因数定理を即理解!絶対知っておくべき使い方も紹介!
因数定理とは何かが数学が苦手な人でも理解できる記事です。現役の早稲田生が因数定理について丁寧に解説しています。
本記事を読めば、因数定理とは何か・因数定理の証明・因数定理の使い方が理解できるでしょう。
最後には、因数定理の練習問題も用意しました。
ぜひ最後まで読んで、因数定理をマスターしましょう!
1:因数定理とは
まずは、因数定理とは何かについて解説していきます。
因数定理とは、簡単に述べると、「多項式f(x)が(x-a)という因数を持つことの必要十分条件はf(a)=0が成り立つこと」という定理のことです。
※必要十分条件が理解できていない人は、必要十分条件について解説した記事をご覧ください。
※因数とは?
→因数とは、ある数を掛け算で表現したときのその個々の数(式)のことです。
【因数の例1】
6は「2×3」なので、6の因数は2と3です。
【因数の例2】
x2+5x+6は「(x+2)(x+3)」なので、x2+5x+6の因数は(x+2)と(x+3)です。
以上が因数定理とは何かの解説です。次の章では、なぜ因数定理は成り立つのか?の証明(因数定理の証明)を解説していきます。
2:因数定理の証明
では、因数定理「多項式f(x)が(x-a)を因数に持つことの必要十分条件はf(a)=0が成り立つこと」を証明していきましょう。
因数定理:十分条件の証明
まずは多項式f(x)が(x-a)を因数に持つとき、f(a)=0が成り立つことを証明します。(十分条件の証明)
多項式f(x)を(x-a)で割ったときの商をQ(x)、余りをRとおきます。
すると、
f(x)=Q(x)(x-a)+R
と表すことができますね。
両辺のxにaを代入すると
f(a)
=Q(a)(a-a)+R
=Q(a)×0+R
=R
となります。
f(x)が(x-a)を因数に持つためには、f(x)が(x−a)で割り切れなくてはいけませんね。
したがって、余りRが0でなくてはいけません。
よってf(a)=0が成り立つことがわかります。
因数定理:必要条件の証明
次に、多項式f(a)=0ならばf(x)が(x-a)を因数に持つことを証明します。(必要条件の証明)
上と同様にf(x)を(x-a)で割ったときの商をQ(x)、余りをRとおきます。
そうすると先ほど同様、
f(x)=Q(x)(x-a)+R
と表すことができます。
ここで、x=aを代入すると、f(a)=Rとなります。
ここで、f(a)=0と仮定していたのでR=0になります。
よってf(a)=0ならばf(x)は(x-a)を因数に持つことがわかります。
したがって、f(x)が(x-a)を因数を持つことの必要十分条件はf(a)=0になります。
以上が因数定理の証明の解説になります。
次の章からは、因数定理の具体的な使い方を学習していきましょう!
3:因数定理の具体例その1
では、因数定理は数学の問題で実際にどのように利用するのでしょうか?
本章では、因数定理の具体例を見ていきます。
因数定理の例題
x3-x2-5x+6=0を因数分解せよ。
解答&解説
一見して因数分解をできる人はほとんどいないと思います。
では、どうやって因数分解をするのでしょうか?
ここで因数定理を使っていきます。
x=1を代入した場合、1-1-5+6=1となり、0になりません。
次に、x=2を代入してみます。
代入してみると、8-4-10+6=0となります。
よって、因数定理から(x-2)を因数に持つことがわかります。
したがって
x3-x2-5x+6
=(x-2) (x2+x-3)・・・(答)
と因数分解できることが因数定理よりわかりました。
4:因数定理の具体例その2
因数定理を使った応用問題も解いていきましょう。
因数定理の応用問題
f(x)=x3-ax2+5x+8は(x+1)を因数に持つ。aの値を求めよ。
解答&解説
(x+1)を因数に持つので、因数定理からx=-1を代入するとf(x)=0になることがわかります。
実際にx=-1を代入してみると
f(x)
=(-1)3-a(-1)2+5・(-1)+8
=-a+2・・・①
ここで、①=0を満たせば良いので、
a=2・・・(答)
ということがわかります。
以上が因数定理の具体的な使い方でした。以上で紹介した2つの因数定理の問題はテストでも頻繁に出題されるので、必ずできるようにしておきましょう!
5:因数定理の練習問題
最後に、因数定理の練習問題を2つご用意しました。
ぜひ解いて、因数定理をマスターしましょう!
因数定理の練習問題1
f(x)=x3+4x2-11x-30=0を因数分解せよ。
解答&解説
因数定理の具体例その1同様に、f(x)にx=3を代入すると、f(x)=0になることがわかります。
よって因数定理からf(x)は(x-3)を因数に持ちます。
よって、f(x)を(x-3)で割ると(x2+7x+10)となるので、
x3+4x2-11x-30
=(x-3)(x2+7x+10)・・・①
と表すことができ、さらに因数分解できるので
①
=(x-3)(x+2)(x+5)・・・(答)
となります。
因数定理の練習問題2
f(x)=x3+ax2+bx-20は(x-4)で割り切れ、(x+2)で割ると18余る。
a,bの値を求めよ。
解答&解説
f(x)は(x-4)を因数に持つので、因数定理よりx=4のときf(x)=0になるので、
43+a・42+b・4-20=0
より、
16a+4b=-44・・・①
また、f(x)は(x+2)で割ると18余るので、x=-2を代入すると18になります。
したがって、
(-2)3+a・(-2)2-2b-20=18
より
4a-2b=46 …②
①と②を連立しましょう。
※連立方程式を忘れてしまった人は、連立方程式について解説した記事をご覧ください。
①と②を連立することで、
a=2、b=-19・・・(答)
が得られます。
因数定理のまとめ
因数定理とは何か、また因数定理の使い方についてお分かりいただけましたか?
因数定理は数学の重要な定理の一つです。
因数定理を忘れてしまった時は、また本記事で因数定理を復習しましょう。