ベクトルの媒介変数表示とは?数学Bと数学Ⅲから解説

数学 2019.4.23

媒介変数表示は高校数学では2回登場します。
1回目は数学Bのベクトルで、2回目は数学Ⅲの平面上の曲線です。

ベクトルの範囲では「ベクトル方程式」、平面上の曲線では主に二次曲線の媒介変数表示や、サイクロイドやカージオイドなどを扱います。
どちらの範囲であっても媒介変数表示の本質は変わりません。

この記事では、数学Bと数学Ⅲのベクトルの媒介変数表示についてそれぞれまとめます。

 



1.数学B:ベクトルの媒介変数表示の基本

学Bで学習する媒介変数表示の基本について、まとめます。
数学Bでは直線を媒介変数で表すだけですので、実はあまり媒介変数表示の必要性がないのですが、媒介変数表示の概念を理解するために、この記事でも扱います。
高校数学における媒介変数の本質は、「直線や曲線は点の集まりである」ということです。

ベクトル方程式とは、その名の通りベクトルを使った方程式です。
y軸に平行でない直線の方程式は一般的に

 

y=ax+b

 

で表されます。この式の変数はxとyであり、xの値が決まればyの値がただ一つに決まり、このxとyの値をすべてグラフ上にプロットしてゆけば、直線になります。

 

一方、定点 定点A に対して、定点0 でないベクトル 定点d に平行な直線を考えます。

この直線上の任意の点を 定点p とおくと、定点AP定点d は平行です。

つまり、

方程式

 

となる実数tが存在します。すなわち、

 

ベクトルの方程式

 

というベクトル方程式を立てられます。この式の意味をよく考えてみましょう。

 

この式が直線を表すのは、もとの条件から明らかですが、式そのものを見ても、このベクトル方程式が直線であることがわかります。

 

定点Pは点Pの位置ベクトルですので、グラフ上で点Pの位置がどこにあるかを表します。

そしてそれは、 方程式ですから、原点から点Aまで移動し、そこから 定点d の方向にいくらか進んだところにある、と読み取れます。

いくら進むかは変数tの値によります。

tの値が決まれば、点Pの位置が決まりますし、tがあらゆる値を取ることで、ベクトル方程式  変数tの値によるベクトルの方程式 が直線全体を表すことになります。

 

先の直線の方程式
y=ax+b


直線の方程式

 

を比べてみましょう。

直線の方程式でxの値が決まればyの値が決まるのと同じように、ベクトル方程式ではtの値が決まれば、p ⃗ の位置が決まるという共通点がありますね。

 

直線の方程式とベクトルの方程式の関係

 

と並べれば、両者が直線を表すことがわかるでしょう。

 

直線の方程式とベクトルの方程式の関係の図

 

そしてなにより重要なのは、繰り返しになりますが「tの値が決まれば点Pの位置が決まり、tがあらゆる値を取ることで、ベクトル方程ベクトルの方程式が直線全体を表す」ということです。

 

点Aの座標を ( x_1,y_1 )、点Pの座標を ( x,y )、d ⃗=( l,m ) とおくと

 

ベクテルの方程式の式
となります。

 

ここで、x_1,y_1,l,m が定数であることを確認してください。
tの値がきまれば、点Pの座標であるx, yの値が決まりますね。
ここからtを消去すると、

べクテルの方程式の例題
となり、直線の方程式になりますね。

この

直線の媒介変数表示

 

が直線の媒介変数表示の1つであり、tを媒介変数といいます。
なぜ媒介変数表示というのでしょう。
それはtがxとyの値を媒介する変数だからです。
「媒介」とは「両方の間に立って橋渡しをすること」です。

 

 

をみるとxとyは直接的に関係のある値ではありませんが、tという変数を間に挟むことで、関係のある値になっています。
つまり、xとyをtが媒介しているのです。
ですからtを媒介変数と言い、媒介変数によって表された直線ですから、直線の媒介変数といいます。

 



2.  数学Ⅲ:曲線の媒介変数表示

数学Bでは、ベクトル方程式から直線の媒介変数表示について考えました。
ですが、それだけでは媒介変数表示の有用性について、あまり実感がないと思います。
数学Ⅲでは、通常の方程式では表しにくいような曲線が出てきます。
サイクロイドが有名ですが、媒介変数表示の本質は変わりません。

媒介変数表示は一般的に

一般的な媒介変数表示

と表されます。xとyを媒介変数tが橋渡しします。

そして、「tの値が決まれば、曲線上の点の座標を表すxとyの値が一つに決まり、この点をすべて集めることで、曲線全体を表す」のです。
数学Ⅲでは、円や楕円、双曲線、放物線など2次曲線の媒介変数表示が紹介されています。
代表的な媒介変数表示は覚えていた方がいいこともありますが、基本的には媒介変数表示を必死で覚える必要はありません。
重要なのは、「媒介変数の本質を理解しているか」と「与えられた媒介変数表示を扱うことができるか」です。
数学Ⅲの教科書には、円、楕円、双曲線、放物線、サイクロイドの媒介変数表示が載っていると思いますが、これは一例にすぎません。

例えば、双曲線の媒介変数表示は、媒介変数を θ として

 

双曲線の媒介変数表示

です。しかし、

双曲線の媒介変数表示の例

も計算してみれば、双曲線を表すことがわかります。

このように、ある曲線を表すような媒介変数表示は1通りではありません。
そういう意味で、「この媒介変数表示は○○の曲線を表す」と覚えることには意味がありません。

教科書で紹介されている、曲線の媒介変数表示を以下にまとめます。

 

2-1. 曲線の媒介変数表示まとめ

曲線の媒介変数表示① 円

円の曲線はθ を媒介変数として次のように表すことができます。

円の媒介変数表示

円の媒介変数表示の例

 

曲線の媒介変数表示② 楕円

楕円の曲線はθ を媒介変数として次のように表すことができます。

楕円の媒介変数表示

 

楕円の媒介変数表示

 

曲線の媒介変数表示③ 双曲線

曲線はθ を媒介変数として次のように表すことができます。
双曲線の媒介変数表示

双曲線の媒介変数表示

 

 

曲線の媒介変数表示④ サイクロイド

サイクロイド曲線はθ を媒介変数として次のように表すことができます。

サイクロイドの媒介変数表示

 

サイクロイドの媒介変数表示

 

円、楕円、双曲線の媒介変数表示は、媒介変数 θ を消去すれば、それぞれの曲線の方程式になります。
サイクロイドを見ると、媒介変数 θ を消去することは、面倒なことが分かります。
三角関数の逆関数を使えば、媒介変数を使わずにサイクロイドを表すこともできますが、媒介変数表示の方が有名です。

 

2-2.  楕円の媒介変数表示から標準形を作る

楕円の曲線はθ を媒介変数として次のように表わすことができます。

楕円の媒介変数表示のコサイン・サインを使った場合

したがって、媒介変数 θ を消去すると

楕円の標準形になる例題

 

となり、楕円の標準形になります。円や双曲線も同様に計算できます。
このように媒介変数を消去することで、曲線の実態がわかることもあります。

 



3.  曲線の媒介変数表示の例題

問題

次の媒介変数表示は、どのような曲線を表すか求めよ。ただしtは媒介変数とする。

 

 

曲線の媒介変数表示の例題の問題

 

 

 

 

 

(※以下に解答と解説↓)

 

 

 

 

 

解答・解説

実際に曲線の媒介変数表示が、どのような曲線を表すかを調べるときには、xやyの変域に注意しましょう。
以下のように計算してゆきます。
①を t2 について整理すると

曲線の媒介変数表示の例題の式

これを②に代入すると

曲線の媒介変数表示の例題の式の続き

 

ですから、これを③に代入すると

曲線の媒介変数表示の例題の式の答え

 

この式を整理すると、以下のようになります。

x2+4y2=4

これは楕円の方程式ですので、求める曲線は「楕円 x2+4y2=4」となります。
………とすると、減点されてしまいます。

というのは、x, yの変域を考慮していないからです。
③のように変形した時点で、x ≠ ‐2としなければなりません。
に x = 2 を代入すると式が成立しませんので、この曲線はx = 2を含みません。
楕円 x2+4y2=4 はx = ‐2のときy = 0 ですから、求める曲線は ( ‐2, 0 ) を含みません。

さらに、③の右辺は0以上でなければならないので、-2<x≦2という条件が付きます。これは、上記の楕円の方程式におけるxの取りうる範囲と一致します。

以上より、答えとしては「楕円 x2+4y2=4 (-2<x≦2)」となります。

 

このように、媒介変数表示の計算問題は、表す曲線の範囲が限定されることがあります。
特に気を付けるのは「分母≠0」「根号の中 > 0」「2乗 > 0」などです。
これらの計算には常に気を配って、xやyの範囲が限定されないか確認してください。

 



4.おわりに

最後までご覧くださってありがとうございました。

この記事では、数学Bと数学Ⅲの媒介変数表示についてそれぞれまとめました。
特に間違えやすいのは、最後にご紹介したようなxやyの定義域や値域が限定されるような問題です。
それさえできれば、媒介変数表示の問題は解けるでしょう。

数学の計算する際の注意力が問われますので、しっかり計算しましょう。


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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