【9月12日は宇宙の日】受験生は宇宙から何を学ぶべきか?

合格サポート 2017.9.11

9月12日は宇宙の日です。

1992年、宇宙飛行士の毛利衛さんが日本人で初めて宇宙に飛び立った日にちなんで定められました。

では、世界で初めて人間が宇宙に飛び立ったのはいつで、どこの国の人だったのでしょうか?

そもそも、なぜ、なんのために人類は宇宙の研究を始めたのでしょうか?

今回は、そんな疑問から「学ぶこと」の理由について考えてみます。

 

 

1.宇宙の研究の歴史

(1)農耕・占星術のための天文学

人類が誕生して初めての天文学は、暦の発明といえます。

紀元前2000年ごろから、人類は暦を使っていました。

エジプトでは、地球が太陽の周りをまわる周期を用いた太陽暦、メソポタミアでは月の満ち欠けをもとにした太陰暦が用いられていました。

 

 

紀元前7000年ごろから、エジプト・メソポタミアの「肥沃な三日月地帯」では農耕・牧畜が始まりました。

古代の人々は、天体の動きが1年の季節の移り変わりと同じ周期にあることを知っており、田植えや収穫に最適な季節を知るために暦を作ったということです。

さらに古代メソポタミアなどでは、天体は国家の興亡と共にあるとされ、天体の観察は占星術的な意味を持っていました。

 

(2)科学としての宇宙研究

古代ギリシャの時代になると、天文学は徐々に科学として発展していきます。

「万物の根源(アルケー)は水」と唱えたタレスは、天文学と測量術から、紀元前585年の日食を予言したといわれます。

古代ギリシャの様々な天文学者が数学によって天体の動きを解き明かしていきました。

 

 

さらに2世紀には古代ギリシャの「地球が宇宙の不動の中心であり、他の天体は地球の周りをまわっている」という考え方をプトレマイオスが体系化し、「天動説」が広まりました。

これに対し、16世紀にコペルニクス「地動説」を唱えたものの、当時の常識とかけ離れていたため、理解は得られませんでした。

17世紀になると望遠鏡が発明され、「惑星は太陽の周りを楕円形の軌道で周回している」というケプラーの法則が発見されました。

さらに、ニュートンによる万有引力の法則によって、地動説が一般に認められるようになります。

18世紀、19世紀には写真の発明によって運河などの肉眼では観察しにくい天体も観察可能となります。

19世紀後半、ジュール・ベルヌが初めてのSF小説「地球から月へ」を書きました。

20世紀前半には、ロシアでロケットの宇宙飛行の原理の論文が発表され、アメリカで世界初の液体燃料ロケットが打ち上げられました。

技術・思想面で宇宙開発への機運が高まってきました。

 

2.戦争と宇宙開発

宇宙開発の技術は戦争との関係を深めていきました。

 

 

(1)第二次世界大戦以前

11世紀に中国、14世紀ごろローマ帝国で火薬が発明されると、ロケット兵器の開発が進み、14世紀後半には実際の紛争で武器として使われました。

第二次世界大戦中、ドイツは遠距離用の兵器としてロケットの研究を進め、「V2ロケット」と呼ばれる長距離砲撃兵器を開発しました。

多くの犠牲を出したこの兵器が、皮肉にも初めて宇宙空間に到達した人工物となります。

 

(2)冷戦と宇宙開発競争

第二次世界大戦後、アメリカとソ連を中心とした冷戦により、世界は二つに分かれていきます。

アメリカを中心とした資本主義・自由主義陣営と、ソ連を中心とした共産主義・社会主義陣営との対立である冷戦で、激しい軍備拡張競争が行われたことは有名です。

しかしそれに収まらず、アメリカとソ連は経済、文化、技術など様々な面で競争を繰り広げます。

宇宙開発競争もその一つでした。

自国の技術力をアピールでき、さらにその技術自体が兵器に転用できる宇宙開発は重要視されました。

1957年、ソ連が世界初の人工衛星である「スプートニク1号」を打ち上げ、地球の軌道に乗せることに成功すると、アメリカはショックを受け、宇宙開発に巨額の国家予算をつぎ込みます。

しかし同年、ソ連はスプートニク2号に犬を乗せ、地球を周回することに成功し、さらに1960年には犬やラットを地上へ無事帰還させます。

さらに翌1961年、ソ連のユーリイ・ガガーリンがボストーク1号に乗り、世界で初めて有人宇宙飛行船で地球の軌道を回りました。

 

 

 

これらの結果を受けて、ソ連に立ち遅れていると危機感を募らせたアメリカは、ソ連に先立って宇宙飛行士の月面着陸を達成することで挽回を図ろうと考えます。

そして1969年、アメリカのアポロ11号から、ニール・アームストロングが月面に着陸しました。

 

(3)宇宙開発競争の終結

1970年代半ば、米ソ間の緊張は緩和へ向かいました。

それに伴って宇宙開発競争は沈静化していき、アポロ11号の月面着陸をピークに、世間の関心も収まっていきます。

1975年には米ソが協力して、アポロ・ソユーズテスト計画という、米ソの宇宙船が宇宙空間でドッキングする実験も行われました。

 

3.宇宙開発の歴史から学べること

宇宙開発の歴史は、農耕、占星術、科学的探究、そして軍事目的や国家のイメージ戦略と、様々な要素とともにありました。

さて、このように様々な目的・理由で探求される学問は、宇宙に関するものだけでしょうか?

医学、工学、哲学、文学、社会学、生物学、教育学…ほとんどの学問に言えることではないでしょうか。

受験生の皆さんが、これから大学に入って勉強することも、きっとそうでしょう。

 

 

 

私が大学に入学した際、学問とは「答えを探るためのいろいろな方法」だと伝えられました。

医学の方法、工学の方法、生物学、哲学、文学、その他にも様々な方法で「答え」を探るための訓練を、大学で行うことになると思います。

しかし、歴史が示すように、目指す目標が間違った方向にあることもあり得るでしょう。

その時には、別の方法を持っている人に助けてもらえるように、様々な考え方の人と対話をすることが有効だと思います。

また逆に、自分が自分の方法で誰かを助けられるように、方法を深めることも大切です。

人類が果てしない「宇宙」を探求し続けるのも、そのような理由があるのかもしれません。

晴れた日には、夜空を眺めて「なぜ学ぶのか」「これから何を学びたいのか」を、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

4.おわり

最後まで記事を読んでくれてありがとうございました。
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この記事の執筆者

ニックネーム:みかちー

筑波大学社会・国際学群4年
得意科目:国語、英語、日本史