一次不定方程式の解き方! 練習問題でマスターしよう
入試でよく出題される数学の問題のひとつに、一次不定方程式があります。
一次不定方程式は解き方をしっかりと理解していれば機械的に解くことができるので、ボーナス問題だと思えるぐらい習熟しておきましょう。
では、一次不定方程式について解説していきます。
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1.不定方程式とは?
不定方程式とは、方程式の数よりも変数が多い方程式を指します。
例えば、ax+by=cという方程式があるとき、方程式の数が1つであるのに対して、変数はxとyの2つあります。
この場合、x, yの解の組み合わせは無数にあり、そのため不定解になることから、不定方程式と呼ばれています。
2. 不定方程式の整数解を求めるには
一般に、不定方程式では整数解が求められます。
例えば、3x=2yにおいて整数解を求めることを考えましょう。
このとき注目したいのは、変数の前にある係数です。
右辺には係数として2がありますから、2yは2の倍数です。
一方、左辺を見ると係数は3です。
したがって、変数xは2の倍数であるはずです。
このことを整数nを用いて数式で表現してみましょう。
x=2nとおいて、元の式に代入すると
3・2n=2y
6n=2y
y=3n
となり、さきほどx=2n とおきましたから、(x, y)=(2n, 3n)が一般解です。
次に、右辺に定数項があるケースを考えましょう。
3x+2y=1の整数解を考えてみると、直感的に(x, y)=(1, -1)が浮かぶでしょう。
ここから、
3(x-1)+2(y+1)=0
3(x-1)=-2(y+1)
と式を変形できます。
このとき、さきほどと同様にして、右辺に係数-2があることから、左辺のx-1は2の倍数だと考えられ、x-1=2n (nは整数)とおけます。
これを変形して、x=2n+1となります。
あとは代入していくと、
3・2n=-2(y+1)
6n=-2y-2
2y=-6n-2
y=-3n-1
したがって、(x, y)の一般解は(2n+1, -3n-1)です。
では、4x+6y=1という方程式はどうでしょうか?
実は、この式は整数解をもちません。
なぜなら、左辺は2(2x+3y)と変形でき、ここからx, yがともに整数であれば2の倍数となることがわかりますが、これに対して右辺は1だからです。
一般に、「不定方程式ax+by=1が整数解をもつ⇔aとbは互いに素」です。
(互いに素については、詳しくはこちらの記事をご覧ください:
互いに素とは? 背理法を使った証明の例題・合同式との関係も合わせて解説)
逆にa, bが互いに素であれば、ax+by=1について具体的な解がひとつ見つかれば、あとは代入と式の変換で一般解を導けます。その手順は上で説明したとおりです。
ポイントは、整数nを用いて式を変形することです。
3. ユークリッド互除法を用いた不定方程式の解法
ユークリッド互除法は、最大公約数を求める方法です。
これを用いることで、大きな整数であっても簡単に最大公約数がわかるようになります。
例えば、154と36の最大公約数を見つけてみましょう。
まず、大きい方の数字を小さい方で割ります。いまの場合は154÷36です。
このとき、
154=36×4+10
です。
ユークリッド互除法はここから始まります。
次に、さきほどそれで割った数をさきほどの余りで割って、同じように計算しましょう。
いまの場合は、割る数が36で余りは10ですから、
36=10×3+6
です。
この操作を余りが0になるまで繰り返します。
10=6×1+4
6=4×1+2
4=2×2+0
これで終わりです。
この最後の段階において、それで割る数が最大公約数となります。いまの場合は2です。
実際に154と36を2で割ってみると77と18で、互いに素です。
では、不定方程式の話に戻りましょう。
いま、23x+5y=1の整数解を1つ求めることを考えましょう。
このとき、さきほどと同様にして、変数の前にある係数に注目します。
この係数の最大公約数を、ユークリッド互除法を使って求めると、
23=5×4+3
5=3×1+2
3=2×1+1
2=1×2+0
となります。
(ただし、不定方程式の整数解を求める場合、最大公約数を知る必要はありません。そして、余が0になる式は使いませんので、2=1×2+0の式は考えなくても構いません)
ここから不定方程式の一般解を求めます。
ユークリッド互除法で作った式をおさらいしましょう。
(割られる数)=(割る数)×(商)+(余り)
でした。
これを、
(余り)=(割られる数)-(割る数)×(商)
というように変形してみましょう。
2=1×2+0は使いませんから、3=2×1+1から変形して、
1=3-2×1
2=5-3×1
3=23-5×4
ここから順番に代入していきましょう。
一番上の式の2のところに、上から2番目の式を代入すると、
1=3-(5-3×1)×1
よって
1=5×(-1)+3×2
この3に、さきほどの一番下の式を代入すると、
1=5×(-1)+(23-5×4)×2
1=5×(-1)+23×2-5×8
1=23×2+5×(-9)
もうお気づきでしょう。23x+5y=1という最初の不定方程式に戻ってきました。
これで(x, y)=(2, -9)という整数解がわかりました。
一見しただけだとわかりにくいかもしれませんが、何度か練習すれば、機械的に解くことができるようになるでしょう。
さて、ここからさらに一般解を求めるとどうなるでしょうか?
さきほどと同様にして解いてみます。
23(x-2)+5(y+9)=0
23(x-2)=-5(y+9)
23と5は互いに素であり、右辺に5が含まれることから、x-2=5nとおけます(nは整数)。
よって、x=5n+2となり、
23・5n=-5(y+9)
23n=-(y+9)
y=-23n-9
したがって一般解は(x, y)=(5n+2, -23n-9)です。
4. 練習問題で不定方程式の解き方をマスターしよう
まとめとして、いくつかの練習問題を用意しました。
実際に自分で計算をして解いてみてください。
解答は最後に記載しています。
なお、nが整数であるという但し書きを忘れないようにしてください。
問題:
1) 5x-7y=6を満たす整数の組み合わせ(x, y)の一般解を求めよ。
2) 5x+7y=1を満たす整数の組み合わせ(x, y)の一般解を求めよ。
3) 7x+8y=11を満たす整数の組み合わせ(x, y)の一般解を求めよ。
4) 12x+25y=124を満たす整数の組み合わせ(x, y)の一般解を求めよ。
5) 2x-7y=10を満たす正の整数の組み合わせ(x, y)の一般解を求めよ。
6) 4x-3y=20を満たす正の整数の組み合わせ(x, y)の一般解を求めよ。
解答:
1) (x, y)=(7n+4, 5n+2) (nは整数)
2) (x, y)=(7n+3, -5n-2) (nは整数)
3) (x, y)=(-8n+5, 7n-3) (nは整数)
4) (x, y)=(-25n+2, 12n+4) (nは整数)
5) (x, y)=(7n+12, 2n+2) (nはn≧0を満たす整数)
6) (x, y)=(3n+8, 4n+4) (nはn≧0を満たす整数)
一次不定方程式は、受験でもよく出題される問題のひとつです。
ここで紹介したように、練習問題をこなせば特に難しい問題ではないでしょう。
あとはユークリッド互除法の使い方に慣れるだけです。
最初は商と余が混乱してしまうかもしれませんが、慣れれば簡単に作業で解けるはずです。
ぜひ習熟して、得意分野にしてください。
なお、これらの記事も合わせてご覧いただければ幸いです:
不定方程式とは?基礎知識と解き方を解説!
ユークリッド互除法と2元1次不定方程式
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