和の記号Σ(シグマ)の公式と、証明方法

数学 2022.12.25

シグマの記号は、和を表す記号として、高校数学で登場します。

シグマは高校数学では、数列の問題を解くときに必要で、いくつかの公式があります。

問題を素早く解くためには、それらの公式を覚えておく必要があり、1からnまで足す場合と、1からn -1まで足す場合とで、若干異なります。

この記事では、和の記号シグマについてまとめます。

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1.【シグマの公式を学ぶ前に】和の記号Σ(シグマ)とは

例えば、1から100までの整数をすべて足すときに、

1+2+3+⋯…+100

のように書きます。

ですが、数学では、規則性のある加算を表す記号があり、同様の計算をΣという記号を使って表すことができます。

Σは「シグマ」と読み、ギリシャ文字です。

ギリシャ文字はアルファベットと対応している文字があります。
ギリシャ文字は24字、アルファベットは26字ですから、すべてが一対一対応をしているわけではありません。

和の記号としてシグマを使うのは、和を表す英語sumの頭文字であるSと対応するギリシャ文字がΣだからです。

余談ですが、同様に、英語で積を表す単語がproductですから、その頭文字Pに対応するギリシャ文字Π(パイ)を用いて、積を表すこともあります。

さて、先に申し上げた

1+2+3+⋯…+100

をΣを用いて表すと、

のようになります。

Σの下にある

i=1

というのは、「変数がiで、その変数に最初に代入する整数が1である」ということを表しています。

のように問題によっては、文字が2つある場合もありますから、気を付けましょう。
この場合は、変化するのはiだけで、kは定数なので変化しません。

Σの上にある100は、「加算する最後の整数は100である」ということを表しています。

そして、Σの右の項が、実際に加算する項です。
ですから、

は「iという項に、i = 1 からi = 100までを順番に代入し、すべて加算したもの」という意味になります。

ですから、

のようになるのです。

Σの記述で気を付けておくのは、

では、表している式が異なるということです。

Σの効力は、その直後の項にだけかかりますから、

ですが、

です。記述問題などでも、この記述でミスをすると減点される危険性がありますから、注意しましょう。

2.【公式で理解】和の記号Σ(シグマ)の性質

Σの記号の使い方と読み方を、説明しました。

シグマには、以下のような性質があります。cを定数として、

これらは、和の記号シグマの性質を理解していれば、成立することがわかるはずです。

つまり、

また、

となるからです。

気を付けておかなければならないのが、

一般的には一致しない、ということです。

それぞれを書き下してみれば、わかります。

であるのに対して、

です。計算結果が全く異なってしまいますから、勘違いしないようにしましょう。

こうして説明すると、間違えないと思うかもしれませんが、試験の回答などを見ると、

として計算をしてしまっている例をよく見ます。

3.数列におけるシグマの公式

数列の問題を解くときに覚えておくべきシグマの公式を紹介します。

r<1のとき

r>1のとき

以上を覚えていて、使いこなすことができれば、和の記号シグマを使った計算は、問題ありません。

そして、それぞれ確認してゆけばわかるように、当たり前のことや、既に学習したことが含まれているはずです。

それでは順番に解説していきましょう。まずは簡単な1,2,5,6番目の公式から解説します。

1つ目の公式

はとても当たり前のことを言っているだけです。

シグマの右の部分cには、変数であるkが含まれていません。
ですから、cという数をn回、加算しているということになります。

書き下すと

c+c+c+⋯+c=nc

というのは当然ですよね。

2つ目の公式

数列をこれまで勉強してきて、いくつかの典型的な数列を習ってきたでしょう。

等差数列と等比数列は最初にならう数列です。そして、等差数列の和、等比数列の和の公式は既に習ったことと思います。

等差数列  の初項a,、末項  、項数nであるとき、その等差数列の和は

1/2×項数×(初項+末項)

つまり

です。

は初項1、末項n、項数nの等差数列の和になっていますから、

となります。

3つ目の公式

 

初項a、公比r、項数nの等比数列の和は(r≠1)

です。

は初項a、公比r、項数nの等比数列の和になっていますから、

となります。ちなみに、この下にある公式

も右辺の分母分子にそれぞれマイナスをかけただけなので同じ値を示します。

これらは、rが1より小さい時に1つ目の公式、rが1より大きい時に2つ目の公式を用いるというように使い分けることで、負の値にならず綺麗な式になります。

4.Σ(シグマ)の公式の証明

これまでご紹介した3つについては、既に覚えていること、当然のことでしたが、あとの2つは覚えた方が早いです。

の導出についてもご紹介しておきましょう。

(k+1)3=k3+3k2+3k+1
⇔(k+1)3-k3=3k2+3k+1

を利用します。

この方程式に対してk = 1, 2, 3,…を順番に代入していきます。

k = 1       23-13=3・12+3・1+1
k = 2       33-23=3・22+3・2+1
k = 3       43-33=3・32+3・3+1

       k = n       (n+1)3-n3=3・n2+3・n+1

これらを全て、足します。

これを整理すると

となります。

(k+1)4=k4+4k3+6k2+4k+1

を利用すれば導出できますので、興味があれば計算してみましょう。

5.【シグマの公式】n-1の公式

1からnまで足したときの公式については、ご説明しました。
それに加えて1からn -1まで足したときの公式というのもあります。

ですが、これは、nにn -1を代入するだけですので、上の公式を覚えていれば、試験会場でつくることができます。

r<1のとき
r>1のとき

6.Σ(シグマ)の公式を応用した練習問題

問1. 次の数列の初項から第n項までの和を求めよ

an=4n3+3

問2. 次の数列の一般項を求めよ。

2, 3, 5, 9, 17, 33…

 

 

解答・解説

(1) 基本的な、和の記号シグマの問題です。

ご紹介した5つの公式が頭に入っていて、シグマの計算方法がわかっていれば、そのまま計算するだけです。

(2) 階差数列の問題です。

階差数列とは、数列の隣り合う項同士の差をとった数列のことで、問の数列であれば

1, 2, 4, 8, 16, …

です。これは初項が1、公比が2の等比数列になっていますから、階差数列の一般項の公式

(ただし、n ≧ 2、  は階差数列)

より、問の数列の一般項

となります。

階差数列では、1からn-1までの和の公式を使うのを忘れないで下さい。
そして、階差数列の一般項の問題では、もう一つ重要なことがあります。

それは、項数の扱いです。

階差数列の一般項の公式は「n≧2」のときにしか使えません。
ですから、公式を使うときには、「n≧2のとき」と「n = 1」のときの場合分けが必要です。

n = 1のとき、この数列の一般項は、2です。

一方、n ≧2のときの、公式で求めた一般項は であり、ここにn = 1を代入すると、2になります。

以上より、問の数列の一般項は、

1+2n-1

となります。

もしも、n≧2のときと、n = 1のときの数が一致しない場合は、「この数列の一般項は n = 1 のとき○○で、n ≧2のときには○○である」と答えるとよいでしょう。

7.おわりに

最後までご覧くださってありがとうございました。

この記事では、和の記号シグマと数列についてまとめました。

ご参考になれば幸いです。

 

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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