計算法則

指数と対数の基本的な計算の法則は必ず知っておかなければなりません。計算を行う上で重要ですので、数学Ⅱの範囲が基本ではありますが、確認をしておきましょう。

【指数法則】

r,sは実数、a,bは正の数のとき

①aras=ar+s

②(ar)s=ars

③(ab)r=arbr

【指数と対数の書き換え】

aは1でない正の数、rは実数、Mは正の数であるとき、

ar=M ↔ r=logaM

【対数の計算法則】

a,cは1でない正の数、rは実数、b,M,Nは正の数であるとき、

微分の計算で必要ですので、これがスラスラと使えるようにしておきましょう。

 

2.指数関数の微分

微分法の定義

指数関数を微分する話の前に、まず微分法の考え方を確認しましょう。

【図1】

【図2】

関数y=f(x)の、xからx+hまでの平均変化率(図では2点A,Bを結ぶ直線の傾きとなります)は、

となりますが、xの値の差であるhを限りなく0に近づける(図では点Bを点Aに近づける)と、xの周辺の微小の変化の度合いがわかります。これが微分したもの(導関数)となります。これをy’あるいはf'(x)と表します。ですから、

と表されます。

 

②指数関数の微分公式

1でない正の数aに対して、指数関数y=axを微分したものは、

y’=axlog a

です。ここで、logの底が省略されている場合は、底がeとなります。

また、特にy=exの微分は

y’=ex

です。微分しても変わらない関数なので、不思議ですし覚えやすいですね。

 

指数関数の微分公式の証明

では、指数関数を微分したものが、今紹介した式となる事を証明してみましょう。

【1】自然対数とe

その証明のために、事前に紹介しておきたいと思いますが、自然対数の底eを、次のように定義します。

また、同じ内容になるのですが、他にも

 

があります。

この自然対数の底eは、e=2.718281828…と、円周率のように特定の値を取る無理数であることが知られています。

それでは、指数関数y=axを微分したものが前述のようになることを導いてみます。

 

【2】定義による公式の証明

関数y=f(x)の導関数は、先ほども取り上げましたが、

と計算できました。これをy=axに適用します。

ここで、t=ah-1とおくと

ah=t+1

より

 

また、t=ah-1においてh→0のとき、t→0となるので、

 

 

ここで、自然対数eの底の定義式

より、  

【3】対数微分法による公式の証明

指数関数を微分するための計算は、このように意外と込み入ってしまいますが、対数微分法を利用すると、もっと簡単に求めることができます。

y=axの両辺の対数をとると

log y=log ax
log y=xloga

ここで両辺を微分すると

 

 

y’=ylog a

=axlog a

 

【4】y=exの微分

指数関数y=axの中でも、底がとりわけeであるときの微分について触れておきましょう。

上記の【2】や【3】の方法でy=exとして計算していけばいいのですが(結局同じ考え方なので省略します)、求めたy=axの導関数の式でa=e、と置いてしまえばいいです。

y’=axlog a で、a=e とおくと、

y’=exlog e
=ex

  

3.指数関数の微分の例題

以上が指数関数のごく基本的な形をしたものの微分についてでしたが、これにさらにどこかに数がくっついたときの計算もできるようにしましょう。大学入試などでは必ずそのような変化のある式を微分する必要を迫られます。そこで、次のような例題を解いてみましょう。

  • 次の関数を微分せよ。

①y=2x

②y=53x

③y=e4x

 

 

 

 

 

 

 

《解答》

①y=axを微分したものは、y’=axlog a

y=2xは、上の式でa=2のときなので

 y’=2xlog 2

ポイント:y=□xのとき、y’=□x log □

 

②y=53xが微分の公式と異なる点は、指数部分が単なるxでなくなっているところです。

ここでは、この式を大まかにy=5ととらえましょう。

そうすると、微分の公式通りに、

y’=5log 5・(□)’とできます。

けれども、そもそもはかたまりになっているので、正確には後ろでこのかたまりの微分をかけた

となります。これは合成関数の微分ですね。

正解は、

y=53xlog5・(3x)’
=3・53xlog5

  となります。

 

③②と同じように、指数部分が変化しているので、指数部分である4xをかたまりとみなし、微分の公式を用いた後から、このかたまりを微分したものをかけます。

y’=e4x・(4x)’
=4e4x

 

【2】次の関数を微分せよ。

①y=(ex-e-x)2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》

①普通に展開して微分してもいいです。

y=(ex )2-2ex e-x+(e-x)2
  =e2x-2+e-2x

 ※exe-xの計算は、ex+(-x)=e0=1あるいは

とできます。

y’=e2x・(2x)’-0+e-2x・(-2x)’
=2e2x-2e-2x

別解

y=□2のとき、y’=2□・(□)’と考えて

y’=2(ex-e-x)・(ex-e-x)’
=2(ex-e-x)・{ex-e-x・(-x)’}
=2(ex-e-x)(ex+e-x)

ここで計算を止めても正解となりますが、さらにこれを展開すると、

=2{(ex)2(e-x)2 }
=2e2x-2e-2x

  と、最初の解答と同じ式になります。

 

②まず、分数形なので、分数式の微分を思い出しましょう。

ですね。したがって、

 

 

まとめ

指数関数の微分は、導関数を自力で求められるようになるくらい、基礎となる考え方を理解しておいて欲しいところです。大学入試でもそれ自体が問われることもあります。また、その過程で、合成関数の微分や積や商の式を微分する場面も少なくありません。

与えられた関数を微分することで終わる問題はむしろ少なく、実践ではそれは問題を解く過程でしか過ぎないことも多いです。

しかしながら、特にの形を含んだ式は頻出度が高いので、十分に演習をして慣れておきましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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