背理法とは?例を使って慶應生がわかりやすく解説してみた
高校数学で学習する背理法とは何か?背理法の具体例をいくつか紹介します。
本記事では、数学が苦手な人でも背理法が理解できるように、現役の慶應生が背理法についてわかりやすく解説します。
背理法は、無理数であることの証明などでよく使われます。
背理法の具体例をいくつか見れば、背理法のイメージがつかめるでしょう。
ぜひ最後まで読んで、背理法を理解してください!
1:背理法とは?
まずは背理法とは何かについてわかりやく解説します。
背理法とは、「ある命題Aに対して、Aが成り立たないと仮定して矛盾を導くことで、命題Aが成り立つことを示す証明方法のこと」です。
例えば、「犬は動物である」という命題を背理法で証明してみるとします。
背理法を使う時はまず、命題が成り立たないと仮定します。つまり、「犬は動物ではない」という仮定を立てます。
そして、「犬は動物ではない」という仮定に矛盾を見つけます。
矛盾を見つけることで「犬は動物ではない」が否定されるので、結果的に「犬は動物である」という結論に達するわけです。
背理法の流れは以上のような感じです。では、次の章から背理法の具体例を見ていきます。
2:背理法の証明問題①
では、背理法の具体例1つ目です。
背理法:具体例
√5は無理数であることを、背理法で証明せよ。
(※以下に解答と解説)
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解答&解説
背理法の超有名問題なので、必ず解けるようにしておきましょう!
まずは命題を否定します。つまり、「√5が無理数ではない」と仮定します。
つまり、「√5が有理数である」と仮定するわけですね。
※無理数と有理数があまり理解できていない人は、無理数と有理数について解説した記事をご覧ください。
すると√5は、互いに素な(1以外に公約数を持たない)自然数a、bを用いて
√5 = a/b と表現できます。
よって、
a = √5・b より
a2 = 5b2・・・①
したがって、a2は5の倍数なので、aも5の倍数です。
ゆえに、cを自然数として
a = 5c と表現できます。
これを①に代入して
25c2 = 5b2
より
5c2 = b2
b2は5の倍数なので、bも5の倍数です。
ここで、aも5の倍数であったことを思い出してください。
よって、aとbは公約数5を持つことになり、aとbが互いに素(1以外に公約数を持たない)ということに矛盾します。
以上より、「√5は有理数である」という仮定が成り立たないので、命題「√5は無理数である」が背理法により証明されました。
いかがですか?背理法のイメージがつかめましたか?
以上の問題は背理法の有名問題なので、必ず解けるようにしてください。
3:背理法の証明問題②
では、少し難易度が上がった背理法の問題を解いてみましょう。
背理法:具体例
√5+√7は無理数であることを背理法で証明せよ。ただし、√7が無理数であることは証明なしに使っても良い。
(※以下に解答と解説)
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解答&解説
まずは命題を否定します。「√5+√7は無理数ではない」という仮定を立てます。
「無理数ではない」ということはこの時、√5+√7は有理数なので、Rを有利数として、
R=√5+√7 とおきます。
すると、
√5=R-√7 より
5=R2-2√7・R+7
なので、
2√7・R=R2+2
Rは0ではないので、
√7=(R2+2)/2R・・・②
Rは有理数なので、②の右辺は有理数である。
しかし、②の左辺は無理数なので矛盾が生じる。
したがって、背理法より√5+√7は無理数となる。
4:背理法の証明問題③
では、背理法の証明問題の3つ目を解いてみましょう。
背理法:具体例
aとbを有理数とする。a+b√3=0ならば、a=b=0となることを背理法で証明せよ。
ただし、√3が無理数であることは証明なしに使っても良い。
(※以下に解答と解説)
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解答&解説
命題を否定します。「b≠0」と仮定します。
すると、
√3=-a/b・・・③
となり、aとbは有理数なので、③の右辺は有理数です。
しかし、③の左辺は無理数です。従って矛盾が生じています。
よって、b=0となります。
すると、
a+0・√3=0 より
a=0となります。よって、命題が背理法で証明されました。
※一般に、次のことが成り立つので、覚えておきましょう!
5:背理法の証明問題④
いよいよ最後の背理法の証明問題です。
背理法:具体例
a、b、x、yが有理数であるとする。
この時、
a+b√3=x+y√3
ならば
a=xかつb=y
となることを背理法で証明せよ。
(※以下に解答と解説)
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解答&解説
まずは命題を否定します。今回は、「b≠y」と仮定します。
すると、a+b√3=x+y√3 より
(b-y)√3=x-a より
√3=(x-a)/(b-y)・・・④
です。ここで、「b≠y」より④の右辺は有理数です。
しかし、④の左辺は無理数です。よって、矛盾が生じています。
従って、背理法よりb=yが導けます。
ここで、
a+b√3=x+y√3
にb=yを代入すると、
a+y√3=x+y√3
となるので、a=xとなります。
従って、背理法より命題は真であることが証明されました。
※一般的に、次のことが成り立つので覚えておきましょう!
背理法のまとめ
背理法とは何か・背理法の使い方が理解できましたか?
背理法は高校数学でも重要な分野の1つです。背理法を忘れてしまった時は、また本記事を読み返して背理法を復習してください!