三角比公式とは?定義や有名角など三角比の基本を詳しく解説!

数学 2022.12.26

数Ⅰの中でも、三角比は得意・不得意がはっきりと分かれる単元で、「三角比ってなに?」「sinθやcosθってどうやって求めるの?」と感じている人も多くいます。

しかし、三角比は有名角などを中心に、基本をきっちりと理解してしまえば、それほど難しくありません。

そこで今回は、三角比の有名角や公式などの基本について、詳しく解説します。

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1. 三角比のsin(サイン)・cos(コサイン)・tan(タンジェント)の定義とは

直角三角形では、直角以外の1つの鋭角(90°未満の角度のこと)の大きさが決まると、直角三角形の形が決まります。

このとき直角三角形における2つの辺の比のことを「三角比」といいます。

三角比には、正弦(sine)、余弦(cosine)、正接(tangent)の3つがあり、直角三角形のどの2辺を組み合わせるかで変わります。

そこでまずは、正弦(sine)、余弦(cosine)、正接(tangent)の3つの定義について解説します。

1-1.sin(サイン)とは

sineはサインと読み、通常はsinと表記します。また、漢字では正弦といいます。

直角三角形において、基準となる角をθ(シータ)とすると、その向かいにある辺BCを対辺、直角の向かいにある辺ABを斜辺、残りの辺ACを隣辺といいます。

ここで、角θに対応するsinの値のことをsinθといい、

として求めることができます。直角三角形にsinの「S」を筆記体で書くと、分母→分子の順番でsinθが出てきます。

1-2.cos(コサイン)とは

cosineはコサインと読み、通常はcosと表記します。また、余弦ともいいます。

角θに対応するcosの値のことをcosθといい、

として求めることができます。直角三角形にcosの「C」を筆記体で書くと、分母→分子の順番でcosθが出てきます。

1-3.tan(タンジェント)とは

tangentはタンジェントと読み、通常はtanと表記します。また、漢字では正接といいます。

角θに対応するtanの値のことをtanθといい、

として求めることができます。直角三角形にtanの「T」を筆記体で書くと、分母→分子の順番でtanθが出てきます。

 

2. 三角比の有名角をまとめて紹介

三角比は直角三角形の辺の長さがわかっていれば、すぐに出すことができます。

しかし実際には、角度を利用して三角比を求めさせることがとても多いのです。

そこで出てくるのが、30°、45°、60°といった角度です。これらの値は頻出ですので、しっかり理解することが重要です。

2-1.三角比の有名角 その1 θ=30°

三角比の有名角の1つ目は、「θ=30°」です。

30°、60°、90°の直角三角形で、三角定規でも使われています。

この直角三角形は、辺の比が決まっていて、対辺・斜辺・隣辺の順番に、「1:2:√3」です。

図を参考にして、それぞれの値を求めてみます。

 

2-2.三角比の有名角 その2 θ=45°

三角比の有名角の2つ目は、「θ=45°」です。

45°、45°、90°の直角二等辺三角形で、これも三角定規で使用されています。

これも、辺の比が一定で、「1:1:√2」です。

図を参考にして、それぞれの値を求めてみます。

 

 

2-3.三角比の有名角 その3 θ=60°

三角比の有名角の3つ目は、「θ=60°」です。

60°、30°、90°の直角三角形ですが、その1で解説した「θ=30°」の直角三角形と同じ三角形です。

そのため、辺の比が「1:2:√3」です。

ただし、30°のときと、対応する辺の位置が異なるため、注意してください。

図を参考にして、それぞれの値を求めてみます。

 

3. 三角比でよく使われる角度と値

上記では、30°、45°、60°といった有名角を中心に解説しましたが、三角形を中心に考えると鋭角しか求めることができません。

しかし、鈍角でも120°や150°といった頻出の角度や三角比が多くあります。

そこで次は、鈍角の場合の三角比の値を考えていきます。

3-1.三角比と単位円の関係

実は、三角比の考え方は、鋭角、鈍角を問わず、単位円を使うととても簡単に理解できます。

まずは、下の図を見てください。半径1の単位円の中に、直角三角形を書いています。

半径1を斜辺、鱗片をx、対辺をyとすると、直角参加系と単位円との交点の座標が(x,y)とおくことができます。

ここで、

となり、(x,y)=(cosθ,sinθ)とあらわせます。つまり、座標を三角比の値で置くことができるわけです。

また、

となることから、tanθは、斜辺の傾きを表すことがわかります。

3-2. 120°の三角比

では、実際に鈍角の三角比を求めてみます。

まずは、120°からです。

30°、60°の直角三角形を図のように書くと、120°を作ることができます。ここで、

(x,y)=(cosθ,sinθ)とすると、

となります。

3-3. 135°の三角比

同様に、135°のときは、以下の図を考えます。

45°、45°の直角三角形を図のように書くと、135°を作ることができます。ここで、

(x,y)=(cosθ,sinθ)とすると、

となります。

3-4. 150°の三角比

150°のときも同じです。

30°、60°の直角三角形を図のように書くと、150°を作ることができます。ここで、

(x,y)=(cosθ,sinθ)とすると、

となります。

3-5. 三角比の有名角まとめ

三角比の有名角は、覚えておくととても便利です。もちろん、上記のように図を理解していれば、自分で導出することもできます。

しかし、計算のスピードアップのためにも、覚えてしまうことが大切です。

 

4. 三角比でよく出てくるさまざまな公式

三角比の基本を解説しましたが、ここからは三角比の関係を利用した公式や、(90°θ)(180°θ)などの三角比の関係を見ていきます。

どれも基本的な公式になりますので、繰り返し活用して覚えましょう。

4-1.三角比の相互関係をあらわす公式

三角比では、以下のような関係が成立します。

①は、三平方の定理を利用することで導き出すことができます。

②は、①の公式をcos²θ(ただし、0ではない)で割ることで、出てきます。

4-2. (90°-θ)や(180°-θ)の三角比

90°θ」の三角比の値には、以下のような関係が成立します。

また、「180°θ」の三角比の値には、以下のような関係が成立します。

これらは、単位円を書いて確かめることもできますが、まずは有名角の表を見ながら計算しましょう。

それぞれの関係が成立することが確認できます。

4-3. 正弦定理の公式

ABCの頂点を通る円のことを外接円といいますが、外接円の半径Rと△ABCには、以下のような関係が成立します。

この公式を正弦定理といいます。

4-4. 余弦定理の公式

ABCにおいて、以下のような関係が成立します。

この公式を余弦定理といいます。

正弦定理とともに、頻出の公式です。

角度と辺の位置を確認しながら、しっかり暗記しましょう。

 

5. 三角比の有名角を使った例題を紹介

ここでは、三角比の有名角を使った例題を紹介します。

実際に自分で解いてみると、より効果的です。

5-1.三角比の有名角を使って辺の長さを求める問題

以下の図の場合、aの値はいくつになるでしょうか?

 

 

※以下から解説を記述します。

まず、

とおくことができます。

また、

であるため、

 となります。

5-2. 三角比の有名角を使って建物の高さを求める問題

次は、建物の高さを求める問題です。

建物から10m離れた地点に立って、視点の高さ1.6mからこの建物をみたとき、仰角は30°になりました。このときの建物の高さをはいくらでしょうか?

 

※以下から解説を記述します。

問題文の状況を図として表したものが以下の通りです。

建物を見ている人をBD、この建物の高さをAEとします。

 

△ABCにおいて、ACを求めたいので、

とおくことが出来ます。

また、

なので、ACの高さを以下のように求めることができます。

このようにして、有名角を利用して、問題を解いていくことになります。

 

6. まとめ

今回は、三角比の有名角や公式について解説しました。

三角比の問題では、有名角を使って値を求める問題や、公式などに値を代入して計算する問題など幅広く出題されています。

しかし、それらの問題を解くときの基本は、sin・cos・tanがしっかり理解できているかどうかにかかっています。

今回解説した範囲は、三角比の基本中の基本です。

なかなか覚えられない、という人は、自分で単位円や直角三角形などを書くのも効果的です。

くり返しながら、身につけていきましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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