区分求積法の公式と例題をマスター!基本から解き方まで解説
区分求積法は、定積分の種類のうちの一つです。
しっかり理解していると簡単に覚えられる式なのですが、理解できていない人には、極限や和の記号、定積分が混ざっていて、ややこしい式に見えるはずです。
この記事では、そんな区分求積法についてまとめます。
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1.区分求積法とは
区分求積法とは、簡単に言うと、ある範囲の面積を求める方法です。
大学入試では、主に式変形の方法として用いられます。
面積を求めるためには、その求めたい区間で定積分をすればよい、ということは、高校2年から習ってきたと思います。
例えば、以下のように
y=x2とx軸および、直線x = 1 で囲まれる面積Sを求める場合には、
とするはずです。
ここで、大体の面積を求めればよいのであれば、次のような方法も考えられます。
まず、x軸上の区間 [ 0, 1 ] を10等分します(10という数字は適当です)。
等分した区間からまっすぐ上に線を引き、y=x2にぶつかるまで伸ばします。
すると、降水量のグラフのような、10本の長方形が密着して並んでいる図を作図できるはずです。
これらの長方形は、横の長さが全て1/10、縦の長さが原点から近い順に
となっていて、これらすべてを足せば、概ね求めたい面積が求められるでしょう。
実際にこれらの和を求めれば、
となります。
もちろん、2次方程式の面積を10個に分けた長方形の和とみなして計算していますので、誤差は出ます。
ですが、区間を100等分、1000等分というように、どんどん細かくしてゆけば、かなり良い近似値が出せるはずです。
例えば、1000等分したときの値は、
となり、積分を使って出した値である 1/3 にかなり近い値が導かれます。
ここまで見てきた計算自体は数学Ⅱで習った数列の計算ですので、みなさんでもできるはずです。
このように、面積を積分で求めるのではなく、細かい長方形の和だととらえて計算することができます。
さて、区間を細かくすると、求めたい面積に近づいていきました。
これに関連する考え方として、数学Ⅱ、数学Ⅲで極限という概念を習ったはずです。
この問題で、区間をn等分して、そのnを∞に近づけていけば、上の図における余分な部分は限りなく小さくなります。
実際に計算すると
から、nの極限をとって
となり、積分の結果通りに面積を求めることができました。
このように、長方形の面積の和の極限として面積を求める方法を、区分求積法と言います。
実際には、区分求積法が考え出されたのは、積分より前です。
この区分求積法の考え方が元になって、積分の考えが生まれました。
「区分求積法」というとなんだか難しそうですが、なんのことはありません。
求めたい部分を「区分け」して面「積」を「求」める方「法」なので、区分求積法です。
2.区分求積法の公式
ここまで、区分求積法は面積を求める方法であり、積分の元になった考え方だということを見てきました。
しかし、大学受験で面積を求めるのであれば、積分で十分なはずだと思ったのではないでしょうか。
大学受験で主に区分求積法を利用するのは、和の極限を求める際に、式変形の手段として使います。
区分求積法の公式は以下の通りです。
あるいは
となります。
どうして公式が2つもあるのかというと、以下のように、長方形の取り方が2通りあるからです。
しかし、どちらも最終的な答えは一致します。
覚えるには少々面倒な印象がある式だと思いますが、先に申し上げたことをしっかり理解していれば、とくに苦労する式ではありません。
まず、1つ目の公式である
について考えましょう。
の部分が、重要な部分です。
ですが、これは既に申し上げました。
区分求積法とは、関数f(x)とx軸、x = 1に囲まれた面積S(もっと汎用性の高い式もありますが)を、細かい長方形の集まりであるとして求める方法です。
この区間をn分割していると考えれば、{}の前の は、1/n 長方形のx軸方向の辺の長さ、そのときのy軸方向の辺の長さはそれぞれ
となりますので、長方形の面積は
です。これをすべて足すと、
ここでnを∞に飛ばすことで、面積を求めるのが区分求積法ですから
が、求める面積Sであることがわかります。
これを和の記号Σを用いて表すと、
となりますね。ですから
です。ところで、今求めた面積Sは当然、積分を用いて表すことができます。
関数 f(x)とx軸、x = 1に囲まれた面積Sは
で求められますので、
となります。
このようにして、区分求積法の公式が求められます。
長方形のとり方によっては、
とすることもできますので、どちらも扱えるようにしましょう。
ちなみにですが、∫(インテグラル)はアルファベットのSを縦長に書いたもので、Σ(シグマ)はギリシア文字でアルファベットのSにあたります。
これらはどちらもSum(和)の頭文字Sとなっています。
つまり積分というのは和なのです。
これは覚えておきましょう。
3.区分求積法の例題
ここでは、区分求積法の例題を扱います。
区分求積法の例題① 以下の値を求めよ。
※以下に回答と解説↓
解答・解説
今は区分求積法をお伝えしたばかりですから、問を見てどうやるかはわからなくても「この問題は区分求積法を使って解くのだな」と察せられると思います。
しかし、試験会場で区分求積法に気づくのは、かなり慣れていないと難しいでしょう。
区分求積法の問題で一番高いハードルは、ここです。
この問題が区分求積法で解けることがわかるまでが、難しいポイントです。
ですから、極限の和の問題が表れたら、「ひょっとしたら区分求積法を使って式変形する必要があるかもしれない」と頭の片隅に置いておきましょう。
が区分求積法の右辺ですから、式に 1/n が必要です。
この問題の式には 1/n が入っていませんので、むりやり作ってしまいましょう。
このように式変形すると、
となり、例題の答えが出てきます。
区分求積法の例題② 次の値を求めよ。
※以下に回答と解説↓
解答・解説
一見、同じような問題ですが、Σの上が2nになっていることに注目してください。
この問題は、ただ公式を覚えているだけでは、解けません。
しっかり区分求積法の公式の意味をとらえている必要があります。
まず、先の通り 1/n を作りましょう。
2n個の和をとっているということは、長方形が2n個ある、つまり区間を2n個に分割しているということです。
ならば、x軸方向の長方形の辺の長さも2nでなければなりませんし、それに呼応してy軸方向の長方形の辺の長さも 2n に対応していなければなりません。
よって
と式変形をします。
これは、区間 [ 0, 2 ] を2n等分すると考えられますので、これに対応する積分の式は
となります。
区分求積法の公式をしっかり理解していないと、式変形でミスをしてしまうので、復習しておきましょう。
区分求積法のまとめ
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、区分求積法についてまとめました。
区分求積法は公式も重要ですが、その公式の意味をしっかりとらえておくことがさらに重要です。
公式の応用が無限に考えられるからです。
最後に積分区間が [ 0, 2 ] になる問題を紹介しましたが、他の数字でも問題をつくることが可能です。
そのような場合にも備えて、公式をしっかりと理解しておきましょう。
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